一連の措置で米国の運輸インフラを強化
2023年5月23日、運輸インフラ委員会(Transportation and Infrastructure Committee)では、米国の今後のサプライチェーン(供給網)をより円滑にして経済を活性化するため、一連の措置を承認することを決議しました。今後、これらの法案は下院で議論される予定です。ここでは、「背景」「内容」について記事になっています。
背景:
運輸インフラ委員会(Transportation and Infrastructure Committee、T&I委員会)は、議会で最大の委員会の1つであり、6つの小委員会(航空、海上保安庁・海上輸送、経済開発・公共建築物・危機管理、道路交通、鉄道・パイプライン・危険物、水資源環境の分科会)によって構成されています。委員会では、利用水と廃水の管理、パイプラインによる資源の輸送、洪水被害の軽減、国所有の不動産と公共の建物の管理、経済的に落ち込んだ農村部と都市部の開発、災害への備えと対応、危険物の輸送など、米国インフラの多くの側面を管轄しています。
運輸インフラ委員会の共和党党員は、バイデン政権の多額の支出、反エネルギーの行動計画は、インフレにつながり、重要なサプライチェーン危機を悪化させた、という認識を持っています。このため、規制障壁を取り除き、インフラ投資を促進することで、物資の供給網であるサプライチェーンの強化を目指しています。
内容:
2023年5月23日、以下の様々な法案が、委員会により承認されました。今後、これらの法案は下院に送られて審議される予定です。
- H.R. 3399、Sooロックセキュリティおよび経済報告法(Soo Locks Security and Economic Reporting Act of 2023)
ミシガン州はアメリカの自動車産業と軍事産業の中心地です。また、カナダとの間に国内で3番目に大きな国境もあります。本法案では、米国とカナダの間の重要なサプライチェーンリンクであるミシガン州スーセントマリー運河(Soo Locks)の潜在的なセキュリティリスクと、運用上の障害が発生した場合の経済的影響に関して連邦政府に調査を指示しています。この法案は党を超えて支持されています。
- H.R. 1836、海上輸送改革実施法(Ocean Shipping Reform Implementation Act of 2023)
2022年に成立した海上海運改革法(Ocean Shipping Reform Act、OSRA2.0)では、不公正な貿易慣行を取り締まり、米国のサプライチェーンにおいて中国の影響力を低めるため、独立した連邦機関であり、米国の海上国際輸送の規制を担当する連邦海事委員会(Federal Maritime Commission、FMC)の権限が強化されています。今回の海上輸送改革実施法では、OSRA2.0に基づき、連邦海事委員会が市場操作および海事取引所の反競争的操作に関する苦情を検討できるようにすることなどが提案されています。
- H.R. 2367、トラック駐車改善法(Truck Parking Improvement Act)
トラック運転手はしばしばトラックを危険な場所に余儀なく駐車する必要があり、これは交通上大変危険な行為となっています。今回のトラック駐車改善法は、すべてのCMV(Commercial Motor Vehicle、CMV)が無料で駐車場に入れるように、CMVの新しい駐車場の建設、既存のCMV駐車場スペースの追加および改善を行い、トラック駐車場の大幅な不足に対処する予定です。
- H.R. 3013、個々の商用試験受験者のライセンス法(Licensing Individual Commercial Exam-takers Now Safely and Efficiently (LICENSE) Act of 2023)
トラック輸送の労働力不足は、アメリカ全土の中小企業にとって引き続き永続的な課題となっています。今回の個々の商用試験受験者のライセンス法では、規制上の障壁を取り除き、連邦自動車運送業者安全局(Federal Motor Carrier Safety Administration、FMCSA)によってCOVID-19パンデミックを理由に発行された2つの免除を恒久的に行うことになります。より効率的な商用運転免許証(Commercial Driver’s License、CDL)テストの実施が行われる予定です。
- H.R. 3318、ドライバルクの10%の車軸重量変動を確立(establishing a 10 percent axle weight variance for dry bulk)
ドライバルク商品とは、梱包されていない大きな小包で出荷される原材料のことです。小麦粉や米などの商品は、適切に梱包されていても、様々な理由でトラックでの輸送を止めてしまうことがあります。今回の法案では、車軸あたりの重量要件に柔軟性を与え、10%の車軸重量変動を可能にしています。加えて、この法案は、ドライバルクが穀物、プラスチックペレット、骨材などの非液体貨物であるということを考慮に入れ、輸送中にトラックの重量バランスを再分配することができるようになります。これにより、トラック運転手が不必要に貨物を減らす必要がなくなります。
