EU域内外への廃棄物輸送を減らし、循環型経済を促進することが目的
2024年04月30日、欧州官報にて廃棄物輸送に関する改定規則 (EU)2024/1157が公布されました。官報掲載の20日後に発効し、2026年05月21日から適用となります。
この改正規制は、気候中立性、循環経済及び汚染ゼロを達成するため、廃棄物のEU域内外への出荷を削減するだけでなく、出荷手順を更新し、施行を改善することを目的としています。
背景
廃棄物輸送規制は、有害廃棄物の国境を越えた移動とその処分の規制に関するバーゼル条約の規定と、関連するOECD決定を EU法とするものです。
この規制の対象は、EUから第三国への廃棄物の輸出入、および EU加盟国間の有害廃棄物と非有害廃棄物の輸送です。
特に、OECDおよびEU諸国から非EUおよび非OECD諸国への有害廃棄物の輸出を禁止しています。 この規制では、廃棄物の輸送に関する通知と同意の手順も定められています。
2006年の同規制導入以来、EUから第三国、特にOECD非加盟国への廃棄物の輸出は大幅に増加しました。 廃棄物が仕向け先の国で持続可能な方法で管理されることを保証するための詳細な規定が欠如しているため、それらの国々では環境や公衆衛生上の課題が生じています。
今回の改正は、廃棄物の国際輸送が人間の健康と環境に脅威を与えないようにするための手順と管理体制を定め、EU内の循環経済における資源としての廃棄物の利用を促進します。
概要
この規則は、EU内での廃棄物の輸送(第三国経由の有無にかかわらず)、第三国との間で輸出入される廃棄物、およびEUを経由して第三国へ、または第三国からの輸送中の廃棄物の輸送を対象としています。
■ EU内輸送
- EU内で廃棄される予定のすべての廃棄物の輸送を原則禁止しています。
- 「事前の書面による届出および同意手続き」(PIC)の厳格な条件に基づいて同意・許可された場合、および正当な理由がある場合は認められます。
- リカバリー作業のための廃棄物のEU域内への輸送は、一般情報要件(グリーンリスト廃棄物)に規定されているそれほど厳格ではない手順に従って引き続き許可されます。
- 実験室での分析や実験を目的とする250kg未満の廃棄物の輸送は除外されます。
■ 届出手続き(PIC手続き)
- EU内の届出者および第三国への輸出者は、輸出前に発送国、目的地、通過国に通知し、書面による確認を受け取る必要があります。(PIC手続き) 規制によって要求される届出およびその他の文書は、欧州委員会が運営する中央電子システムを通じて提出および交換されます。
- 届出手続き、管轄当局による追加情報の要請、通知の有効性に関する当局による決定の具体的なスケジュールと期限が定められています。
- 届出者が管轄当局からの書面による同意に応答するスケジュール、および受け入れ施設が廃棄物の受け入れについて通知者と管轄当局に通知するスケジュールも定められています。
■ 廃棄物の輸出
- 加盟国が廃棄目的で廃棄物を第三国に輸出すること、リカバリー目的の場合であっても、非OECD諸国へ有害廃棄物を輸出することを引き続き禁止しています。
- EU加盟国外への輸送については、仕向国の廃棄物管理施設が独立した機関によって監査されます。 監査は、施設が環境に配慮した方法で廃棄物を処理していることを証明し、これが事実である場合にのみ、事業者はこれらの施設への廃棄物の輸出を許可されます。
■ プラスチック廃棄物の輸出
- 第三国へのプラスチック廃棄物を対象とした輸出規制が強化されました。
- 特に、非有害プラスチック廃棄物(B3011)の非OECD諸国への輸出は、同改正規則の施行の2年半後から原則として禁止されます。
- 非OECD諸国がEUのプラスチック廃棄物を輸入する希望をする場合、規制発効後5年以内に厳格な廃棄物管理基準を満たしている場合、欧州委員会からこれらの国に対する輸出禁止の解除を受けることで、EUから当該国への輸出が例外的に認められます。
- OECD加盟国へは、PICを利用することで、有害でないプラスチック廃棄物の輸出が認められています。
目次
表題I 一般規定
第1条 主題
第2条 範囲
第3条 定義
表題II 第三国を経由する、または経由しないEU域内での輸送
第4条 全体的な手続きの枠組み
第1章 事前書面届出
第5条 届出
第6条 契約
第7条 財務的保証または同等の保険
第8条 関係管轄当局による情報および文書の要求
第9条 管轄当局の同意および輸送、リカバリー、または廃棄の期間
第10条 輸送同意条件
第11条 廃棄処分予定の廃棄物の輸送条件
