米国|米国運輸省の連邦鉄道庁、インフラ投資・雇用法を実施するための貨車安全基準案を発表

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米国|米国運輸省の連邦鉄道庁、インフラ投資・雇用法を実施するための貨車安全基準案を発表

インフラ投資・雇用法に基づいた、貨車安全基準の新しい認証要件を提案する

2023年12月08日、 米国運輸省(DOT)の連邦鉄道庁(FRA)は、貨車安全基準(Freight Car Safety Standards、FCSS)の改正を提案しました。米国で新たに使用される貨車に、懸念国(country of concern、COC)または国有企業(state-owned enterprise、SOE)が製造する設備内容の使用制限や機密技術の使用の禁止などを提案しています。鉄道の貨車もしくはその設備内容の製造や輸入に関係する事業体に影響が及びます。この規則案に対する意見は2024年02月06日までに提出する必要があります。

背景・概要

バイデン・ハリス政権は2021年01月25日付の大統領令(E.O.14005)で「米国の未来は米国の労働者によって米国全土で作られることとする」と発布し、その中で「米国政府は可能な限り、戦略的産業における米国企業の競争力を高め、その労働者が関わった商品、製品、材料、サービスを調達すべきである」と明記しました。

加えて、大統領は、2021年05月12日付の大統領令で「国家のサイバーセキュリティの改善」を発布し、「サイバー関連の事故の予防、検知、評価、修復は最優先事項であり、国家と経済の安全保障に不可欠である」と述べています。

2021年11月15日、バイデン大統領は超党派によるインフラ投資・雇用法(Bipartisan Infrastructure Law, Infrastructure Investment and Jobs Act)に署名しました。インフラ投資・雇用法は、連邦鉄道庁(FRA)が同法を実施するにあたり、貨車安全基準(Freight Car Safety Standards、FCSS )などの規則を発行することを義務付けています。

同法では「適格製造業者」が「適格施設」で製造した貨車に限り、特定の日以降に製造された貨車の米国内での運行を認めています。また、同法は「適格製造業者」を「国有企業が所有または支配していない貨車製造業者」と定義しています。

同様に、同法は「適格施設」を「国有企業が所有または管理していない施設」と、「国有企業」を「中共の政府もしくは政府機関またはその指示もしくは影響下で行動する個人によって所有されている、もしくはその支配下にある事業体」と、定義しています。このインフラ投資・雇用法の下で、FRAは貨車安全基準の遵守が行われているかを監視・執行を行っています。

貨車安全基準では、規制発行日から1年後の日付以降に製造された鉄道貨車は、以下の場合に限り、米国の一般鉄道システムで運行できると規定されています。

  • (1)鉄道貨車に搭載される機密技術は、機微技術の機能に必要な部品を含め、いずれも COCもしくはSOEに由来しないもの
  • (2)機密技術を除く鉄道貨車の設備内容は、COCもしくはSOEに由来せず、また、これらが管轄権もしくは法的権限を有し米国の知的財産権を侵害すると公認裁判所または行政機関によって判断されないもの

同法ではさらに、規則発行日から1年後までに、たとえ前項の要件を満たしていても、鉄道貨車の全構成部品の正味コストで計算した時、機密技術のコストを除いた設備内容の20%以上がCOCもしくはSOEに由来する場合は、米国の一般鉄道システムで運行できないよう、貨車の内容物に関するパーセンテージ制限も定めています。このパーセンテージ制限は、規則発行日から3年経過後においてもその割合は15%を超えてはならないとしています。

今回、FRAはFCSSを改正し、大統領令の内容と一致もしくはより厳しい制限を設けることを提案しています。

注目すべき内容

今回、FRAは施行規則の認証要件を実施するため、FRAは鉄道貨車製造者に対し、米国の一般鉄道輸送システムで運行する前に、各貨車が認証要件に適合していることを電子的に認証するように求めることを提案しています。この電子的な証明書では、運行している各貨車の情報として製造者名と規則への準拠を証明する責任者の氏名を記載することが義務付けられます。さらに、製造者は、含有量の計算を含む、認証を裏付ける情報を示す全ての記録を保持することが義務付けられ、FRAが要求した場合に提出する必要があります。

ただし

  • (1)このインフラ投資・雇用法の内容制限は製造時にのみ適用される
  • (2)鉄道貨車の製造後の変更はインフラ投資・雇用法の対象外である
  • (3)米国で既に運行されている鉄道貨車は、インフラ投資・雇用法の対象外である
  • (4)規則の要件は製造業者のみに適用され、鉄道会社には適用されない

といった条件がついています。

また、貨車の製造業者は、認証要件を満たしていることを証明する適合証明をFRAに対して毎年提出しなければならないことも提案されています。加えて、この内容をFCSSに組み込み、FRAが同法の遵守を判断するために必要な情報や記録を入手できるようにすることも提案されています。               

参考情報

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