TSCA改正後の初のリスク管理規則案
2022年04月05日、米国環境保護庁(EPA)は、現在米国に輸入されている唯一の既知の形態のアスベスト(リソタイルアスベスト)の継続使用を禁止する規則案を公表しました。
この規則案は、2016年に制定された有害物質規制法(TSCA)のもと、既存の化学物質の安全性を評価し対処する新しいプロセスの下で出される初のリスク管理規則となります。
概要
この規則案は、現在米国に輸入されている唯一の既知のアスベストであるクリソタイルアスベストを禁止するものです。具体的には、アスベスト製ダイヤフラム、シートガスケット、ブレーキブロック、アフターマーケット自動車ブレーキ/ライニング、その他の車両摩擦製品、またその他のガスケットといった製品に含まれており、米国に輸入されているものが対象です。
EPAはまた、業界基準、労働安全衛生局の要件、およびアスベスト有害大気汚染物質国家排出基準(NESHAP)に沿った、対象となる廃棄および記録管理の要件を提案しています。提案された廃棄・記録管理要件は、最終規則の発効日から180日後に発効する予定とされています。
背景
提案は、アスベストやその他の既存化学物質による人体へのリスクに対処するEPAのTSCA上の権限を大幅に弱めたEPAの1989年のアスベスト禁止令を大きく覆した1991年の裁判所判決を是正するものとされています。
2016年のTSCA改正により、化学物質を包括的に優先順位付けして評価し、あらゆる不合理なリスクに対して強力かつタイムリーな保護を導入することが義務付けられ、抜本的に変革されていました。
アスベストにはいくつかの種類が知られていますが、現在米国内で使用するために輸入、加工、流通されているのはクリソタイルアスベストのみです。
現在米国に輸入されている生のクリソタイルアスベストは、塩素アルカリ産業で独占的に使用されています。歴史的にクリソタイルアスベストを含んでいたほとんどの消費者向け製品は製造中止になっています。
2020年12月、EPAは最終リスク評価を発表し、6つのカテゴリーの製品に関連する使用条件から、人の健康に対する不合理なリスクを発見していました。
塩素アルカリ化学品は、国民経済にとって重要な分野や、塩素アルカリ法で製造された塩素を使用する飲料水処理など、人の健康を守るために役立つ業務で使用されていることが知られています。
塩素は水処理によく使われる殺菌剤ですが、塩素と水酸化ナトリウムの生産にアスベスト製ダイヤフラムを使用している塩素アルカリ工場は、米国内で10カ所しかない(工場は今年中に閉鎖される予定)と公表されています。
アスベスト製ダイヤフラムを使用している残りの9つのクロールアルカリ工場は、築40年から123年と幅広く、約17年間でアスベスト製ダイヤフラムの使用を増やした工場はないと説明されています。塩素アルカリプラントにはアスベスト含有ダイヤフラムの代替品が存在し、代替品、特に膜セルの使用は国内のクロルアルカリ生産のほぼ半分を占めているとされます。
詳細
■ 規則案では、アスベスト製ダイヤフラム、シートガスケット、油田用ブレーキブロック、アフターマーケット用自動車ブレーキおよびライニング、その他の自動車摩擦製品、その他のガスケットの6種類のクリソタイルアスベスト含有製品の製造(輸入含む)、加工、商業での流通、商業利用を禁止するとしています。
■ 商業ベースでの製造・加工・流通の禁止は、クリソタイルアスベストの消費者暴露にも対応するものとされています。
■ 商業用アスベスト製ダイヤフラムとシートガスケットに関する禁止事項は最終規則の発効日から2年後に、油田用ブレーキブロック、アフターマーケット用自動車ブレーキとライニング、その他の自動車用摩擦製品、その他の商業用ガスケットに関する禁止事項は最終規則の発効日から180日後に発効するよう提案されています。
改正箇所
40 CFR Partr 751 TSCA第6条に基づく特定の化学物質及び混合物の規制
■ Subpart Fを新設
Subpart F Chrysotile Asbestos(クリソタイルアスベスト)
751.X01 General.(一般条項)
751.X03 Definitions.(定義)
751.X05 Restrictions on Conditions of Use.(使用条件に関する制限)
751.X07 [Reserved]
751.X09 Disposal.(廃棄)
751.X11 Recordkeeping.(記録保持)
アスベストに係わる別の規制化の動き
EPAは、アスベストの補足リスク評価において、レガシー用途とそれに伴う廃棄、クリソタイル以外のアスベスト繊維の種類、およびタルクとタルク含有製品におけるアスベストの使用状況についても評価しています。
2021年12月にアスベストリスク評価第2部の範囲案を公表しており、2024年12月1日までにリスク評価の最終版を公表する予定としています。
参考
■ TSCA Section 6 Risk Management for Asbestos, Part 1: Chrysotile Asbestos
■ 官報公示前テキスト
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