EPA、タコナイト鉄鉱石処理工場に対して水銀、塩化水素とフッ化水素の排出基準を新たに設定した規則案
2023年05月15日、米国環境保護庁(EPA)は、大気浄化法(CAA)で義務付けられている、タコナイト鉄鉱石処理工場の有害大気汚染物質の国家排出基準(NESHAP)の改正を提案しました。この排出源区分からの有害大気汚染物質(HAP)のすべてを確実に規制するために、EPAは「水銀の排出基準」と「塩化水素とフッ化水素の既存の排出基準の改訂」を提案しました。ここでは、「規制案の背景」「規制案で提案された内容」について記事になっています。
規制案の背景:
2020年04月21日、コロンビア特別区控訴裁判所(District of Columbia Circuit)で、ルイジアナ環境行動ネットワーク(Louisiana Environmental Action Network、LEAN )に対する判決が出され、大気浄化法(Clean Air Act、CAA)第112条(d)(6)に基づいて米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)が8年間の技術レビューする際に、主要排出源区分からの未規制の大気有害物質(Hazardous Air Pollutants、HAP)排出に対処する義務があると結論がでました。しかし、排出源区分「タコナイト鉄鉱石処理」から水銀(Hg)が排出されていることが示されているにもかかわらず、この水銀排出量は現在の「有害大気汚染物質に関する国家排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants、NESHAP)」では規制されていません。
タコナイト鉄鉱石処理という排出源区分に属するタコナイト鉄鉱石処理工場は、20〜25%の鉄を含む低品位の鉄鉱石であるタコナイトから鉄鉱石を分離して濃縮し、60〜65%の鉄であるタコナイトペレットを製造する施設です。タコナイト鉄鉱石処理には、新規または既存の鉱石破砕および処理作業、鉱石乾燥機、ペレット誘導炉、および完成したペレット処理操作が必要で、これらすべてのステップがHAPの排出源になっています。
加えて、NESHAPの「タコナイト鉄鉱石処理」排出源区分では、備蓄(未粉砕および破砕鉱石および完成ペレットを含む)、材料移送、工場の道路、尾鉱盆地、ペレット積み込みエリア、およびヤードエリアからの漏えい排出もHAP排出源として規制されています。これらの中でも特に硬化炉は、有害大気汚染物質(HAP)排出の主要原因となっています。この区分からのHAP排出総量の約99%は凝固炉が担っています。凝固炉を含む硬化炉からは、酸性ガス、水銀および他の金属HAP(砒素、クロム、ニッケルなど)、および少量の有機HAP(ホルムアルデヒドなど)が検出されます。酸性ガスには硬化処理中に原材料から放出され、排気流中の水分と結合することで形成される塩素(HCl)とフッ素化合物(HF)も含まれます。現在は、粒子状物質(particulate matter、PM)規制内で、水銀などの粒子状金属HAP、HCl、HFが規制されています。
現在、米国には8つのタコナイト鉄鉱石加工工場があり、6つの施設がミネソタ州に、2つの施設がミシガン州に所在しています。ミシガン州のエンパイア・マイニング施設は、操業許可を維持しているものの、2016年以降、無期限の休止状態となっています。したがって、エンパイア・マイニング施設はいかなる分析(予想される排出量、推定コスト影響、推定排出削減量)にも含まれていません。別のタコナイト施設であるミネソタ州にあるノースショア鉱山施設は、2022年から一時的に休止していますが、早ければ2023年春にも操業を再開する予定です。以上の理由から、今回、EPAはノースショア鉱山施設を含めた7つの工場でHAPの分析を実施し、この規制案を作成しました。
規制案で提案された内容:
この規則案は、「タコナイト鉄鉱石処理」の排出源区分において、直接規制されていないHAP種の排出に対応したものです。既存のタコナイト硬化炉の排気筒から収集された排出分析では、水銀(Hg)が排出されていることが示されています。そのため、EPA は、CAA 第 112 条(d)(2)および(3)に従い、達成可能な最大限の制御技術(maximum achievable control technology、MACT)を反映した水銀排出量の新規格を提案しています。
加えて、CAA第112条(d)(6)に従い、HClとHFに対する既存の排出基準を修正することも提案しています。具体的には、これらの特定のHAPの排出量に関して既存のPM規制を利用するのではなく、直接HClとHFの数値を排出制限とすることを提案しています。
さらに、以前の基準を「実務、工程、制御技術の発展を考慮し、必要に応じて」8 年以上の頻度で改訂することも別途求めています。
コメントは2023年6月29日までに受け取る必要があります。2023年5月22日までに公聴会を要請するご連絡があった場合は、バーチャル公聴会を開催する予定です。
参考:
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