EU|産業排出物指令に基づき、繊維産業に関する最良技術(BAT)結論の確立を委員会決定として公布

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EU|産業排出物指令に基づき、繊維産業に関する最良技術(BAT)結論の確立を委員会決定として公布

総合的な環境パフォーマンスの改善に向けたレビューの反映

2022年12月20日、欧州委員会は、産業排出物に関する欧州議会及び理事会指令2010/75/EUに基づき、繊維産業に関する最良技術(BAT)結論の確立を委員会決定(EU)2022/2508として公布しました。

BATとは

BAT(利用可能な最良技術)は、工業技術的、経済的に可能なレベルまで非意図的混入物や非意図的副生成物を低減するもので、「自主管理上限値の設定」や「管理方法(分析方法、分析頻度等)」などを明確にするものです。EUでは、IPPC指令を制定し、指定する活動からの環境汚染を防止、管理するため、対象施設の設置を許認可制としています。以下の通り、対象施設は、BATを適用し、汚染防止策を講じなければならないとしています。

・ BATの定義及びBATを決定する際の考慮すべき事項を規定すること。
・ 実際に技術を使用、開発する産業界だけでBATを決めるのではなく、各国の専門家や環境団体の意見が採り入れられていること。
・ 許認可の最終判断では、技術だけではなく、設置に係る技術特性や地理的立地、地域の環境条件を考慮することを定めること。

EUでは、IPPC指令において、汚染者負担の原則に基づき産業活動ができるだけ環境に影響を与えないために必要な規定を示しています。同指令で指定された施設の設置には、各国の機関から許認可を取得し、当該施設はBAT(2条)の考え方に基づくものでなければならないと定められています。

背景、経緯

利用可能な最良技術(BAT)の結論は、指令2010/75/EUのII章の対象となる施設の許可条件設定の参考となり、管轄当局は、通常の運転条件下で、排出量がBAT結論で定められた利用可能な最良技術に関連する排出レベルを超えないようにする排出制限値を設定する必要があります。

指令2010/75/EUの13条(4)に従い、2011年5月16日の欧州委員会決定により設立された加盟国、関係業界、環境保護を推進する非政府組織の代表からなるフォーラムは、2022年5月10日に、繊維産業向けのBAT参考文書の提案内容に関する意見を欧州委員会に提出しました。

その意見は一般に公開されています。本決定書の附属書に記載されたBAT結論書は、BAT基準文書の内容案に関するフォーラムの意見を考慮したものであり、BAT参考文書の主要な要素を含んでいます。本決定において規定される措置は、指令2010/75/EUの75条(1)により設立された委員会の意見に基づくものとなっています。

繊維産業におけるBATの結論

繊維産業におけるBAT結論について、委員会決定(EU)2022/2508の附属書から引用、仮訳して以下に示します。

附属書

1. 繊維産業における利用可能な最良技術(BAT)結論

適用範囲

■ 本BAT結論は、指令2010/75/EUの附属書Iで指定された以下の活動に関するものである。

・ 前処理(洗浄、漂白、マーセライズ加工などの処理)、または処理能力が1日あたり10トンを超える織物繊維または織物の染色処理。
・ 指令91/271/EEC の対象外であり、主な汚染物質負荷が本 BAT 結論の対象となる活動に由来する場合に、独自に運営される廃水処理。

■ これらの BAT 結論は、以下も対象としている。

・ 指令2010/75/EU の附属書 I のポイント 6.2 で指定された活動に直接関連する場合、以下の活動。

例)コーティング、ドライクリーニング、布地生産、仕上げ、ラミネート加工、印刷、ウールの化炭処理、毛織物加工、繊維の紡績(人工繊維を除く)、染色、印刷または仕上げに関連する洗浄、またはすすぎ、異なる起源からの排水の複合処理

・ 但し、主な汚染物質負荷がこれらの BAT 結論の対象となる活動に由来し、排水処理が指令 91/271/EEC の対象外であることを条件とする。

・ BAT結論の対象となる活動に直接関連する現場燃焼プラント、但し、燃焼のガス状生成物が、織物繊維または織物と直接接触する場合(直接加熱、乾燥、等)、または熱伝達流体を用いずに輻射熱及び/または伝導熱が固体壁を介して伝達される場合(間接加熱)。

これらのBAT結論は、以下を対象外としている。

・ 有機溶剤の消費量が1時間あたり150kgを超える、または年間200トンを超えるコーティングとラミネート加工。

これらは、化学物質による木材及び木製品の防腐を含む有機溶剤を用いた表面処理(STS)に関するBAT結論の対象となる。
・ 人造繊維及び糸の製造。
・ 人造繊維及び糸の生産。

