米国|生物学的製剤、配合剤、または治験申請における、原薬の情報を記載したドラッグマスターファイル(DMF)の適用に関する規則を改正し、最終規則として発表
米国食品医薬品局(FDA)、新薬承認申請(NDA)などにおけるDMFの参照・依拠方法の慣行を成文化
2024年02月12日、食品医薬品局(HHS)の米国食品医薬品局(FDA)は、公衆衛生(PHS)法に基づいて認可される生物学的製剤のドラッグマスターファイル(DMF)の適用における規則を改正し、最終規則として発表しました。本最終規則では、生物学的製剤のライセンス申請(BLA)において、申請書の提出の際DMFに含まれる原薬の薬物物質またはその中間体、およびその医薬品(DS/DSI/DP)情報をそのまま参照・依拠することができることが成文化されました。加えて、配合剤などの申請、およびPHS法に基づいて認可の対象となる製品の治験薬申請(IND)申請に際しても、同様にDMFの情報を参照・依拠できることを成文化しました。この規則は2024年03月13日に発効します。この最終規則は、医薬品もしくはその原薬などを製造している事業者に影響が及びます。
食品医薬品局(FDA)とドラッグマスターファイル(DMF)とは
保健社会福祉省(Department of Health and Human Services、HHS)の食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は、食品や医薬品の規則や基準、ガイドラインを規定し、これら製品の安全性を確認する責任を担っています。
ドラッグマスターファイル(Drug Master File、DMF)は、製剤を行う企業によって原薬や中間体、製剤原料、医薬品添加剤などの情報をFDAに任意で登録する米国の制度を言います。日本の原薬等登録原簿と呼ばれる制度と同様です。医薬品など審査では、それに係る原薬や中間体などの製造に使われる材料の情報、つまり生物学的製剤の場合細胞や培地、培地添加物などの製造方法や製造管理、品質管理などに関わる情報を、医薬品を製造・販売する製薬企業などの申請者がFDAに提出する必要があります。しかし、このような情報は、原薬などを製剤する企業にとって知的財産や機密性の高いノウハウに当たるため、新薬承認申請(New Drug Application、NDA)を行う製薬企業に開示しづらいものとなっています。このような開示しづらい、よって申請しづらい状況を回避するため、FDAは、DMFの制度をつくりました。原薬などを製剤する企業があらかじめDMF登録を行うことで、NDA申請者である製薬企業は原薬などの情報に関してはDMFを参照・依拠するだけのNDAを行うことができる、医薬品の審査・認可に関する制度です。FDAは、後発医薬品の審査過程を合理化するため、製薬企業による後発医薬品の承認申請に際し、原薬や中間体、製剤原料、医薬品添加剤などを扱う企業にDMF制度の利用を奨励しています。
最終規則の主な規定の概要
この最終規則において、FDAは公衆衛生(Public Health Service、PHS)法に基づいて認可される生物製剤のライセンス申請(Biologics License Application、BLA)および治験薬申請(Investigational New Drug Application、IND)においてDMFの適用に関する規則を改正しました。この最終規則では、以下のFDAの申請に関する既存の慣行が成文化されました。
①連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act、FD&C)に基づく生物学的製剤のNDAにおいて、生物製剤価格競争及び革新法(Biologics Price Competition and Innovation Act of 2009、BPCI)法に従って「最初の医薬品」のBLAが行われた時点でDMFに記載された薬物物質(Drug Substance、DS)/薬物中間体(Drug Substance Intermediate、DSI)/ 医薬品(Drug Product、DP)に関する情報を参照し依拠していた場合、いわゆる後発医薬品のNDAでもその依拠を継続できることが成文化されました。これにより、後発医薬品の申請が促進されると考えられます。
②①の範囲外のBLAについては、DS/DSI/DP情報についてはDMFに依拠することはできないが、その他の情報はDMFに依拠することができるというFDAの既存の慣行を成文化しました。
③BLAとして認可の対象となる製品のINDは、マスターファイルに含まれるDS/DSI/DP情報を含むあらゆる情報を参照により取り込むことができるというFDAの慣行を成文化しました。これにより、後発医薬品のINDが促進されると考えられます。
④ただし、PHS法に基づくBLAは、組み合わせ製品の生物学的製剤の構成部分(配合剤)についてはDMFに含まれるDS/DSI/DP情報を参照により組み込むことはできないとしました。一方、非生物学的製剤の配合剤については組み込むことができるとし、成文化しました。
参考情報
生物学的製剤、配合剤、または治験申請における、原薬の情報を記載したドラッグマスターファイル(DMF)の適用に関する規則を改正し、最終規則として発表
注目情報一覧
新着商品情報一覧
-
2025.12.24
中国|国家認証監督委員会秘書処「2025版の解釈』の印刷発表に関する通知
-
2025.12.24
タイ|第2種・第3種水利用に係る省令の改正草案2件に対する意見募集
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など