2025.11.12
米国|エネルギー省(DOE)、223の財政支援プロジェクトに属する321件の助成金の支払中止を発表
クリーンエネルギー、エネルギー効率・再生可能エネルギー、送電網展開、製造へのエネルギー供給、エネルギーに関する先端研究、化石エネルギーに関わるプロジェクトの一時停止
2025年10月02日、米国エネルギー省(DOE)は、助成金交付などを介して支援していた321件、約75億6000万ドルの財政支援(助成金)を停止すると発表しました。中止されたプロジェクトの多くはクリーンエネルギーや再生可能エネルギー関連で、停止は米国政府のエネルギーに関する政策転換の影響を受けた結果です。これらの財政支援を受けていた州政府、自治体、企業、研究機関のプロジェクト、スケジュール、資金調達に大きな影響が出ており、関連する事業体は注意が必要です。
財政支援停止の背景
2025年01月20日、「アメリカのエネルギーの解放」という大統領令(EO)が発表されました。この大統領令において、エネルギー関連政策の優先事項の改訂が定められ、インフレ抑制法(IRA)および超党派のインフラ法に基づいて利用可能となった資金の支出を一時的に停止することが義務付けられました。そのため、現政権下のDOEは、前政権下で選挙日から就任式日までの間に決定されていた223の財政支援プロジェクトに属する全体の26%(321件)を中心に、財政支援の審査を行っていました。
2025年05月、DOE長官は長官覚書を発表し、財政支援の評価に関する新方針を確立しました。この新しい方針は、プログラム担当部署に助成金受給者に対し追加情報の提出を求める権限を付与しました。また、大統領が掲げる「国民に手頃で信頼性が高く安全なエネルギーを供給する」という公約を推進するため、助成金の審査を個別事例ごとに実施することを義務付けました。
DOE以外の省が2025年に停止したエネルギー関連の財政支援
2025年01月20日の「アメリカのエネルギーの解放」という大統領令を受け、以下のDOE以外の省からの財政支援も停止されました。
- 国家電気自動車インフラ整備(National Electric Vehicle Infrastructure、NEVI)プログラム:超党派のインフラ法により充電ステーション設置のために連邦高速道路局(Federal Highway Administration、FHWA)が配分していたプログラム。2025年02月に州の担当当局に通達された。
- 低所得世帯向け住宅エネルギー支援(Low‑Income Home Energy Assistance、LIHEAP)プログラム:約600万世帯を対象に冬季暖房・夏季冷房のための光熱費支援を行ってきた、保健福祉省(HHS)が配分していたプログラム。
DOEが停止した財政支援の内容
2025年10月02日、DOEは、それぞれの助成金を評価・審査し、223の財政支援プロジェクトに属する321件の助成金受給者は、経済的基準、国家安全保障基準、エネルギー安全保障基準を満たしておらず、継続的な支援が必要ないと判断しました。この中には、クリーンエネルギー実証室(OCED)、エネルギー効率・再生可能エネルギー室(EERE)、送電網展開室(GDO)、製造・エネルギー供給チェーン室(MESC)、エネルギー先端研究プロジェクト庁(ARPA-E)、化石エネルギー室(FE)が配分していたプロジェクトが含まれています。助成金受給者は終了決定に対して、30日以内に異議申し立てを行う権利を有しています。
これらの財政支援プロジェクトを受けていた州政府、自治体、企業、研究機関に関連する事業体、特にエネルギー関連の事業体はその内容に注意が必要です。
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