EU|欧州デジタルIDウォレット関連の実施規則案を公表・意見募集を開始

欧州デジタルID改定規則を補完する実施規則

2024年08月12日、欧州委員会は、欧州デジタルIDウォレットに関する5つの実施規則案を公表し、意見募集を開始しました。期限は2024年09月09日です。

5つの実施規則案の採択は、2024年第4四半期中の予定です。 

  1. 信頼フレームワークに関する実施規則案
  2. 個人識別データと属性の電子認証に関する実施規則案
  3. プロトコルとインターフェースに関する実施規則案
  4. 整合性とコア機能に関する実施規則案
  5. 認証に関する実施規則案

背景

2024年04月30日、欧州委員会は欧州デジタルIDフレームワークの確立に関する改定規則 (EU)2024/1183を公布しました。

この改正規制は、EU共通規格に準拠した欧州デジタルIDウォレットの発行を全加盟国に義務付けることで、デジタルID (eID)による身分証明や個人認証をEU全域で可能にするものです。

この改正規則では、加盟国に対し、共通の技術基準に基づいて構築されたeID スキームに基づいてデジタルウォレットを発行することが求められています。 

第5a条(23)では、必要に応じて、委員会に参照規格のリスト、及びデジタルウォレットの実施のために必要な要件の仕様および手順を実施令により2024年11月21日までに確立することを義務付けています。

この第5a条(23)に従い、信頼フレームワーク、、個人識別データと属性の電子認証、プロトコルとインターフェース、整合性とコア機能に関する4つの実施規則案が公表されました。 また、欧州のデジタル IDウォレットの適合性認証の要件を定める実施規則案も同時に公表されました。

概要

1. 信頼フレームワークに関する実施規則案

この規制の目的は、電子通知システムが、欧州委員会と加盟国間の情報交換のための安全で透明な通信チャネルとして機能するようにすることです。 

この規則は、加盟国が新しいまたは更新されたデジタル ID ウォレットを導入したときに欧州委員会に通知する手順と要件を定めています。

発効は、官報掲載の12ヶ月後です。

2. 個人識別データと属性の電子認証に関する実施規則案

この規則は、個人識別データと電子証明書の発行、検証、失効、停止を含むライフサイクル管理を標準化するものです。

発効は、官報掲載の12日後です。

3. プロトコルとインターフェースに関する実施規則案

この規則は、ウォレットの効率的な運用に不可欠な共通のプロトコルとインターフェースを規定し、EU全体での互換性を確保するものです。

共通のプロトコルとインターフェースをサポートすることで、ウォレットは次のことを保証できます。

  • 識別データと電子証明書の発行と提示が成功すること。
  • ウォレットユニット間でのデータ共有が成功すること。
  • 関係者との効率的なコミュニケーション

発効は、官報掲載の12日後です。

4. 整合性とコア機能に関する実施規則案

この規則は、ウォレットが欧州連合全体で効果的に機能するために満たさなければならない重要な技術要件と運用要件を定義しています。主な内容は、以下のとおりです。

  • EUDIウォレットのコア機能:識別と認証、電子署名、資格情報の保管
  • 整合性とセキュリティ
  • ユーザー制御と透明性
  • 相互運用性と国境を越えた使用
  • 緊急およびバックアップ手順

発効は、官報掲載の12日後です。

5. 認証に関する実施規則案

欧州のデジタルIDウォレットの適合性認証の要件を定め、加盟国の国家認証制度の確立に関する規則です。

発効は、官報掲載の12日後です。

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