EU|eCall車載システム関連コンポーネントの検証手順を明確化する委任規則の公布
eCall車載システムの検証手順について
2025年10月28日、eCall車載システム型式認証規則(EU)2015/758及び委任規則(EU)2017/79を改正する委任規則(EU)2025/1871がEU官報にて公布されました。本委任規則は112ベースのeCall車載システムおよび関連コンポーネントの性能試験、データ報告、バックアップ電源の検証手順の明確化を目的とするものです。これにより、eCallシステムが緊急時に正確に機能することが保証され、車両メーカーや技術サービスは試験方法や報告内容を統一的に遵守する必要があります。
背景
■ eCallシステムの自動通報や最小限データセット(MSD)の送信、音声通信、バックアップ電源の性能確認などについて詳細な手順が規定されていましたが、現場での試験手順や報告内容の運用にばらつきが見られるとされていました。
■ 特にMSDの位置情報精度や最近の車両位置情報の送信、PSAP(公共安全通報ポイント)との通信手順、バックアップ電源の耐久性確認などに関する具体的な要求が明確でない場合がありました。そのため、各試験手順や要求事項が具体的に整し、性能確認の標準化を図る必要がある指摘されていました。
概要
■ 本委任規則(EU)2025/1871に基づく主な改正内容は以下の通りです。
- 位置情報取得に関する要求の強化
eCallシステムは最新の車両位置に加え、MSD生成前の直近2回の車両位置を正確に送信する必要があります。MSDの内容には正確な車両情報、最新のタイムスタンプ、位置情報の信頼性を示すビットが含まれ、PSAPテストポイントでの検証が必須となります。また、試験eCallの開始・終了手順、緊急通報および通常通話のシナリオごとの接続手順、TPS(追加価値サービス)システムとの切替時の挙動なども具体的に規定されました。
- 電源供給の試験手順明確化
通常電源やバックアップ電源を用いた試験、車両外部電源接続時の確認が求められます。バックアップ電源が音声通信モード5分、コールバックモード60分、再度音声通信5分の性能を維持できることを確認する方法が示されます。
- 音声装置の耐衝撃性能と接続確認手順
システムコンポーネントの不具合検証手順も整理されます。
■ この改正によって、車両メーカーやeCallコンポーネント製造者、技術サービスは試験方法を遵守し、MSDの正確性、通信手順、バックアップ電源の性能を確認する必要が生じます。特に技術サービスはPSAPテストポイントを用いた検証を行い、MSDの位置情報やタイムスタンプの精度、システムの耐衝撃性能を記録しなければなりません。
■ 改正後は、TPSシステムの有効化・無効化に伴うバックアップ手順や緊急通報システムへのフォールバックも試験対象となるため、関係者は文書化された手順を基に運用・検証を行うことが求められます。
■ 車両メーカーおよび技術サービスに対しては試験実施、データ記録、報告手順の遵守が義務付けられます。これにより、MSDや通報の精度、バックアップ電源の耐久性、音声通信の確実性が保証されることになります。
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