長鎖PFCAも対象
2022年05月24日、欧州化学品庁(ECHA)は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の附属書収載の候補となる物質に係わる公開協議の情報を更新し、5項目についての意見募集を開始しました。
2022年07月19日までの意見募集期間となっています。
対象物質
公開協議の焦点については、後述の「POPs条約の対象物質追加の流れ」を確認ください。なお、5物質ではなく5「項目」としているのは、物質群としてのエントリー(項目)もあるためです。
今回注目したいのは、「Long-chain perfluorocarboxylic acids, their salts and related compounds」、いわゆる「長鎖PFCA」「LC-PFCA」として知られる物質とその塩、関連化合物が候補となっている点です。
EUではREACH規則の制限対象として、C9-C14 PFCAの制限を定める改正規則が公布され、2023年02月から一般的な要件が適用されるところですが、POPs条約およびPOPs規則で長鎖PFCAも規制されると、より広範囲のPFCAが、EUではREACH規則とPOPs規則により制限されることになるでしょう。
なぜPOPs条約の対象物質についてEUで検討するのか
国際条約であるPOPs条約には、POPsレビュー委員会(見直し委員会、評価委員会、POPs Review Committee;POPRC)という補助組織が設けられています。POPRCは、条約の附属書A(廃絶)、附属書B(制限)、附属書C(非意図的生産)の対象となる物質に関する提案の評価を行う組織です。
そして、その評価対象の提案は、各条約加盟国が提出できるものとなり、EUもその資格を有しています。
そのため、必要に応じてEUのみならず、条約加盟国は対象物質の提案を行うことができる仕組みです。
また、提案に基づきPOPRCで評価され、締約国会議(COP)で決定が採択された後、条約附属書の改正が反映されると、各国の国内法にその内容を反映する動きへ移ることになります。EUの場合は、POPs条約の反映は主にPOPs規則でのEU法化となるため、ECHAでの提案の検討、POPRCやCOPでの審議、EUでの改正規則案の検討、改正規則の有無などに注意することが必要となります。
POPs条約の対象物質追加の流れ
1.化学物質収載の提案
締約国は、条約の附属書A、附属書Bおよび/または附属書Cに化学物質を掲載するための提案を事務局に提出することができます。事務局は、提案に附属書Dに規定された情報が含まれていることを確認し、検討のためにPOPRCに転送します。
2.POPRCスクリーニング
POPRCは、提案を審査し、附属書Dに規定された審査基準を適用します。
3.リスクプロファイル作成
POPRC はスクリーニング基準を満たすと判断した場合、締約国とオブザーバーに附属書 E で規定されている情報を提出するよう求め、リスクプロファイルを作成します。リスクプロファイルに基づき、POPRCはその化学物質が長距離環境輸送の結果、人の健康や環境に重大な悪影響を及ぼす可能性があり、世界的な行動が正当化されるかどうかを判断します。
4.リスク管理評価
POPRCが提案を進めると決定した場合、締約国及びオブザーバーに対し、付属書Fに規定された社会経済的配慮に関連する情報の提出を求め、リスク管理評価を策定します。
リスクプロファイルとリスク管理評価に基づき、POPRCは化学物質を附属書A、B、Cのいずれかに記載することを締約国会議で検討すべきかどうか勧告を行います。
5.附属書収載決定
締約国会議は、科学的不確実性を含むPOPRCの勧告を十分に考慮し、予防的な方法で、化学物質を附属書A、附属書B及び/又は附属書Cに記載し、その関連管理措置を明記するかどうかを決定します。
6.国内法化
締約国各国は、決定内容に基づき、POP条約の内容を規定する各国内法の改正を検討し、決定内容の反映を行います。
条約で決定されても、事業者に対して法的拘束力を持って直接影響を及ぼすのは各国の国内法となります。
しかし、条約の決定動向を把握していれば、その規制化の予測が可能なため、リスク管理の面からも推奨されます。
参考
■ POPs条約附属書収載の候補に係わる公開協議/ECHA
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