新たなPFASに関するTRI報告を義務付け
2023年1月6日、米国環境保護庁(EPA)は9種類のPFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質)を有害物質放出インベントリ(TRI)リストに追加することを発表しました。これにより、この9種類の化学物質に関する製造や廃棄処理は毎年EPAに報告する義務が生じます。
ここでは、「PFASのTRIリスト追加の背景」「今回追加されたPFASの種類」について記事になっています。
PFASのTRIリスト追加の背景:
PFASは、 非常に持続性のある(難分解性)の化学物質群で、主にフッ素系の界面活性剤として消火剤、プラスチック製剤の製造過程など多くの用途に、70年以上の長きに渡って使用されてきました。
しかし、近年発がん性など有毒性が指摘され、ヨーロッパ、米国を中心に製造や排気が厳しく規制されています。バイデン・ハリス政権はPFASがその難分解性と有毒性を問題視し、現在PFASの製造や排出を制限するPFAS戦略的ロードマップを推進しています。
戦略的ロードマップでは、地域社会にとってPFASがどこでどのように管理、排出、さらにはリサイクルをされているかが非常に重要な情報であると捉えており、環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)の化学物質安全汚染防止局(Office of Chemical Safety and Pollution Prevention)を中心に、事業体にPFAS製造と排出に関する管理・報告義務を科す法整備を進めています。
この一環として、2020年版の国防授権法(National Defense Authorization Act、NDAA)に従い、EPSは新たに合成されたPFASを毎年自動的にTRIに追加するフレームワークを立ち上げました。
これにより、2020年に9種類のPFASが有害物質放出インベントリ(Toxics Release Inventory、TRI)リストに追加されたのを皮切りに、毎年PFASがTRIリストに追加されています。
今回追加されたPFASの種類:
2023年度のTRIリストの報告書(2024年7月1日締め切り)には、以下の9種類のPFASが追加されることが決まり、総計189種類の化学物質がこのリストに入ったことになります。
- 375-22-4:ペルフルオロブタン酸(PFBA)
- 2218-54-4:ペルフルオロブタン酸ナトリウム
- 2966-54-3:ヘプタフルオロブタン酸カリウム
- 10495-86-0:ペルフルオロブタン酸アンモニウム
- 45048-62-2:ペルフルオロブタン酸
- 2728655-42-1:アルコール、C8-16、γ-ω-パーフルオロ、1,6-ジイソシアナトヘキサン、グリシドールおよびステアリルalcとの反応生成物。
- 2738952-61-7:N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-,2-[(γ-ω-パーフルオロ-C4-20-アルキル)チオ]誘導体であるアセトアミド。
- 2742694-36-4:N-(2-アミノエチル)-,2-[(γ-ω-パーフルオロ-C4-アルキル)チオ]誘導体、N20,N1-ジメチル-1,1-プロパンジアミン、エピクロロヒドリンおよびエチレンジアミンとのポリマー、酸化
- 2744262-09-5:2-[(γ-ω-パーフルオロ-C4-20-アルキル)チオ]誘導体酢酸、2-ヒドロキシプロピルエステル
以上の1~5の化学物質は、PFBA自身、もしくはそのアニオンや関連物質の塩です。これらは既にEPAにより毒性が確定したため、TRIリストに加えられました。
一方、6~9の化学物質は、2022年の間にその情報が機密ビジネス情報(confidential business information、CBI)であるかの確認が行われていました。
この間に、この物質が機密であると主張した製造元がなかったため、2022年2月の有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)リストの更新で機密情報から解除されました。そのために自動的にTRIリストに加えられました。
2023年1月1日の時点より、これらのPFAS種を合成するなどして報告要件の対象となる施設は、緊急計画およびコミュニティの知る権利法(Emergency Planning and Community Right-to-Know Act)に基づいて、製造と排出に関する記録を開始する必要があります。
EPAのPFAS戦略ロードマップの一環として、2022年12月より製造品全体量に対してPFAS量非常に少ない場合に管理量の開示する必要がなくなるde minimis免除が廃止されました。よって、この免除を受けることはできません。
以上の9種類のPFASは他のPFAS種と共に、今後100ポンド(約453キログラム)のしきい値が設けられ、製造、廃棄、リサイクルが管理され、毎年EPAに報告義務が生じます。
収集されたデータは、企業、政府機関、非政府組織、および一般市民にとって重要な情報源となり、今後のEPAの法規制の内容に影響することになります。これらのPFASの自動的な有害物質排出インベントリ(TRI)への追加の詳細は、発表と時期を同じくして今後もTRIの詳細ページに記載されていきます。
参考:
EPA、新たに9種類のPFASの排出量とその他の廃棄物管理に関するTRI報告を義務付け
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など