微量汚染物質に規制の範囲を拡大し、汚染ゼロ行動計画を達成るすことが目的
2024年12月12日、欧州官報に改訂都市廃水処理指令、(EU)2024/3019が公布されました。官報掲載の20日後に発効し、2027年07月31日までに加盟国で国内法化され、12条と13条、附属書のIIおよびIVは2027年08月01日に適用となります。
改訂指令は、欧州グリーンディールの一環として2050年までに有害な汚染物質の無い環境を目指す「汚染ゼロ」対策の重要な1つの位置付けとして導入されました。
改訂指令では、微量汚染物質の廃水処理に対する拡大生産者責任導入や再エネ利用促進しています。
背景
都市廃水処理指令は「都市源および特定の産業からの廃水排出による悪影響から環境を保護する」を目的に1991年に採択されました。
2019年に実施した指令の評価では、過去30年間にわたって水質汚染の削減と廃水排出の処理の改善に非常に効果的であることが証明されましたが、まだ十分に対処されていない汚染源がまだあることも示されました。
これには、小規模な集積地からの汚染や、広範囲にわたる有害な微量汚染物質が含まれます。さらに、評価では、都市廃水部門が公共部門で最大のエネルギー消費者の1つであることが強調されました。
これらの改善を踏まえた今回の改訂指令は、「汚染ゼロ」を2050年までに達成するための重要な新規則として2022年10月26日に改訂指令案が提出され、2024年01月29日に政治的に合意されたものです。
概要
新規則の概要は以下のとおりです。
- 汚染規制対象の拡大
- 加盟国は、都市廃水汚染の計算に使用される測定基準として、人口1000人以上の集落から、廃水を収集および処理することになります。(旧規則は2000人)
- 汚染に効果的に対処し、未処理の都市廃水が環境に排出されるのを防ぐには、人口1000人から2000人相当のすべての集落に収集システムを提供し、すべての家庭廃水源を2035年までにこれらのシステムに接続する必要があります。
2) 廃水処理義務の拡大
- 加盟国は2035年までに、都市廃水が環境に排出される前に、生分解性有機物を都市廃水から除去 (二次処理)する必要があります。
- 2039年までに、15万人相当以上の負荷がある都市下水を処理する都市下水処理場には、窒素とリンの除去(三次処理)が義務付けられます。
- 2045年までに、都市下水処理場について、微量汚染物質を除去するための追加処理(四次処理)をする必要があります。
2)微量汚染物質に対して拡大生産者責任(EPR)制度を導入
都市排水中の微量汚染物質の主な発生源である医薬品および化粧品の生産者は、拡大生産者責任(EPR)制度を通じて、「汚染者負担」の原則に従い、四次処理の追加費用の最低80%を負担する必要があります。
3) エネルギー中立目標の導入
2045年までに人口10000人以上の負荷を処理する都市下水処理場は、各処理場が生成した再生可能エネルギー源からのエネルギーを使用する必要があります。
目次
第1条 主題
第2条 定義
第3条 集積システムと集積地の負荷計算
第4条 個別システム
第5条 統合都市下水管理計画
第6条 二次処理
第7条 三次処理
第8条 四次処理
第9条 拡大生産者責任
第10条 生産者責任組織の最低要件
第11条 エネルギー中立
第12条 国境を越えた協力
第13条 地域の気候条件
第14条 非家庭廃水の排出
第15条 水の再利用と都市廃水の排出
第16条 生分解性非家庭廃水
第17条 都市廃水監視
第18条 リスク評価と管理
第19条 衛生設備へのアクセス
第20条 汚泥と資源回収
第21条 監視
第22条 実施状況の監視に関する情報
第23条 国家実施プログラム
第24条 一般向け情報
第25条 司法へのアクセス
第26条 補償
第27条 委任行使
第28条 委員会手続き
第29条 罰則
第30条 評価
第31条 レヴュー
第32条 廃止と経過規定
第33条 国内法化
第34条 発効と適用
第35条 宛先
第36条 廃止
第37条 発効と適用
第38条 宛先
附属書 I 都市廃水処理の要件
附属書II 富栄養化に敏感な地域
附属書III 拡大生産者責任の対象となる製品一覧
附属書IV 産業分野
附属書V 総合都市下水管理計画の内容
附属書VI 一般向け情報
附属書VII
パート1 廃止された指令とそれに対するその後の改正の一覧(第32条参照)
パート2 国内法への移行期限(第32条に規定)
附属書VIII 訂正表
参考情報
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