病院や医療施設用の医薬品リストに対し6品目の削除と14品目の新規追加

2024年10月03日、国家医薬品システム開発委員会は国家必須医薬品リスト（NLEM,National List of Essential Medicines）の2024年第2号となる告示を官報公布しました。
この告示の第1項から第46項（第13項12番、第16項1番、第22項6、7番）はこの告示の官報公布日より30日後より発効となります。第13項12番、第16項1番は官報公布日より発効、第22項6、7番はこの告示の官報公布日より90日後より発効となります。

国家必須医薬品リストとは

国家必須医薬品リストとは、政府が費用を支援することにより健康保険に加入しているタイ国民が無料で受け取ることができる医薬品のリストのことを指し、タイ国内における主要な健康問題の予防や治療に必要な医薬品、ワクチン、放射性物質、消毒剤が掲載されています。

2024年02月23日、国家医薬品システム開発委員会は国家必須医薬品リスト（NLEM,National List of Essential Medicines）の2024年新規更新分に関する告示を官報公布しました。
医薬品は下記5つのカテゴリーに分類されています。
　　ア） 診療所で最も頻繁に用いられる、第1選択薬
　　イ）上記アの薬が使用できない場合、もしくは効果が見られなかった場合に診療所で用いられる第2選択代替薬
　　ウ）熟練の医師、もしくは病院責任者に任命された者により投薬が必要だと判断された特定の疾患に処方される薬
　　エ） 危険性も高いが、効果が期待できる薬。熟練の専門医師の厳しい監督下で一定の条件のもとでの処方が義務づけられている
　　オ ）HIVや結核、血友病対策等、特定の疾病に処方される医薬品で、下記2種類がある
　　　　オ-1）各政府機関等のプロジェクトに使用されるもの
　　　　オ-2）熟練専門医師による処方が義務付けられている高リスクかつ高価な医薬品

また、国家必須医薬品リストの構成および主な内容は以下の通りです。

附表1：病院や医療施設用の医薬品リスト

附表1は病院や医療施設用の医薬品リストとなっており、「病院や医療施設用の医薬品に関する説明」「病院や医療施設用の医療品リスト」から構成されます。

附表2：病院薬局方リスト（現代医薬品）

附表2は病院薬局方リストに基づき院内で製造することができる医薬品のリストで、附表1、附表2に掲載されているもの、もしくは「国家医薬品システム開発委員会告示　国家้必須薬用植物医薬品リスト※」最新号に掲載されている内容に準じたものとなります。

※タイの国家必須医薬品リストとされるものは今回の「病院や医療施設用の医薬品リスト」の他に「薬用植物由来の医薬品リスト」があります。「薬用植物由来の医薬品リスト」はタイ伝統医学による植物由来の医薬品、もしくは薬用植物由来の製薬がリストとなったものです。

附表3：オ-2）に分類される医薬品の管理指針

オ-2）に分類されている、熟練専門医師による処方が義務付けられ高リスクかつ高価な医薬品の管理指針が医薬品別に詳しく説明されています。

国家必須医薬品リスト（2024年）第2号の概要

今回発出された国家必須医薬品リスト（2024年）第2号は、上述の国家必須医薬品リストから「附表1：病院や医療施設用の医薬品リスト」に掲載されている14品目の新規追加と6品目の削除、そして現在掲載されている医薬品64品目に関する使用管理ガイドラインの改定がなされた内容となっています。新規追加分と削除分の医薬品は以下の通りです。

新規追加分

附表1：病院や医療施設用の医薬品リスト

グループ1：消化器系
　1.3： 潰瘍治療薬および静脈瘤出血治療薬
　　▪ランソプラゾール（Lansoprazole）

グループ3：呼吸器系
　3.1：気管支拡張薬
　　3.1.2：合成抗コリン性気管支拡張薬
　　　▪ビランテロールトリフェナテート+ウメクリジニウム臭化物（Vilanterol trifenatate+Umeclidinium bromide)
　　　▪オロダテロール塩酸塩+チオトロピウム臭化物（Olodaterol hydrochloride+Tiotropium bromide)

グループ4：中枢神経系
　4.2：精神病および関連疾患薬
　　4.2.1：抗精神病薬 
　　　▪アリピプラゾール（Aripiprazole）

　4.8：抗てんかん薬
　　4.8.1：てんかん抑制薬
　　　▪クロバザム（Clobazam）
　　4.8.2：てんかん重積状態治療薬
　　　▪ラコザミド（Lacosamide）

　4.10：薬物依存治療薬
　　4.10.2：禁煙薬
　　　▪シチシン（Cytisinicline/Cytisine)

グループ5：感染症
　5.1：抗菌薬
　　5.1.9：抗結核薬
　　　▪イソニアジド+リファペンチン（Isoniazid+Rifapentine）
　　　▪プレトマニド（Pretomanid）

グループ6：内分泌系
　6.4：性ホルモン
　　6.4.1：女性ホルモン
　　　▪ジドロゲステロン（Dydrogesterone）

グループ7：産科、婦人科および尿路疾患
　7.1：産科で使用される薬
　　7.1.1：プロスタグランジン、プロスタグランジン拮抗薬、子宮収縮薬
　　　▪ミソプロストール（Misoprostol）

　　7.1.3：早期分娩
　　　▪ニフェジピン（Nifedipine）

グループ8：悪性疾患および免疫抑制
　8.1：細胞毒性薬
　　8.1.3：代謝拮抗剤
　　　▪ペメトレキセド（Pemetrexed） 

グループ9：栄養と血液
　9.2：体液と電解質
　　　▪ヒトアルブミン（Human albumin)

削除分

附表1：病院や医療施設用の医薬品リスト

グループ2：心血管系
　2.9：抗血小板薬
　　　▪ジピリダモール（Dipyridamole）

グループ4：中枢神経系
　4.10：薬物依存治療薬
　　4.10.2：禁煙薬
　　　▪ノルトリプチリン塩酸塩(Nortriptyline hydrochloride)

グループ5：感染症
　5.1：抗菌薬
　　5.1.9：抗結核薬
　　　▪リファンピシン（Rifampicin）
　　　▪イソニアジド+リファンピシン+ピラジナミド（Isoniazid +Rifampicin +Pyrazinamide）

グループ6：内分泌系
　6.4：性ホルモン
　　6.4.1：女性ホルモン
　　　▪ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル（Hydroxyprogesterone caproate)

グループ7：産科、婦人科および尿路疾患
　7.1：産科で使用される薬
　　　▪スルプロストン（Sulprostone）  

参考情報

「国家医薬品システム開発委員会告示　国家必須医薬品リスト　仏暦2567年（西暦2024年） 第2号」2024年10月03日付官報公布（2024年08月30日発出）

2024年10月15日付　National Drug Information News (保健省食品医薬品事務局 National Drug Information内)　
「国家医薬品システム開発委員会告示　国家必須医薬品リスト　仏暦2567年（西暦2024年） 第2号」の概要

「タイ国家医薬品システム開発委員会告示 国家必須医薬品リスト 仏暦2567年（西暦2024年）」2024年02月23日官報公布（2024年01月04日発出）