■ これは、ポリマー生産部門を対象とするBAT結論の対象となりうる。

・ 皮革及び皮の脱毛。

■ 本BAT結論が対象とする活動に関連する可能性のある他のBAT結論及び参考文書には、以下が含まれる。

・ 化学物質による木材及び木製品の保存を含む、有機溶媒を用いた表面処理(STS)。
・ 廃棄物焼却(WI)
・ 廃棄物処理(WT)
・ 貯蔵からの排出(EFS)
・ エネルギー効率(ENE)
・ 産業用冷却システム(ICS)
・ IED設置場所からの大気及び水域への排出のモニタリング(ROM)
・ 経済学とクロスメディア効果(ECM)

■ これらのBAT結論は、化学物質の登録、評価、認可及び制限(REACH)、物質及び混合物の分類、表示及び包装(CLP)、殺生物製品(BPR)またはエネルギー効率(エネルギー効率一原則)など、他の関連法規を害することなく適用される。

(中略)

1.1. BATの一般的な結論

BAT1(総合的な環境パフォーマンス)

総合的な環境パフォーマンスを向上させるために、BATは以下の全ての特徴を組み込んだ環境管理システム(EMS)を精緻に作り上げ、実施することである。

i. 効果的なEMSを実施するための、上級管理職を含む経営陣のコミットメント、リーダーシップ、説明責任。

ii. 組織の状況の把握、利害関係者のニーズと期待の特定、環境(または人の健康)に対するリスクの可能性と関連する設備の特性の特定、及び環境に関して適用される法的要件の特定を含む分析。

iii. 施設の環境パフォーマンスの継続的な改善を含む、環境方針の策定。

iv. 適用される法的要求事項の遵守を保護することを含む、重要な環境側面に関する目的及びパフォーマンス指標を設定すること。

v. 環境目標を達成し、環境リスクを回避するために必要な手順と行動(必要な場合は是正措置と予防措置を含む)を計画し、実施すること。

vi. 環境側面及び目標に関する構造、役割及び責任、並びに必要な資金及び人材の提供の決定。

vii. 設備の環境性能に影響を与える可能性のある作業を行うスタッフの必要な能力及び意識の確保(例:情報及び訓練の提供による)。

(中略)

特に繊維産業については、BATは以下の特徴をEMSに取り入れることとしている。

xxi. インプットとアウトプットのインベントリー(BAT2参照)。

xxii. OTNOC(環境保護に重要な機器等の故障)管理計画(BAT 3 参照)。

xxiii. 水管理計画及び水監査(BAT10参照)。

xxiv. エネルギー効率計画及びエネルギー監査(BAT11参照)。

xxv. 化学物質管理システム(BAT14参照)。

xxvi. 廃棄物管理計画(BAT29参照)。

BAT2(適用性)

EMSの詳細度及び正式化の程度は、一般に、設備の性質、規模及び複雑さ、並びに設備が及ぼし得る環境影響の範囲に関連する。

総合的な環境パフォーマンスを改善するために、BATは、環境マネジメントシステム(BAT1参照)の一部として、以下の全ての特徴を組み込んだインプットとアウトプットのインベントリを構築、維持、定期的に(著しい変化が生じた場合を含め)見直すことである。

I. 生産工程に関する情報(以下を含む)。
 a. 排出源を示す簡略化された工程フローシート。
 b. 排出を防止または削減するための工程統合技術や排水、排ガス処理技術の説明(その性能(例:軽減効率)を含む)。

II. 繊維材料(BAT5(a)参照)、プロセス化学物質(BAT15参照)を含む使用材料の量と特性に関する情報。

III. 水の消費と使用に関する情報(例:フロー図、水のマスバランス)。

IV. エネルギーの消費と使用に関する情報。

V. 排水の流れの量と特徴に関する情報。
 a. 流量、pH、温度、導電率の平均値及びばらつき。
 b. 関連物質/パラメータ(例:COD/TOC、窒素種、リン、金属、優先物質、マイクロプラスチック)の平均濃度及びマスフロー値、並びにそれらの変動性。
 c. 毒性、生物学的除去性及び生分解性に関するデータ(例:BODn、BODnとCODの比)、Zahn-Wellens試験(生分解度試験法)の結果、生物学的阻害能(例:活性汚泥の阻害能)。

(中略)

BAT3(適用範囲)

インベントリの範囲(例:詳細度)及び性質は、一般に、設置の性質、規模及び複雑さ、 並びにそれがもたらす可能性のある環境影響の範囲に関連すると思われる。

OTNOCの発生頻度を減らし、OTNOC中の排出を削減するために、BATは、EMS(BAT1参照)の 一部として、以下の全ての要素を含むリスクベースのOTNOC管理計画を設定し実施することである。

i. 潜在的な OTNOCの特定、その根本原因、 潜在的な結果の特定、及び下記の定期的な評価に従った特定された OTNOC のリストの定期的な見直しと更新。

ii. 重要設備の適切な設計(例:排水処理、排ガス処理技術)。

iii. 重要な設備の点検及び予防保全計画の設定と実施(BAT1 xii 参照)。

iv. OTNOC期間中及び関連する状況における排出量のモニタリング(すなわち、推定又は可能な場合は測定)及び記録。

(略)

委員会決定(EU)2022/2508より引用・仮訳

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