包装の削減と循環性改善に向け新要件を導入
2025年01月22日、欧州官報にて、包装・包装廃棄物規則(PPWR)規則(EU) 2025/40が公布されました。官報掲載後の20日後の2025年02月11日に発効し、個別に適用時期が定められた規定を除き、2026年08月12日から全ての加盟国に直接適用されます。
これに伴い指令94/62/ECは2026年08月12日に廃止されます。
新規則は、包装廃棄物の削減のため、包装廃棄物の発生を防止するとともに、包装材のリサイクルを推進することを目的としています。
新規則は、包装廃棄物を段階的に2040年までに2018年比で15%減らす全体目標を設定し、その達成に向け、加盟国に課される義務と事業者に課される義務を設定しています。
加盟国に対しては、加盟国レベルでの包装廃棄物の削減目標やリサイクル目標、プラスチック袋消費量の制限、分別収集システムの整備、使い捨て飲料用ペットボトルや飲料缶のデポジット・リターン制度の導入を義務付けています。
事業者に対しては、包装の循環性改善に向け、懸念物質の排除、リサイクル可能な包装のみの市場投入、プラスチック包装への一定割合以上でのリサイクル材の使用、EU共通の材質ラベル表示などを義務付けます。また過剰包装や包装の空き容量を制限、一部使い捨てプラスチック包装の使用も禁止となります。
事業者に課される義務の適用開始時期は義務によって異なり、今後策定される委任法によって義務の詳細が規定されます。
背景
オンラインショッピング、宅配、テイクアウト等の普及によりEUでは包装廃棄物量が増加しています。EUではリサイクル率が上昇しているものの、包装から発生する廃棄物の量はリサイクル量よりも速いペースで増加しています。
2022年、EUでは1人当たり約186.5キログラムの包装廃棄物が発生し、そのうち36キログラムはプラスチック包装でした。EUでは1人当たり毎日0.5キログラムの包装廃棄物が発生していることとなります。
EUでは、包装・包装廃棄物に関する指令94/62/ECが1994年に施行され、その後幾度に渡り改正されてきました。
2022年11月30日、欧州委員会は 欧州グリーン・ディールの「新循環型経済行動計画」 に基づく政策パッケージの第2弾として、包装・包装廃棄物に関する規則(PPWR)案を発表し、今回新規則として公布されました。
新規制は、従来の指令を廃止して規則に置き換え、環境と原材料の使用に大きな影響を与えている包装と包装廃棄物に関する規制を強化するとともに、EUの循環型経済と気候中立の達成に向けて、EU域内でルールの調和と強制力を高めるものです。
概要
対象
使用される材料や用途に関係なく、全ての包装、包装廃棄物に適用され、第三国からEUに輸出される包装された製品にも適用されます。
目的
- 包装廃棄物の発生を防止する:包装廃棄物の量を減らすとともに、使用する包装を抑制して不要な包装は制限し、再利用と詰め替えが可能な包装を促進する。
- 質の高いリサイクルを促進する:2030年までに、EU市場における全ての包装を、経済的に実行可能な方法でリサイクル可能にする。
- 包装における再生プラスチックの使用を増やす:一次原材料の使用を減らし二次原材料の市場を作る。
概要
1. 加盟国の目標義務
1) 包装廃棄物の発生の削減目標(1人当たり2018年比)
2030年までに5%削減
2035年までに10%削減
2040年までに15%削減
2) 全包装に対するリサイクル目標(包装全体と材料別の目標) 52条
3) プラスチック袋消費量の制限:プラスチック袋(レジ袋)については、年間消費量を1人当たり40枚、またはそれに相当する重量を上限とし、加盟国はこれを2025年末までに達成するために措置を講じることが義務付けられました。
4) 分別収集システムの整備
5) 使い捨て飲料用ペットボトルや飲料缶のデポジット・リターン制度の導入
6) 生産者登録及び拡大生産者責任の実施
2. 事業者の義務
1) 含有物質の制限:包装と包装部品に含まれる懸念物質とその濃度を最低限に抑えるように製造することが義務付けられました。
・包装・包装部品に含まれる鉛、カドミウム、水銀、六価クロムについては、合計の含有濃度を100ミリグラム/キログラム以下とする。
・一定の基準を超える有機フッ素化合物であるパーフルオロアルキル化合物(PFAS)およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を含む食品接触包装の市場投入が2026年8月12日から禁止となる。
2) リサイクルの促進:リサイクル可能な包装のみの市場投入されるよう、リサイクル可能性の要件が設定されました。
3) プラスチックのリサイクル促進:リサイクル材最低含有率の達成義務が設定されました。
市場投入される包装のプラスチック部分は、使用後のプラスチック廃棄物から回収したリサイクル材の割合を決められた割合以上とすることが義務付けられました。
4) 包装の最小化と過剰包装の制限
・最小限の重量・体積での包装設計の義務付け
・空き容量の制限
