EU|EU理事会、エネルギー部門におけるメタンガス排出削減のための新規則に合意

HOME > 国・地域, セクター, 環境, 注目領域, EU|欧州連合, エネルギー・ガス・水道, 地球温暖化, > EU|EU理事会、エネルギー部門におけるメタンガス排出削減のための新規則に合意

EU|EU理事会、エネルギー部門におけるメタンガス排出削減のための新規則に合意

温暖化抑制に向けた誓約目標への努力

2022年12月19日、EU理事会は、エネルギー部門におけるメタン排出を追跡し、削減するための提案(一般的アプローチ)について合意に至りました。メタンは二酸化炭素に次いで重要な温室効果ガスであるため、気候変動対策に大きな影響を及ぼします。

一般的アプローチでは、全体として提案の規定を明確にし、海上プラットフォーム、地下パイプライン、または配電網のような異なるタイプのインフラを考慮に入れており、排出量の測定に使用される様々な装置の利用を可能にし、特定の国や地質学的状況における柔軟性が考慮されています。

背景

天然ガスの主成分であるメタンは、気候変動に対する全体的な寄与度では二酸化炭素に次いで高く、現在の温暖化の約3分の1を占めており、大気中のメタン量は、ここ10年で急激に増加しています。

メタンは強力な温室効果ガスであり、分子レベルでは二酸化炭素よりも強力です。また、対流圏オゾンの生成に寄与し、大気汚染物質として深刻な健康被害をもたらすため、メタン排出量の削減は、気候変動の抑制と大気質の改善の両方に貢献することになります。また、メタン排出の大部分は、費用対効果に優れた方法で削減することができるとされています。

EUのエネルギー同盟におけるガバナンスと気候変動対策に関する規則は、欧州委員会に対し、メタン排出量削減のための戦略的計画を策定するよう求めています。さらに、欧州グリーンディール・コミュニケーションにおいて、欧州委員会は、2050年までに気候変動による中立性を達成するというコミットの一環として、エネルギー関連のメタン排出に対処する必要があることを示しました。

メタン排出を削減するための政策行動は、2030年気候目標計画に向けたEUの脱炭素化の取り組みと、有害物質のない環境を目指すEUのゼロ公害の目標の双方に貢献することになります。

欧州委員会は、2021年12月15日、2050年までにEUで気候中立を達成することを目指し、欧州グリーンディールを実施するための「フィットフォー55」立法提案の第2部として、エネルギー部門におけるメタン排出削減に関する規制の提案を提示しました。本提案は、2020年のEUメタン戦略で示された戦略的ビジョンに沿ったものです。

2021年のCOP26国連気候会議で、EUは米国と共同で「グローバル・メタン・プレッジ」を立ち上げ、100カ国以上が2030年までにメタン排出量を2020年比で30%削減することをコミットしました。この30%削減するという世界メタン誓約(GMP)目標の達成のためには、短期的な温暖化を抑える最短の方法であり、1.5℃の気温制限を達成範囲内に抑制するために必要とされています。

この目標を達成することで、エネルギー安全保障、食糧安全保障、健康、開発の大きな利益がもたらされるとしています。

石油・ガス分野における合意事項

新規則の下では、事業者はメタン排出量を測定して報告書を作成し、独立した認定検証者によってチェックされ、メタン漏れを検知して修理することを要求されています。また、事業者は、提案された最小限の漏れ検知限界を持つ装置を用いて、さまざまな種類のインフラにおけるメタン漏れの調査を一定の間隔で実施することになります。

事業者は、検出後直ちに、そして遅くとも最初の試みには5日以内に、完全な修理には30日以内に、一定レベル以上のすべての漏洩部品を修理または交換し、より大きな漏れの修理を優先することが必要とされています。700mより深い沖合の油田、ガス田は、その深さからの排出物が大気に到達する可能性が限られていること、またそのような油田からの排出物を適切に測定する方法が不十分であることから除外される予定です。

