欧州議会と理事会による自然再生法に関する暫定合意について
2023年11月09日、欧州委員会は自然再生法の制定に関して欧州議会と欧州理事会が合意に達したことを歓迎すると公表しました。自然再生法は具体的な目標として、2030年までにEU内の陸地の20%および海域の20%で生態系に対する回復措置を実施することを具体的目標として掲げています。今回の合意は2050年までの気候中立の達成や、気候変動によって被るヨーロッパが被る影響の軽減に貢献すると考えられています。
背景
自然環境の悪化がもたらす経済的コストは高く、回復のために1ユーロ投資すると8ユーロ以上の収益をもたらします。また、自然環境を整えれば、干ばつや洪水などの自然災害の影響を低減するだけでなく、安定的な食料安全保障の確保にもつながります。
しかし、生物多様性の喪失と生態系の破壊は深刻なペースで続いています。今までのEUおよび国際的な取り組みは、この環境破壊が続く状況を打破できていないのが実情です。
欧州環境庁の2018年版「EUにおける自然の現状」報告書や「生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」の調査において、ヨーロッパの生態系は肥料や化学物質の過剰使用などの土地利用がもたらす変化によって特に損害を被っていると報告されています。
そういった状況を踏まえ、2022年06月22日、欧州委員会は欧州グリーン・ディールとEU生物多様性戦略の要となる、自然回復法の提案を採択しています。
概要
自然再生法は具体的な目標として、2030年までにEU内の陸地の20%および海域の20%で生態系に対する回復措置の実施を具体的目標として掲げており、自然環境の持続的で継続的な回復プロセスの開始を目的としています。
回復目標は生態系に合わせて個別に適用されます。また、加盟国はそれぞれの領土で適用される具体的な措置を決定する必要があります。加盟国は地元コミュニティや市民社会と連動し、それぞれの回復ニーズに合わせた対策を行うための回復計画を策定することになります。
回復計画は刻一刻と変化する気候変動の状況、災害対策、農業や林業の状況を踏まえ、それらにも改善をもたらす内容にすべきです。
また、生態系回復の措置は2050年までにEU全体における回復が必要なすべての生態系に適用されます。加盟国は発効から2年以内に最初の自然回復計画を欧州委員会に提出する必要があります。
なお、自然再生法は、EUと加盟国が、2022年12月の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された生物多様性の世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で定められた再生目標の達成にも貢献します。
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