米国|大統領覚書「技術移転、知的財産、イノベーションに関連した中国の行為、政策、慣行に関する301条調査の4年間の法定見直しとそれに関連する米国の行動」を発表

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米国|大統領覚書「技術移転、知的財産、イノベーションに関連した中国の行為、政策、慣行に関する301条調査の4年間の法定見直しとそれに関連する米国の行動」を発表

通商法第301条に基づく調査結果を理由に、自動車の電池部品の中国製製品の税率を引き上げ

2024年05月20日、大統領府による大統領文書「技術移転、知的財産、イノベーションに関連した中国の行為、政策、慣行に関する301条調査の4年間の法定見直しとそれに関連する米国の行動」を発表しました。米国通商代表部は、2022年05月05日より進められていた、中国の技術移転、知的財産及びイノベーションに関連する行為、政策及び慣行に関する調査(301条調査)の所見を発表しました。

その結果を受け、大統領府では、通商代表に電池部品などの中国産製品に対する301条従価税率を25%程度引き上げるべく、製品のリストと関税引き上げ案を公表するよう指示しました。

通商法第301条とは

1974年通商法301条(Section 301 of the Trade Act of 1974、別名スーパー301条)とは、1988年包括通商競争力法(Omnibus Foreign Trade and Competitiveness Act)により、1974年通商法に第310条として追加された、対外制裁に関する条項の一つです。1974年通商法第301条は「貿易相手国の不公正な取引慣行に対して当該国と協議することを義務づけ、問題が解決しない場合の制裁について定めた条項」をより強化した内容です。

この通商法301条で、米国通商代表部(United States Trade Representative)は、優先的に取り上げる外国及びその国の慣行(priority practices)を特定し、議会に報告するとともに、場合によっては特定された慣行について「通商法301条調査」を開始します。

米国通商代表部のレビュー調査と報告書の内容

2018年07月06日および2018年08月23日、米国通商代表部は、パーソナルコンピュータとスマートフォンや衣料品などといった輸入額の大きい品目を除外し、産業用ロボット、医薬品や医療機器、電気自動車、半導体など、いわゆる中国製ハイテク製品である1300品目の特定し、制限を発表しました。

2022年05月05日、通商代表部は、2018年7月と8月に行われた2つの措置の法定4年レビュー調査(書面提出を含む審査)を開始し、通商法第307条に基づいて、これら措置の目的達成のための有効性、取り得る他の措置、および消費者を含む米国経済に対する措置の影響などを包括的な報告書にまとめていました。

大統領覚書の内容

報告書を考慮し、以下の5点が、大統領府より問題と指摘されています。

  1. 通商法301条に基づく関税の賦課(301条関税)は、中国が外資法および行政許可法の一定の改正など、301条調査で指摘された問題への対応に一定の前向きな措置を促す上で効果的であったが、中国の行動は体系的かつ持続的な対応とはなっていない。
  2. 中国においては、問題となっている技術移転関連の行為、政策、慣行の多くを撤廃しておらず、米国の通商に対する負担や制限を除去していない。
  3. 中国は、技術移転に関連する行為、政策、慣行に対する否定的な認識に対処するために限定的な措置を講じているものの、サイバー侵入やサイバー窃盗を通じて、外国の技術や知的財産を積極的に取得・吸収しようとし続けており、米国の通商に対する負担や制限に拍車をかけている。
  4. 301条関税は、問題となっている中国の行為、政策、慣行に対する米国の個人と商取引の露出を減らすという点である程度効果があった。
  5. 301条の追加関税は、中国が問題となっている行為、政策、慣行を撤廃するインセンティブを与えるだろう。

以上の指摘された問題点を元に、大統領府から通商代表部へ以下の関税に関する指示が行われました。

  1. 関税(a):通商代表部は、301条調査の下で実施された2つの措置の対象となる従価税率と製品リストを維持する。問題となっている行為、政策、慣行の撤廃を中国にさらに促すため、また、これらの行為、政策、慣行による負担を減じるため、通商代表部は、以下の中国産製品に対する301条従価税率を例外を除き2024年より25%に引き上げる。
  • 電池部品(非リチウムイオン電池)
  • 電気自動車の電池部品(非リチウムイオン電池)
  • リチウムイオン自動車用電池:2024年または2026年に25%に引き上げ
  • 然黒鉛:天然黒鉛:2026年に25%に引き上げ
  • その他の重要鉱物
  • 永久磁石:永久磁石:2026年に25%に引き上げ
  • 半導体
  • 船舶対岸クレーン
  • 太陽電池(モジュールに組み立てられているか否かを問わない)
  • 鉄鋼・アルミニウム製品:鉄鋼・アルミニウム製品
  • 個人用保護具(マスク、医療用手袋、注射器および注射針)については、通商代表部に対し、表示された税率以上に関税率を引き上げるよう指示する
    • マスク:2024年に税率を25%
    • 医療用手袋:2024年に税率を25%
    • 注射器と注射針:2024年に税率を25%
  1. 関税(b):(a)の目的を達成するため、通商代表部は、製品のリストと対応する関税引き上げ案を公表する。通商代表部は、通商法第307条に従った通告・意見公募を経て、適切な関係省庁および委員会と協議した後、製品および関税引き上げの最終リストを公表し、関税を実施するものとする。
  2. 関税(c):通商代表部はまた、利害関係者が国内製造に使用される特定の機械を、第301条関税から一時的に除外するよう要求できる方法を確立し、太陽電池製造装置を優先的に除外するものとする。通商代表部は、除外要請の提出手続きや、そのような要請に反対する利害関係者のための手続きを含む、機械の除外手続きについて記載した通知を別に公表するものとする。

今後、中国製の電池部品など、もしくはそれらが含まれる機器を輸入するなどを行っている事業体やその関連事業体は注意が必要です。

参考文献

大統領覚書「技術移転、知的財産、イノベーションに関連した中国の行為、政策、慣行に関する301条調査の4年間の法定見直しとそれに関連する米国の行動」を発表

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