5) 一部使い捨てプラスチック包装の禁止
6) ラベル表示に関する義務
消費者が包装廃棄物を分別しやすくすることでリサイクルを促進することを目的に、EU共有の材料の組成やリサイクル内容などを明記した材質ラベル表示が義務化されました。
7) 再利用可能な包装と再利用のシステムの義務
・輸送・販売用の包装や飲料用容器包装ついて、再利用目標が設定されました。
・テイクアウト飲料・食品の販売時には、消費者が持参する詰め替え容器の利用を受け付けることや、再利用可能な容器での提供を選択肢の1つとして提示することが義務化されました。
目次
第1章 一般規定
第1条 主題
第2条 適用範囲
第3条 定義
第4条 自由な移動
第2章 持続性要件
第5条 包装に含まれる物質に関する要件
第6条 リサイクル可能な包装
第7条 プラスチック包装内の最低リサイクル材料含有
第8条 プラスチック包装におけるバイオベース原料
第9条 堆肥化可能な包装
第10条 包装の最小化
第11条 再使用可能な包装
第3章 ラベル表示、マーキングおよび情報要件
第12条 包装のラベル表示
第13条 包装廃棄物収集用の廃棄物容器のラベル表示
第14条 環境に関する主張
第4章 一般義務
第15条 製造者の義務
第16条 包装又は包装材料の供給業者の情報義務
第17条 認定代理人の義務
第18条 輸入者の義務
第19条 流通業者の義務
第20条 フルフィルメント・サービスプロバイダーの義務
第21条 製造者の義務が輸入者および流通業者に適用される場合
第22条 経済事業者の特定
第23条 包装廃棄物管理事業者の情報提供義務
第5章 包装および包装廃棄物を削減するための事業者の義務
第24条 過剰包装に関する義務
第25条 特定の包装フォーマットの使用制限
第26条 再使用可能な包装に関する義務
第27条 再使用のためのシステムに関する義務
第28条 再充填に関する義務
第29条 再使用目標
第30条 再使用目標の達成度の算定に関する規定
第31条 所管当局への再使用目標の報告
第32条 持ち帰りセクターに対する再充填義務
第33条 持ち帰りセクターへの再使用オファー
第6章 プラスチック製キャリーバッグ
第34条 プラスチック製キャリーバッグ
第7章 包装の適合性
第35条 試験、測定及び計算方法
第36条 適合性の推定
第37条 共通仕様
第38条 適合性評価手順
第39条 EU適合宣言
第8章 包装及び包装廃棄物の管理
第1節 一般規定
第40条 所管当局
第41条 早期警戒報告
第42条 廃棄物管理計画および廃棄物防止プログラム
第2節 廃棄物防止
第43条 包装廃棄物の防止
第3節 生産者登録簿と拡大生産者責任
第44条 生産者の登録簿
第45条 拡大生産者責任
第46条 生産者責任組織
第47条 拡大生産者責任の履行に関する認可
第4節 返却、回収、デポジット返還システム
第48条 返却および回収システム
第49条 義務的な回収
第50条 デポジットおよび返却システム
第5節 再使用と再充填
第51条 再使用と再充填
第6節 リサイクル目標とリサイクル推進
第52条 リサイクル目標とリサイクル推進
第53条 リサイクル目標の達成度の算定に関する規定
第54条 再使用を含むリサイクル目標の達成度の算定に関する規定
第7節 情報と報告
第55条 包装廃棄物の防止および管理に関する情報
第56条 欧州委員会への報告
第57条 包装データベース
第9章 セーフガード手続き
第58条 国家レベルでリスクを呈する包装に対処するための手順
第59条 EUセーフガード手続き
第60条 リスクを呈する適合包装
第61条 EU市場に参入する包装の管理
第62条 形式的な不遵守事項
第10章 グリーン公共調達
第63条 グリーン公共調達
第11章 委任権限および専門委員会手続き
第64条 委任の行使
第65条 専門委員会手続き
第12章 改正
第66条 規則(EU) 2019/1020の改正
第67条 指令(EU) 2019/904の改正
第13章 最終規定
第68条 罰則
第69条 評価
第70条 廃止および移行規定
第71条 発効および適用
附属書1 第3条(1)の包装の定義の範囲に含まれる物品の例示的リスト
附属書2 包装のリサイクル性評価のための区分とパラメータ
附属書3 堆肥化可能な包装
附属書4 梱包最小化評価の方法
附属書5 包装フォーマットの使用に関する制限
附属書6 再使用及び再充填場所のためのシステムに対する固有の要件
附属書7 適合性評価手順
附属書8 EU適合宣言 No*…
附属書9 第44条に言及される登録及び登録簿への報告に関する情報
Part A 登録時に提出する情報
Part B 報告のために提出する情報
附属書10 デポジットおよび返却システムに関する最低要件
附属書11 第52条(2)(d)に従って提出される実施計画
附属書12 加盟国が包装および包装廃棄物に関するデータベースに含めるデータ
参考情報
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