- H.R. 3316、主要プロジェクトの環境レビュープロセスを合理化(streamlining the environmental review process for major projects)
建設プロジェクトの許可プロセスは遅く、重要なインフラストラクチャーの建築に複数年かかることもあります。この法案では、政府機関の省庁間の環境関連文書の結合、複数機関の同時レビュー、文書の合理的なページ制限、レビュー作成の時間制限の作成など、「1つの連邦決定(One Federal Decision、OFD)による環境レビュー合理化規定」を、必要に応じて港湾、航空、およびパイプラインプロジェクトに拡張する法案です。OFDは、インフラ投資および雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act)に基づく高速道路プロジェクトの法律ですでに承認されています。
- H.R. 3365、サプライチェーン改善法(Supply Chain Improvement Act)
米国民に手頃な価格のガス、より安価な食料品、そして強い経済を提供するには、サプライチェーンを強化する必要があると考えられています。今回の法案では、米国運輸省(Department of Transportation、DOT)の助成金プログラムであるINFRA(インフラストラクチャー)およびMEGA(特大)裁量助成金プログラムにおいて、サプライチェーンの回復力を改善または構築するプロジェクトを優先的に考慮する内容が提案されています。
- H.R. 1500、高度道路交通統合法(Intelligent Transportation Integration Act)
現在米国では、未だ一部1800年代の信号機技術を使用して、交通ネットワークが管理されている現状があります。人々がより速く、より安全に、より効率的に移動できるようなネットワークシステムの構築のためには、データの最大限の活用が必要と考えられています。今回の法案では、運輸省に、サードパーティのデータを活用して輸送管理と連邦支援の高速道路の効率を強化するプログラムを作成および実装するように指示しています。
- H.R. 915、自動車運送業者安全選択基準法(Motor Carrier Safety Selection Standard Act)
この法案では、連邦自動車運送業者安全局(FMCSA)に新しい安全適合性決定プロセスを開発することを要求し、サプライチェーンネットワークの効率と高速道路の安全性に関する自動車運送業者の評価方法を変更することを提案しています。
- H.R. 3317、車両保護法(Rolling Stock Protection Act)
米国内の輸送システムに重要なインフラストラクチャーに中国関連の企業を参画させるのは、経済および国家安全保障上好ましくないと考えられています。この法案では、法的な抜け穴を塞ぎ、4つの公共交通機関が連邦交通局(Federal Transit Administration、FTA)の資金を使用して中国共産党を含む国有企業(State Owned Enterprises、SOE)から車両を調達し続けることを禁止しています。
- H.R. 3372、6軸車両の安全データ収集プログラムを確立(establishing a safety data collection program for certain 6-axle vehicles)
6番目の車軸を追加してトラックが道路で運ぶことができる貨物の量を増やすことは、サプライチェーンをさらに合理化するための安全で効率的な方法と考えられています。この法案では、特定の6軸車両の安全データ収集プログラムを確立し、州が連邦州間高速道路のトラック重量を6軸車両で最大91,000ポンドに増やすための10年間の実験的なプログラムを確立しています。
- H.R. 2948責任を持って安全に自動車を運ぶ(CARS)法(Carrying Automobiles Responsibly and Safely (CARS) Act)
全国の自動車運搬を行う船舶業は、近年サプライチェーン脆弱化と自動車の重量化によって経営が難しい状況になっています。この法案では、新規車両の重量増加傾向を対処し、自動車輸送業者が現在と同じ数の車両を運び続けることができるように、自動車輸送業者の可能運搬重量を特定の条件下で10%増加できることを提案しています。
さらに、本日委員会では以下の法案も可決されました。
- HR 3395、2023年の米国サプライチェーンセキュリティレビュー法(U.S. Supply Chain Security Review Act of 2023)
- H.R. 3447、水素を動力源とする商用車の重量免除の提供(providing a Weight Exemption for Hydrogen Powered Commercial Motor Vehicles)
- H.R. 886、セーブ・アワー・シー(私たちの海の保存)2.0改正法(Save Our Seas 2.0 Amendments Act)
- HR 1796、2023年の災害生存者公正法(Disaster Survivors Fairness Act of 2023)
参考:
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