EPA、飲料水に含まれるPFAS種の最大汚染物質レベル、もしくは最大汚染物質濃度を規定する規則を最終決定
2024年04月26日、環境保護庁(EPA)は、パーフルオロおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)である6種類;パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、パーフルオロノナン酸(PFNA)、ヘキサフルオロプロピレンオキシド二量体酸(HFPO-DA、通称GenXケミカルズ)、パーフルオロブタンスルホン酸(PFBS)に対する、国家一次飲料水規制(NPDWR)を最終規則として発表しました。PFASもしくはその代替物質を使用している事業体に影響が及びます。
この規則は2024年06月25日より発効されます。
PFASとは
パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(per- and polyfluoroalkyl substances、PFAS、ピーファス)とは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、水と油の両方をはじく効果があり、熱にも強いことから、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーテイング剤として、様々な製品に使われています。
例えば、フライパンや防水服、自動車など身近なものに使われています。しかし、このような性質から、分解されずに自然界に残り続けるため、河川や地下水などの環境汚染を引き起こし、いったん人間を含む生物の体内に入ると排出されにくく、がんや成長障害などを誘導するとして規制強化が進んでいます。
今回対象となっているPFAS類のうち、パーフルオロブタンスルホン酸(PFBS)は生体内での半減期が1か月強で、PFOSの5.4年に比べるとはるかに短いが、他のものと同様に環境中での安定性は非常に高く、永続的に残留します。ただし、対象となっている他のPFAS類と比較して、ヒトに対する安全性を判断するに足る研究はほとんど行われていません。
この最終規則の対象と背景
- パーフルオロオクタン酸(PFOA、CASRN: 45285-51-6)
- パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS、CASRN: 45298-90-6)
- パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS、CASRN: 108427-53-8)
- パーフルオロノナン酸(PFNA、CASRN: 72007-68-2)
- ヘキサフルオロプロピレンオキシド二量体酸(HFPO-DA、通称GenXケミカルズ、CASRN: 122499-17-6)
- パーフルオロブタンスルホン酸(PFBS、CASRN: 45187-15-3)
2023年03月、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は、パーフルオロおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)である上記6種類に対する国家一次飲料水規制(National Primary Drinking Water Regulation、NPDWR)とそれにおける最大汚染物質レベル目標(Maximum Contaminant Level Goals、MCLG)を提案し、意見を募集しました。また、EPAが飲料水を調査したところ、様々なPFASが組み合わせとなって一緒に検出されることが多いことがわかりました。
さらに、EPAは、異なる化学物質を混合物として暴露されると、用量加算的に健康に影響が及ぶ可能性があることも経験的な知見で得ています。
このことから、今回EPAは、「各PFASの削減の実現可能性、既知の毒性作用、健康への被害」に加え、「異なるPFASが飲料水中に混合物として共存する可能性の高さ」、「PFAS混合物の加算的な健康への影響」、「PFASの多様性と数の多さ」を考慮して、上記6種の個別のMCLGと最大汚染物質レベル(Maximum Contaminant Levels、MCL)を決定し、さらにハザード指数(Hazard Index、HI)の計算方法を確定しました。
この最終規則の内容
以下の内容とその数値が最終決定されています。
- PFBSを除いた5種のMCLGを確定しました
PFOAおよびPFOSのMCLGを0 ng/Lで確定しました。また、PFHxS、PFNA、およびHFPO-DAのMCLGを10 ng/Lで確定しました。
- PFBSを除いた5種のMCLを確定しました。この値はMCLGと異なり、実現可能性が考慮されています。
PFOA = 4.0 ng/Lまたはppt
PFOS = 4.0 ng/L
PFHxS = 10 ng/L
PFNA = 10 ng/L
HFPO-DA = 10 ng/L
- PFHxS、PFNA、HFPO-DA、PFBSの4種の共存可能性を考慮し、これらのうち2つ以上を含む混合物に対する用量加算的健康影響の指標としてハザード指数(Hazard Index、HI)を確定しました。
ハザードとは、これら4つのPFASのうち2つ以上の混合物への対策が必要となる場合を定義し、HIとはその状態を指数(単位なし)で示しています。このHIの計算過程では、まず飲料水中の各PFASの測定値(健康基準水濃度health-based water concentrations、HBWC)を、それぞれのPFASで設定された健康への悪影響が及ぶ可能性が低いMCL (単位はng/Lまたはppt、以下に記載)で割った「各PFASの悪影響への比率」を算出します。その後、4種の「各PFASの悪影響への比率」を足し合わせたものがHIとなります。
4種の健康への悪影響が及ぶ可能性が低いMCL:
PFHxS = 10 ng/Lまたはppt
PFNA = 10 ng/L
HFPO-DA = 10 ng/L
PFBS = 2,000 ng/L
計算されたHIが1以下の飲料水は、人の健康に対する既知または予測される悪影響がほぼ発生しないレベル、1より大きい場合は、健康を保護できないレベルを示すことになります。
- 項目1~3で示された個別の数値とHIは、独立して適用されます。
- 安全飲料水法(Safe Drinking Water Act、SDWA)規制の重要な一般市民の「知る権利」条項、具体的には、一般市民への通知(public notification、PN)および消費者信頼感報告(Consumer Confidence Report、CCR)の要件を確定しました。この変更により、PFASが高濃度で検出された場合、一般市民に対する通知や報告が頻繁かつ的確に行われるようになります。
- 公共給水システム(public water systems、PWS)などがNPDWRを実施・遵守できるようにするための監視・報告要件を確定しました。
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