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注目法令案に関する暫定合意が次々と・・・

2023年12月後半、EU理事会と欧州議会がそれぞれの修正案を携えて、第一読会審議における事前の暫定的な合意を目指す非公式会合において、いくつかの法令案に対する暫定合意がなされました。これらの暫定合意は、欧州議会本会議での承認・採択、そしてEU理事会での承認・採択がなされれば、署名・官報での公布がなされる流れとなります。

■ ユーロ7規則案
■ 包装・包装廃棄物規則案 ★訂正
■ 欧州横断輸送網(TEN-T)改定規則案
■ 単一許可指令案
■ エネルギー供給に関する緊急措置規則案
■ サイバー連帯法案 など

概要・背景

ユーロ7規則案

■ ユーロ7規則案は、「2020年持続可能でスマートなモビリティ戦略」および「2021年ゼロ汚染行動計画」の一部として位置づけられ、2022年11月10日に欧州委員会により提示された。

■ 暫定合意では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 自動車とバンのユーロ6排出規制は維持されるが、バスと貨物車の規制値は引き下げへ。
ー ブレーキから排出される粒子(特に電気自動車)や寿命(lifetime)に関する規制も導入。
ー 大型バスおよびトラックの場合、亜酸化窒素(N2O)などユーロ6では規制されていなかった汚染物質を含め、さまざまな汚染物質についてより厳しい規制値設定へ。
ー 制動時の排出規制については、自動車とバンについて、純粋な電気自動車については標準走行サイクルで3mg/km、それ以外のパワートレインについては7mg/kmという具体的な規制値盛り込みへ。大型バンについては、純電気自動車で5mg/km、その他のパワートレインで11mg/kmの設定。
ー 寿命(lifetime)要件については、走行距離と寿命の両面で、すべての車両に対してより厳しい寿命要件を導入へ。
ー 適用開始時期は、
> 自動車とバンの新型式(new types)は30ヶ月、新車(new vehicles)は42ヶ月
> バス、トラック、トレーラーの新型式(new types)には48ヶ月、新車(new vehicles)には60ヶ月
> 搭載される新しいシステム、部品、個別の技術ユニット(自動車、バン):30ヶ月
> 搭載される新しいシステム、部品、個別の技術ユニット(バス、トラック、トレーラー):48ヶ月

包装・包装廃棄物規則案

■ 欧州委員会が2022年11月、現行の指令に代わる規則案を提出。(1/18報道は「暫定合意」についてではなく、「EU理事会の修正案の採択」についてのものと確認したため訂正)

■ 暫定合意EU理事会修正案では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 適用範囲について、欧州委員会案の範囲を維持し、使用されている材料にかかわらず、すべての包装材と、その起源(産業、製造者、小売業者、家庭を含む)にかかわらず、すべての包装廃棄物が対象となる。
ー 欧州委員会は、包装材に含まれる懸念物質について2026年までに報告書を作成
ー 上市されるすべての包装はリサイクル可能でなければならないという欧州委員会案を維持する一方、2035年以降、加盟国は、包装がリサイクル材料として設計されている場合、および廃包装が分別回収され、大規模にリサイクルできる場合には、リサイクル可能とみなすことで合意
ー プラスチック包装のリサイクル材料最低含有量に関する2030年および2040年という大枠の目標は維持
ー 欧州委員会は、2034年までに2030年目標の実施をレビューし、2040年目標の実現可能性を評価
ー ティーバッグと果物や野菜に貼られる粘着ラベルは堆肥化可能でなければならないことに合意し、加盟国がその他の包装(コーヒーポッドや軽量プラスチック製キャリーバッグなど)についても、特定の条件下で堆肥化可能であることを義務付けるオプションを導
ー 製造者と輸入者に対し、保護されたデザインの包装を除き、包装の重量と容積を最小限に抑えるよう義務付け 
ー 新しい規定では、青果物、食品・飲料、調味料、ソース(HORECAセクター)、宿泊施設で使用される小型の化粧品・トイレタリー製品(シャンプーやボディローションのボトルなど)の使い捨てプラスチック包装など、特定の包装形態に制限の導入 
ー 規則の適用期限を発効18カ月後に延長

単一許可指令案

■ 2022年4月27日、欧州委員会は2011年指令の更新を提案した。提案は、合法的な移民に関するEUの欠点に対処し、EUが必要とする技能や人材を誘致することを目的とした「技能・人材」パッケージの一環。

■ 暫定合意では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 更新内容は、加盟国領域内での就労を目的とした居住許可証の申請手続きを合理化するもの
ー 第三国の労働者は、第三国の領域から、または有効な滞在許可証の保有者であればEU域内から申請書を提出可能。
ー 単一許可証の発給は申請書受理後3ヶ月以内に行うことを決定。その後、加盟国は自国領域への最初の入国を許可するために必要なビザを発給する。
ー 単一許可証保持者は、所管当局への届出に従い、雇用者を変更可能。また、加盟国は、シングル・ビザ保持者が最初の雇用者のもとで就労しなければならない最低期間設定可能。失業した場合、失業期間の合計が単一許可証の有効期間中に3カ月、または許可証取得2年後に6カ月を超えない場合、第三国人労働者は加盟国に留まることが可能。

 

このほかにも、欧州横断輸送網(TEN-T)改定規則案や、エネルギー供給に関する緊急措置規則案、サイバー連帯法案などの暫定合意も確認されています。

参考情報

※ 暫定合意テキストの確認あるいは和訳相談等、調査相談、講演相談等についてはお問い合わせください
※ 以下には欧州委員会案もしくは理事会修正案、あるいは関連ページを紹介しています。

■ European Commission Proposal on Euro 7
■ Commission proposal for a regulation on packaging and packaging waste
■ Regulation on Union guidelines for the development of the trans-European transport network (TEN-T), Commission’s amended proposal, 27 July 2022
■ Legal migration: Council and Parliament reach deal on a single permit directive
■ Energy prices and security of supply: Council agrees to extend emergency measures
■ Prolongation of emergency regulations on security of supply and energy prices: Council adopts measures

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