一般的アプローチでは、検出限界と修理の閾値を引き上げ、排出量の割合が低い多数の小さな漏れよりも、大量の漏れに対処する効率を高めることが要求されています。メタンを大気中に放出する排気とフレアリングは、建設、修理、廃炉、安全性、部品の試験など、狭く定義された例外的状況を除いて禁止される予定です。

この禁止措置は、規制の発効と同時に適用されます。但し、許認可などの要件により実施が不可能な場合、あるいは機器の入手不可能により例外的に遅れる場合は、禁止措置の実施を最長で2年間延期することができます。

非稼働井戸からもメタンが排出されます。加盟国は、記録されたすべての非稼働井戸、一時的に塞がれた井戸、永久に塞がれ放棄された井戸の目録を作成し、公表します。一般的なアプローチでは、井戸の数が非常に多い(4万本以上)加盟国に対しては、より緩やかなアプローチが採用されることが予測されています。

加盟国は、休止中の坑井と一時的に塞がれた坑井を修復し、再生し、永久に塞ぐための緩和計画を策定することになります。水深200〜700メートルに位置する沖合坑井は、特定の状況において除外される可能性があります。

石炭分野における合意事項

石炭分野では、加盟国は操業中の地下鉱山と地表鉱山からのメタン排出量を継続的に測定し、報告することが義務付けらます。また、50年以上前に閉鎖・放棄された鉱山の公開目録を作成し、その排出量を測定することが義務づけられています。

2025年1月1日からフレアリングが禁止され、2027年1月1日から採掘量1キロトン当たり5トン以上のメタンを排出する炭鉱で、2031年1月1日から採掘量1キロトン当たり3トン以上のメタンを排出する炭鉱でガス抜きが禁止されます。閉鎖、放棄された鉱山からのガス抜きとフレアリングは、2030年1月1日から禁止される予定です。

EU域外のメタン排出量

EUのエネルギー輸入に伴うメタン排出量も追跡されることになります。新規則は、石油、ガス、石炭のEUへの輸入によるメタン排出の透明性を高めるグローバルな監視ツールを打ち出し、欧州委員会が将来さらなる措置を検討することを可能にするものです。

このツールの作成により、世界中の国やエネルギー企業のメタン排出抑制の実績と削減努力が示されることになります。米国、欧州連合、日本、カナダ、ノルウェー、シンガポール及び英国は、化石燃料からの温室効果ガス排出削減に関するエネルギー輸入業者と輸出業者の共同宣言を発表し、バリューチェーン全体でフレア、メタン、二酸化炭素の排出を可能な限り抑制する化石エネルギーの国際市場創設に向けて取り組むことにコミットしています。

この宣言は、世界のガス輸入量の半分以上と、世界のガス生産量の3分の1以上を対象としています。

GMPの中核的な実施パートナーであるUNEP(国連環境計画)の国際メタン排出観測所(IMEO)は、大規模排出事象の検知を拡大し、関係者に通知し、緩和の進展を支援・追跡するメタン警報、対応システム(MARS)を立ち上げました。

MARSでは、高解像度の衛星画像から大規模なメタンの排出元を特定し、関係する政府や企業などに通知します。また、メタンの排出元の監視を続け、排出元に状況をいち早く知らせて対応を促し、温室効果ガス排出の抑制を図るという機能を有しています。本システムについては、米国やEUの他、メタンの排出削減に取り組む環境基金などが当初の資金を提供しています。

また、メタン対策のための多国間資金については、世界銀行グローバル・ガスフレアリング削減パートナーシップが、2023年に信託基金の次のフェーズを開始し、グローバル・フレアリング及びメタン削減(GFMR)パートナーシップとなり、石油、ガスのバリューチェーン全体ですべてのメタン排出に対処する予定です。

参考情報

注目情報一覧

新着商品情報一覧

調査相談はこちら

概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。

(調査例)
  • ●●の詳細調査/定期報告調査
  • ●●の他国(複数)における規制状況調査
  • 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
  • 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム

    会社名・団体名

    必須

    ※個人の方は「個人」とご入力ください。

    所属・部署

    任意

    お名前

    必須

    メールアドレス

    必須

    電話番号

    任意

    お問い合わせ内容

    任意

    Page Top