EPA、環境に対してクリーンな建設資材を表示する新プログラムについて意見を募集
2024年02月15日、米国環境保護庁(EPA)は、バイデン・ハリス政権が掲げる「米国への投資(Investing in America)」政策の一環として、インフレ抑制法を原資とした「低炭素建材ラベルプログラム」を実施するための方法案について、一般からの意見を募集しました。EPAは、この提案に関するウェビナー説明会をすでに開催しており、意見も2024年03月15日まで受け付けていました。この規則案の内容は、建築資材などの製造者、機関投資家、不動産開発業者、建設業者に影響が及びます。
インフレ抑制法とは
インフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)とは、2022年08月16日にバイデン大統領の署名を経て成立した法律で、10年間(22~31年度)で財政赤字を約3000億ドル削減することで、インフレの減速を狙うことを目的としています。内訳を見ると、法人税の最低税率の設定で約2,220億ドル、自社株買いに対する1%課税で約2,220億ドルと、法人企業を対象とした課税で財政赤字を約7,370億ドル減らす予定となっています。一方で、それを原資として「エネルギー安全保障と気候変動」の分野へ、税控除、融資や補助金などを通じて、米国市場最大である3,690億ドルを投じる構成となっています。
建設資材の「具現化された炭素(Embodied Carbon)」とは
具現化された炭素(Embodied Carbon)とは、具体的に示された温室効果ガス(greenhouse gas、GHG) 排出量とも呼ばれ、製品の製造段階である原材料の採掘、生産、輸送、製造過程で使用されるGHG排出量をいいます。
米国内では、道路、高速道路、橋、ビルや住宅、学校、公園などのインフラを支えるものも含むたくさんの建築物があります。そして、これら建築物の建設、維持、運営のために、何十億トンものコンクリート、アスファルト、鉄鋼、ガラス、その他の建設資材や製品が必要とされています。建設資材や製品は、社会的・経済的に多くの利益をもたらす一方で、環境へ大きな影響を与えています。米国の産業部門は米国の年間GHG排出量のほぼ3分の1を占め、建設資材・製品の製造で使用される「具現化された炭素」量はそのうちの11%を占めています。
「低炭素建材のラベルプログラム」提案の背景と目的
近年、米国環境保護庁(EPA)は、バイデン・ハリス政権の「米国への投資(Investing in America)」政策の一環として、インフレ抑制法に基づいたGHG削減を目指す様々なプログラムを立ち上げています。
このプログラムの一つとして、EPAは既に建設製品や建設資材の低炭素化を対象とした「低炭素建材ラベルプログラム」をインフレ抑制法から約1億ドルを原資として立ち上げました。EPAは、「低炭素建材ラベルプログラム」において、GHGの低減だけでなく、米国において製造された炭素の排出量が低い建設資材の購入を促進することで、米国の「高賃金の雇用」と「産業競争力強化」も目的としています。そのため、バイデン・ハリス政権と連邦政府は、すでに一般調達局(General Services Administration)や連邦道路局(Federal Highway Administration、FHWA)などを通じて、連邦プロジェクト、つまりインフラで使用するために、40億ドル以上の米国製の低い「具現化された炭素」量をもつ鋼、コンクリート、アスファルト、ガラスの調達を開始し、環境に対してクリーンな建設資材の市場を活性化させています。
提案された「低炭素建材のラベルプログラム」の内容
EPAは、すでに行われていた意見募集を参考にして今回プログラムにより、主に以下のことを施行することを提案しています。
- 建設資材のラベル(表示)プログラムとして、何が「クリーン」な建設資材であるかを定義
- 製品の主要な環境への影響を開示する環境製品宣言(Environmental Product Declarations、EPD)を作成する際に製造者が使用するデータの標準化と改善
- EPDや他の情報源から得たデータを使用して、低炭素ラベルの対象となる製品の体積当たりの「具現化された炭素」量に関する基準値を設定する計算方法
- 建設材料と製品を認証し、認証製品の登録簿を作成
これら提案に対する意見は、2024年03月15日まで受け付けていました。
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