EPA、重要新規代替政策(SNAP)プログラムに基づく代替物質リストアップ
2024年06月13日、米国環境保護庁(EPA)は、重要新規代替物質政策(SNAP)プログラムに基づき、小売食品冷蔵、業務用製氷機、工業プロセス冷蔵、冷蔵倉庫、およびアイススケート場において、使用条件付きで許容される代替品をリストアップし、最終規則としました。
配管・暖房・空調請負業、基礎有機化学品製造業、空調・温風暖房機器および商業・産業用冷凍機器製造業、冷凍機器・用品商卸売業、リサイクル可能材料商卸売業、スーパーマーケットおよびその他の食料品店業、レストラン業、家電製品の修理業を営み、可燃性冷媒を用いた冷却装置を取り扱う事業者は注意が必要です。この規則は2024年07月15日より発効します。
重要新規代替物質政策(SNAP)プログラムとは
重要新規代替物質政策(Significant New Alternatives Policy,SNAP)プログラムは、大気浄化法(Clean Air Act、CAA)第612条に基づいて施行され、オゾン層破壊物質の代替物質を特定・評価しています。このプログラムでは、既存および新規の代替物質の大気への影響、毒性、可燃性、職業上および消費者の健康/安全、当該地域の大気質、生態系への影響などを調査し、影響がないもしくは小さいかどうかを総合的に判断しています。許容可能となった物質は、リストとなり情報が公開され、代替品としてのその使用が促進されます。
最終規則の内容
米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は、重要新規代替物質政策(SNAP)プログラムに基づき、以下の3点を変更しました。
- 小売業者に対して、食品冷蔵機器、業務用製氷機、工業プロセス冷蔵(industrial process refrigeration)、冷蔵倉庫、およびアイススケート場において、使用条件付きで許容される代替品として、いくつかの代替品をリストアップ
- 業務用冷凍機器および業務用製氷機における、可燃性冷媒の安全な使用、および冷凍システムの安全な設計、建設、設置、運用に関する要件を定めた基準を参照として最終規則に取り入れる
- 電気器具または工業用プロセス冷凍の維持、整備、修理、または廃棄の過程において、冷凍食品加工および調剤に使用するプロパンを、故意に排出、放出、または廃棄することを禁止する要件から除外する
具体的には、以下の化学物質を対象にしています。
- ハイドロフルオロオレフィン(HFO)-1234yf、HFO-1234ze(E)、R-454C、R-455A、R-457A、およびR-516Aを、新規小売食品冷凍装置(独立型装置、遠隔凝縮装置、スーパーマーケットシステム、および冷蔵食品加工・調剤装置)における使用に対して、使用条件付きで容認する。
- R-454Aを、新規遠隔凝縮ユニットとスーパーマーケットシステムにおける使用に対して、使用条件付きで容認できるものとしてリストアップする。
- R-290(プロパン)を、新規冷蔵食品加工機器とディスペンサー機器に使用条件付きで使用可能とする。また、新規の独立型ユニットにおけるR-290の既存の使用条件を改定する。
- HFO-1234yf、R-454C、R-455A、R-457A、およびR-516Aを、新規業務用製氷機での使用に対して、使用条件付きで容認とする。
- ハイドロフルオロカーボン(HFC)-32、R-454A、およびR-454Bを、遠隔凝縮機能を備えた新規業務用製氷機、24時間当たり1,000ポンドを超える氷を収穫するバッチ式自己完結型業務用自動製氷機、および24時間当たり1,200ポンドを超える氷を収穫する連続式自己完結型業務用自動製氷機での使用に対して、使用条件付きで容認とする。
- 新規の自己完結型業務用製氷機で使用するR-290の使用条件を改定する。
- HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、R-454C、R-455A、R-457A、およびR-516Aを、チラーおよび直接膨張式産業プロセス冷凍(industrial process refrigeration、IPR)用機器を含む新規IPR機器での使用に対して、使用条件付きで容認できるものとしてリストアップする。
- HFC-32、R-454A、およびR-454Bを、蒸発器に入る冷媒の温度が摂氏-30度(華氏-22度)以下であるチラーおよび直接膨張式IPR機器を含む新規IPR機器での使用に対して、使用条件付きで容認できるものとしてリストアップする。
- HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、R-454A、R-454C、R-455A、R-457A、およびR-516Aを、新しい冷蔵倉庫での使用に対して、使用条件付きで容認できるものとしてリストアップする。
- HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、R-454C、R-455A、R-457A、およびR-516Aを、遠隔コンプレッサーを備えた新規アイススケートリンクでの使用に対して、使用条件付きで容認できるものとしてリストアップする。
この最終措置は、冷媒の選択肢を広げることにより、新規機器の仕様の柔軟性を向上させことを目的としています。以上の冷却用溶媒を用いた機器を取り扱う事業主は注意が必要です。この規則は2024年07月15日より発効します。
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