連邦航空局、民間航空機の補助拘束システムであるハーネスの使用に関する規則案
2023年11月21日、運輸省(DOT)の連邦航空局(FAA)は、民間航空機の運航での補助拘束システム(SRS)の使用に関する規則制定案のお知らせを発表しました。SRSの使用に関する安全上の懸念に対処するための制定案です。民間航空機の製造や運航に係る事業者に影響が及ぶ可能性があります。FAAはこの提案に関する意見を2024年1月22日まで募集しています。
背景・概要
補助拘束システム(Supplemental Restraint System、SRS)とは、連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)が承認したシートベルト、ショルダーハーネス、または認可されたチャイルドシートにより身体が適切に固定されていない場合に、航空機内で個人を固定するために使用される装置のことを指します。ドアが開いた状態で飛行する時に、パイロットでない乗客が使用するものは、補助乗客拘束システム(Supplemental Passenger Restraint System、SPRS)と呼ばれ、多くはいわゆる胴体の周りに装着するハーネス(harness)とそれと機体を結ぶ綱のことを指します。2018年03月11日、米国で観光客を乗せたドアが開く遊覧ヘリコプターが川へ落下するという事故がおきました。この事故で乗客は、シートベルト以外に席を移動する際に開いたドアから落下することを防止するSPRSとしてのハーネスを装着していたため、川に墜落後にヘリコプターから脱出することができず、溺死してしまいました。この事故を受けて、2018年03月19日、国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board、NTSB)は緊急勧告を発行し、乗客がハーネスシステムを切断するなどを行わずに単純かつ迅速にハーネスを取り外すことができるシステムがない限り、乗客用ハーネスシステムを使用したすべてのドアが開く航空機の運航を禁止することを勧告しました。さらに、2018年03月22日、連邦航空局(Federal Aviation Administration、FAA)は、「ドアなし航空の運航パイロットの補償および雇用に関する」緊急禁止令を発令し、米国内でドアを開けたり取り外したりした状態で、民間航空機を借り受けて航空するすべてのパイロットに、緊急時に迅速に解除できないSPRSの使用を禁止しました。
注目すべき内容
SRSは、型式証明、補足型式証明、またはその他の連邦航空局の承認を伴って航空機に取り付けられている器具ではありません。今回、飛行中に身体が航空機から放り出されて落下するリスクを軽減し、同時に2018年のような死亡事故を防ぐ目的で、FAAは、ドアを開けたり取り外したりして運行を行う遊覧ヘリコプターの所有者や運行パイロットに向けて、SRSの使用に関する規制を発行することを提案しています。この規則案は、以下の点が提案されています。
- SRSの使用に関する要件:主なSRSの要件は以下のようになっています。「乗客が、最小限の行動で迅速に解放操作ができる」「使用する乗客が簡単に確認できるハーネス前方か側面に解放操作が配置される」「不注意な解放は防ぐことができる」「切断するためのナイフなどの追加の器具は不必要」「ハーネスの綱の取り付け場所は、乗客の体重を保つ強度をもつ必要がある」「取り付け場所はフライトデッキなどではなく、乗客の胴体が常に航空機内にあるようにする」
- パイロットの説明の義務付け:運行パイロットは乗客の安全に関する説明が義務付けられます。一方、乗客は、ハーネスより自己を解放できる能力を実証する必要があります。パイロットは事前に乗客がハーネスの解放を行えるかどうかを確認し、できなかった乗客はSRSの使用が禁止されます。ただし、乗客がシートベルト、ショルダーハーネス、または認可されたチャイルドシートに適切に固定されている場合は、飛行が許可されます。
- この規則案は、チャイルドシートを装着している個人がSRSを使用することを禁止するだけでなく、飛行中にSRSを使用している大人が子供をだき抱えることも禁止です。また、航空機のドアが開いたり取り外されたりしたときに子供を抱きかかえることも禁止します。
- 以下の①または②の場合を除き、ドアを開けたり取り外したりした状態での運航が禁止されます。①乗客が飛行中に、もしくは②水面上もしくは離陸または着陸時に、シートベルト、ショルダーハーネス、または適切に座席等に固定されたチャイルドシートを装着している場合。
- 機長が許可した場合のみ、乗客はこの規則で提案されているすべての要件を満たすSRSが使用できます。
- 補助拘束器具の使用に関する安全上の懸念に対処する、現在の緊急命令を更新し、成文化する。
この提案に関する質問等は、2024年01月 22 日までに意見を送付する必要があります。
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