第12条 リカバリー予定の廃棄物の輸送に対する異議
第13条 一般届出
第14条 事前同意リカバリー施設
第15条 中間リカバリー及び中間処分に関する追加条項
第16条 輸送同意後の要件
第17条 同意後の変更
第2章 一般情報要件
第18条 一般情報要件
第3章 廃棄物の混合、文書化、情報へのアクセス
第19条 輸送中の廃棄物混同の禁止
第20条 書類と情報保持
第21条 輸送情報の公表
第4章 引き取り手続きと義務
第22条 同意された輸送が意図したとおりに完了できない場合の引き取り
第23条 一般情報要件の対象となる輸送が意図したとおりに完了できない場合の引き取り
第24条 輸送が予定通りに完了できなかった場合の引き取りにかかる費用
第25条 輸送が非合法であった時の引き取り
第26条 輸送が非合法であった時の引き取り費用
第5章 一般条項
第27条 電子提出及び情報交換
第28条 言語
第29条 分類問題
第30条 管理費用
第31条 国境地域合意
第32条 最外地域とその地域が属する加盟国との間の輸送
第33条 フェロー諸島からデンマークへの輸送
第6章 第三国を経由したEU内での輸送
第34条 廃棄予定の廃棄物の輸送
第35条 リカバリー予定の廃棄物の輸送
表題III 加盟国内での廃棄物の輸送
第36条 加盟国内での廃棄物の輸送
表題IV EU内から第三国への輸出
第1章 廃棄目的の輸出
第37条 廃棄予定の廃棄物の輸出禁止
第38条 EFTA諸国への廃棄予定廃棄物の輸出手続き
第2章 リカバリー目的の輸出
セクション1 OECD決定が適用されない国への有害廃棄物およびその他特定廃棄物の輸出
第39条 有害廃棄物およびその他の特定の廃棄物の輸出の禁止
セクション2 OECD 決定が適用されない国への非有害廃棄物の輸出
第40条 非有害廃棄物の輸出禁止
第41条 EUからのリカバリー目的の非有害廃棄物の輸出が許可されている国のリスト
第42条 輸出が許可される国のリストに含めるための要件
第43条 輸出が許可されている国のリストへの追加要請の評価
セクション3 OECD 決定が適用される国への輸出
第44条 廃棄物の輸出に関する一般制度
第45条 輸出と保障措置の監視
第3章 追加義務
第46条 輸出業者の義務
第47条 輸出する加盟国の義務
第4章 追加義務
第48条 南極への輸出
第49条 海外の国または地域への輸出
表題V 第三国からのEUへの輸入
第1章 廃棄目的の廃棄物輸入
第50条 廃棄予定廃棄物の輸入禁止
第51条 廃棄予定、または危機状況下、平和構築または平和維持活動中の廃棄物の輸入に関する手続き要件
第2章 リカバリー目的の廃棄物輸入
第52条 リカバリー目的の廃棄物の輸入禁止
第53条 OECD 決定が適用される国からの輸入、または危機状況または平和構築または平和維持活動中の他の地域からの輸入に関する手続き要件
第54条 OECD 決定が適用されない国からの、または国を経由する輸入の手続き要件
第3章 追加義務
第55条 EU内の目的地の管轄当局の義務
第4章 海外の国または地域からの輸入
第56条 海外の国または地域からの輸入
表題VI EU経由して第三国との間で通過輸送を行う場合
第57条 廃棄予定の廃棄物のEU内の通過
第58条 リカバリー予定の廃棄物のEU内の通過
表題VII 環境に配慮した管理と実施
第1章 環境に配慮した管理
第59条 環境に配慮した管理
第2章 実施
セクション1 加盟国による検査と罰則
第60条 検査
第61条 書類と証拠
第62条 検査計画
第63条 罰則
セクション2 実施協力
第64条 国レベルの実施協力
第65条 加盟国間の実施協略
第66条 廃棄物輸送実施グループ
セクション3 委員会による活動
第67条 一般条項
第68条 委員会による検査
第69条 情報要請
第70条 手続き保証
第71条 相互援助
表題VIII 最終条項
第72条 コミュニケーション手段
第73条 報告
第74条 国際協力
第75条 所管官庁の指定
第76条 特派員の指定
第77条 出入国税関の指定
第78条 指定に関する通知および情報
第79条 附属書I-XとXIIへの修正
第80条 委任行使
第81条 委員会手続き
第82条 規則 (EU) No 1257/2013の改正
第83条 規則 (EU) No 2020/1056の改正
第84条 レヴュー
第85条 廃止および経過規定
第86条 発効と適用
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など