「責任ある企業行動に関する米国政府の第2次国家行動計画(NAP)」が発表される
2024年03月25日、バイデン・ハリス政権は、企業における「人権と労働権の尊重の強化と改善」、「グリーンエネルギーの利用拡大」、「汚職対策」、「人権擁護者の保護、男女平等とこの推進」、そして「権利を尊重したテクノロジーの利用促進」への政府の行動を示した、「責任ある企業行動に関する米国政府の第2次国家行動計画(NAP)」を発表しました。
今回のNAPでは、「責任ある企業行動に関する連邦諮問委員会の設立」「連邦調達政策とプロセスにおける人権尊重の強化」「救済へのアクセス強化」「企業へのリソース提供」の4点を柱とした、企業に対する米国政府の取り組み計画が示されています。
米国の国家行動計画(National Action Plan、NAP)とは
2016年12月、米国政府は第一次NAPにおいて、責任ある企業行動(responsible business conduct、RBC)の支援を発表していました。米国企業が世界中のさまざまな環境で責任ある企業行動を行えるように、米国においてより厳しい世界基準を設定し、より平等な競争の市場を開く方針を掲げたものです。2024年03月25日、このNAPの内容をさらに強化した第2次NAPを発表しました。
第2次NAPの4つの柱の概要
(1) 責任ある企業行動に関する連邦諮問委員会(Federal Advisory Committee on Responsible Business Conduct)の設立
- 諮問委員会を通じて、RBCの政策、プログラム、イニシアチブに関して、民間部門、影響を受ける地域社会、労働組合、市民社会、学界、その他の関連する利害関係者との調整を強化します。
- 諮問委員会は、RBCに関する実施状況を把握します。
(2) 連邦調達政策とプロセスにおける人権尊重の強化
- 連邦政府の請負事業者や下請け業者による強制労働や人身売買等の取り締まりや監視を徹底します。
- 人身売買リスクを監視する仕組みを試験的に導入し、連邦政府の契約業者が取引において情報の真偽を確かめることを支援します。
- たび重なる違反や強制労働を行う企業に罰則を与える際に使用するガイダンスを起草します。
- 民間の警備業者に対し、民間警備業者国際行動規範協会(International Code of Conduct Association for Private Security Providers’ Association、ICoCA)への加盟を奨励または義務付けるために調査を実施します。
(3) 救済へのアクセス強化
- RBCに関する経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development、OECD)の多国籍企業ガイドラインについて、国家連絡窓口(National Contact Point、NCP)を強化します。
- 労働者主導の社会的コンプライアンスを促進し、国際的なバリューチェーンにおける労働者の権利を保護する国際労働機関が実施する技術支援プロジェクトに資金を提供します。
- 米国の国際開発金融公社の苦情処理メカニズムを用いて、企業から報復を受けたグループや個人からの匿名の苦情を可能にする仕組みを作ります。
- 国際金融公社(International Finance Corporation)や多国間投資保証機関(Multilateral Investment Guarantee Agency)を含む多国間開発銀行において、労働者や地域コミュニティに対する効果的な救済制度を提唱します。
- 「救済へのアクセス」に関する一般からの意見を求めます。
(4) 企業へのリソース提供
- 労働者の権利に関する政府全体の視点や施行方法、その他の情報を伝えるオンライン・リポジトリ「責任ある企業行動と労働者の権利インフォハブ(Responsible Business Conduct and Labor Rights InfoHub)」を設立します。また、先住民および影響を受けるコミュニティとの部族間協議およびその関与においてベストプラクティスを示した企業向けガイダンスを発表します。
- 検索エンジン、ソーシャルメディア・プラットフォーム、その他のデジタル・サービスなどのオンラインプラットフォームを開設する企業向けに、人権擁護者の保護に関するガイダンスを発表しました。
- 人権侵害を可能にする、あるいは悪化させる可能性のある技術への投資を検討する際に、投資家が人権に関する注意義務(human rights due diligence、HRDD)を行うことを奨励するガイダンスを作成します。
- 特定の国およびセクターにおいて、その国およびセクターが関与する商取引に関与する企業、投資家、およびその他の利害関係者のためにビジネス勧告を作成します。
これらの4つの優先される柱以外にも、NAPの付録には、技術、気候、公正な移行、労働者の権利、腐敗防止の分野など、RBCを推進するために米国政府が取る追加の行動が示されています。
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