宇宙産業の急激な拡大に伴って増加する衛星が原因の「軌道デブリ」を軽減する規則の規則案を更新予定
2024年05月28日、連邦通信委員会の宇宙局は、衛星軌道上のデブリの軽減に関連する規則の追加改正に関する意見を募集しました。「新宇宙時代における軌道上のデブリの軽減(Mitigation of Orbital Debris in the New Space Age)」規則制定において、2020年の規則制定提案の追加通知(FNPRM)で提案された規則に関する記録/情報を更新したい考えです。
米国内で衛星通信事業に関わる事業体は更新内容に注意が必要です。意見の提出期限は2024年06月27日になります。
今回の更新予定の背景
連邦通信委員会は、衛星の免許取得プロセスで得た経験、衛星デブリ軽減のガイドラインや慣行の改善、さまざまな市場の動向を考慮し、関係する規則の改善と明確化を行っています。連邦通信委員会は、2020年規則制定提案の追加通知(Further Notice of Proposed Rulemaking、FNPRM)において、委員会が「軌道上デブリ軽減規則」を改正するための様々な提案についての意見を募集しました。
意見募集は3年以上前の2020年に締め切られていましたが、連邦通信委員会の宇宙局(Space Bureau of the Federal Communications Commission)は、現在軌道上のデブリに関するいかなる進展も含めた最新の情報を入手するため提出期限を更新し、改めて以前に提案した「軌道デブリ軽減規則」の規則案について意見を募集しました。
2020年以降の「軌道デブリ軽減規則」に関する出来事
委員会が軌道上デブリ軽減規則について意見を求めて以来、政府機関は以下の事を行いました。
①NASAをはじめとする基準設定機関は、軌道上デブリ軽減に関する基準やガイダンス文書の技術的および政策的な更新
②通信委員会は、衛星の普及拡大や宇宙産業における技術革新を規則に反映
③通信委員会宇宙局が衛星の許認可や懸念される軌道デブリへの対応に関する経験を積み、許認可手続きにおいて大規模に連なっているデブリの削減方法に関して追加見解を提供
今回の意見募集内容
宇宙局は、FNPRMに含まれていた具体的な提案、基礎となる分析、および質問、ならびに本手続きに関する情報を検討した上で、これら記載記録を更新するために、関係者から以下の質問に関する意見を募集しています。
①複数の衛星からなる非静止軌道(NGSO)システムの全体を対象として衝突リスクを分析すべきか、それとも衛星ごとに衝突リスクを分析すべきか?また、システム全体を対象にした場合、どのように衝突リスクを考慮するのか、その分析を行う理由。その他、NGSOシステム全体を対象とした場合の具体的な評価基準や閾値についての意見を募集しています。
②NGSOのシステムに対するセーフハーバー(Safe Harbor Rule、予め定められた一定のルールのもとで行動する限り違法ないし違反にならないとされる範囲)または明瞭線規則(bright-line rule)を定める際に、衛星の操縦能力および信頼性、軌道寿命、システム内の衛星の数、個々の衛星のサイズをどのように評価すべきか?さらに考慮すべき要素が他にあるか?大型コンステレーション(星座のように連なった)システムと小型システムを明確に区別すべきか、あるいは、両方のタイプのシステムに対する評価基準を規定すべきか、についての意見を募集しています。
③通信委員会宇宙局は、衛星を計画通りに廃棄できなかった場合に発生するリスクを評価するために、「100オブジェクト年」という指標を取り上げました。「オブジェクト年」とは、故障衛星が軌道上に留まる年数のことで、衛星システムの場合、それぞれの衛星の「留まる年数」を合算した年数です。通信委員会宇宙局は、使用終了後の衛星の廃棄に関する信頼性、特に大型コンステレーションシステムについての信頼性に関して意見を募集しています。また、オブジェクト年の閾値、衝突リスクが高いシステムを特定する「オブジェクト年」以外の指標、特に大型システムにおいて代替となりうる測定基準、リスク分析の方法、衝突リスクを管理するための実施戦略について意見を求めています。さらに、事業者が衛星の運営許可を付与された後、100オブジェクト年の閾値を超えた場合の適切な措置、あるいは採用される可能性のある他の指標についても意見を求めています。
④通信委員会宇宙局は、軌道高度や操縦能力を含む多くの要因が衝突リスク分析に影響を与えることを認識し、FNPRMにおいて衝突リスクを軽減するマヌーバ(戻ってくる)能力の役割とその信頼性を、衝突リスク評価にどの程度反映すべきかに関心をもっています。そのため、複数衛星システムの中で個々の衛星のマヌーバが失敗する可能性をどのように評価するかについて意見を募集しています。また、マヌーバが失敗した衛星の衝突リスクを評価する方法について、どのような範囲(展開軌道、最悪の衝突リスク軌道、その両方の組み合わせ、または衛星の予想される運用範囲と期間を表す軌道の範囲)を想定すべきかなど、分析の改善方法についての意見を募集しています。特に大型システムの衝突リスクの軽減について、追加の意見を求めています。
⑤FNPRMでは、セーフハーバー方式が採用された場合、設定されたセーフハーバー基準を満たさないシステムの審査プロセスをどのようにするかについて意見を募集していました。今回は、申請者に対しセーフハーバー評価で使用される想定故障率よりも低い故障率を証明することを認めるなどの選択肢について意見を求めています。複数回使用される大型システムについては、最初の配備での故障率が申請書に記載された想定故障率よりも大幅に高い場合、申請者に追加的な実証の提供を義務付けるライセンス条件の導入についても意見を募集しています。
⑥FNPRMでは、セーフハーバーを満たせないNGSOシステムについては、より詳細な審査プロセスにおいて、他の側面、例えば、開発中に検討された代替衛星の設計や、総衝突リスクを低減するために講じられる追加措置の提供を事業者に求めることについても意見を求めていました。今回は、さらにどのような追加措置がより低いリスクと相関する可能性があるのか、リスク対処を最小化するための具体的な措置があるかどうかについての意見を募集しています。
⑦FNPRMに記載されたこれらの質問事項やその他の質問事項、またFNPRMが最初に採択された後に顕著になった事項の種類や追加的な検討事項など、軌道デブリや衛星産業全般の現状に関する情報で新規または追加的な関連情報を募集しています。
通信委員会宇宙局は、衛星産業が急速に発展していることを認識し、FNPRMの発表前には入手できなかった経験や資料に基づいて、FNPRMで提起された問題に関連する具体的な提言や代替案を求めています。
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など