米国|HFCの段階的削減:住宅用および小型商業用空調およびヒートポンプ式冷媒流量可変システムへのHFCの使用制限

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米国|HFCの段階的削減:住宅用および小型商業用空調およびヒートポンプ式冷媒流量可変システムへのHFCの使用制限

EPA、米国技術革新製造法(AIM法)に基づく技術移行規則の改正を提案

2024年06月26日、米国環境保護庁(EPA)は、米国革新技術製造(AIM)法に基づき公布された技術移行規則の規定を改正することを提案しました。2026年01月01日以前に米国で製造または輸入された部品を使用する、毎時65,000英熱単位以上の新規の住宅用および小型商業用の空調およびヒートポンプ式冷媒流量可変システムの設置期限を2027年01月01日までとする提案です。

冷媒流量可変システムの設置期限を現行の2026年01月01日から1年追加し、HFCを使用するこれらシステムが大量に在庫として残ってしまう状況を防ぐことが目的です。この規則案に関する一般からの意見は、2024年07月26日まで募集されました。

米国革新技術製造(AIM)法とは

American Innovation and Manufacturing Act of 2020(2020年米国技術革新製造法)のことで、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)がハイドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbons、HFC)の生産量や(輸入などからの分も含む)その消費量を、2011〜2013年を基準年として、2036年までに約15%まで段階的に削減することを義務付けた法律です。

AIM法は、トランプ大統領が2020年12月27日に署名し、1.4兆ドルの政府支出法案と9,000億ドルの新型コロナウイルス感染救済法案を含んだ2021年連結歳出法(Consolidated Appropriation Act, 2021)という超党派の大規模な法案群の一部となっています。

具体的には、EPAはこの法律の下で、「HFCの生産と(輸入に伴った)消費を段階的に削減する」こと以外に、「回収、再利用、および整備、修理、廃棄の方法改善を通じて、冷媒として使用されるHFCの管理のための基準を確立する」「小規模企業向けの3年間の助成金プログラムを創設し、使用済み冷媒の回収および再生を促進するために毎年500万ドルを配分する。」「次世代技術への移行を促進するために、事業者セクター別に使用制限を設ける」ことを施行します。AIM法では、ギガリ改正で記されたHFCのリストが段階的削減の対象となっています。

この改正案の背景

2023年10月24日、EPAの(次世代技術への)技術移行プログラムを確立した最終規則である技術移行規則(Technology Transitions Regulations)が連邦官報より発表されました。この規則は、地球温暖化係数(Global Warming Potential、GWP)に基づいて特定のHFCが使用されている40種以上の機器の使用を制限しました。

また、工場完成製品の製造と輸入や、GWPの上限を超えるHFCを使用する冷凍・空調・ヒートポンプシステムの新たな設置なども禁止しています。これらの制限の遵守日は機器の種類によって異なり、2025年01月01日から2028年01月01日までとなっていす。また、この規則は、製造および輸入の禁止から3年後に、関連する制限に準拠していない工場完成製品の販売、流通、および輸出も禁止しています。ただし、この技術移行規則の考慮が必要な事項として、既存の機器の在庫が滞らないようにすることがありました。

技術以降規則の発行後、これら機器の製造業者、輸入業者、および販売業者は、「住宅用および小型商業用空調およびヒートポンプシステム」と「住宅用および小型商業用可変冷媒流量(variable refrigerant flow、VRF)システム」の2つのカテゴリーに属する機器に関する規則の内容を明確にするように求めました。

2023年11月13日付けのEPA宛ての書簡では、AHRI(Air-Conditioning, and Refrigeration Institute)、Alliance for Responsible Atmospheric Policy、HARDI(Heating, Air-conditioning & Refrigeration Distributors International)の各組織が、2つのカテゴリーに属するシステムの構成要素(コンポーネント)について報告しています。

これによると、2025年および2026年01月01日の段階で2つのカテゴリーに属する機器はGWPが700以上の規制物質を使用していることが考えられ、それぞれの遵守日以降に新規でこれらシステムを設置することは、旧型の在庫が残り新型が枯渇するために、困難になると報告されています。製造業者なども、「建設業者の多くは設置の正確な日付を確定する前に暖房および冷房機器を注文するため、新築の住宅において2026年01月01日以降これら(旧型の)システムが使えないことは、建築業者が在庫を抱えてしまい、大きな問題となりうる。」と述べています。

このコメントに従い、2023年12月26日、EPAは暫定最終規則を発令し、米国で製造された、または米国に輸入されたコンポーネントを使用する場合、空調とヒートポンプシステムの設置遵守日を2025年01月01日から2026年01月01日に延長しました。今回、EPAは、VRFシステムの設置についても同様の調整を提案し、2026年01月01日より前に米国で製造された、または米国に輸入されたコンポーネントを使用する場合、VRFシステムの設置遵守日を2026年01月01日から2027年01月01日に延長することを提案しています。

この改正案の対象事業体

住宅用および小型商業用のエアコンおよびヒートポンプ機器を製造、輸入、輸出、販売またはその他の方法での流通、および設置を行う事業体が、この規則案により影響を受ける可能性があります。

この改正案の内容

「2026年01月01日まで」に米国で製造された、またはこれより前に米国に輸入されたコンポーネントを使用したシステムで、65,000英国熱量/時(British thermal units per hour、BTU/h)以上の可変冷媒量(variable refrigerant volume、VRV)または可変冷媒流量(variable refrigerant flow、VRF)の技術を使用した、新規の住宅用および小型商業用の空調およびヒートポンプシステムの設置に関して、「2026年01月01日まで」が遵守期限でしたが、これに1年間が追加され、「2027年01月01日まで」となりました。

この規則案では、2026年以前の調節ユニット、室内エバポレーター、およびエアハンドラーで、AIM法に記載されている2つの規制対象HFCの混合物であるR-410A、または2023年の技術移行規則の制限を満たさないその他の規制物質およびその混合物を使用する新規システムで、システムが2027年01月01日より前に組み立てられている場合に対象となります。

参考情報

HFCの段階的削減:住宅用および小型商業用空調およびヒートポンプ式冷媒流量可変システムへのHFCの使用制限

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