米国|玩具の安全基準:ボタン電池またはコイン電池を含む玩具に対する要求事項

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米国|玩具の安全基準:ボタン電池またはコイン電池を含む玩具に対する要求事項

CPSC、ボタン電池またはコイン電池を使用する玩具の性能と表示要件を厳しくする提案

2024年08月13日、米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、玩具から入手したボタン電池またはコイン電池を子供が口にすることよる傷害および死亡のリスクに対処するため、これら電池を含む電池によって動く玩具に対する性能および表示要件を追加することを提案し、規則案策定通知(NPRM)を発表しました。提案されている要件には、電子玩具の国際基準と一致する内容が含まれています。CPSCは、この提案に関する意見を2024年10月15日まで受け付けています。

消費者製品安全委員会とは

消費者製品安全委員会(U.S Consumer Product Safety Commission、CPSC)は、米国国内で販売される消費者製品の安全性のために、消費者製品安全法(Consumer Product Safety Act、CPSA)またはCPSAの修正法でもある消費者製品安全改善法(Consumer Product Safety Improvement Act of 2008、CPSIA)に基づいて、規制を行っています。CPSCが施行している規則の内容は、製造者、輸入業者、流通業者、配送や梱包業者などに加え、オンラインプラットフォームでの販売者など、消費者製品に関わる業者全般を対象にしています。

ASTM規格とは

ASTM規格とは、旧称でAmerican Society for Testing and Materials(ASTM)、現在はASTM Internationalとなっている米国試験材料協会によって策定された、材料、製品、システム、品質、安全性、性能に関する技術的基準をいいます。金属、塗料、繊維など、約130の異なる産業分野の製品をカバーし、その標準試験方法、仕様、ガイドラインを提供しています。ASTM規格はその性質上、任意で採用される技術標準ですが、米国の法規制や国際貿易の文脈において、この規格が参照され、実質的に要件とされていることがあります。

加えて規格への準拠は、リスク管理の観点からも重要で、製品の安全性や性能に関する訴訟リスクを低減する効果があります。これら理由で、アメリカ市場での販売製品の製造や輸入に関わる多数の企業は、法的義務がなくても、自発的にこれらの規格を採用し、製品の設計や製造プロセスに組み込んでいます。

この規則案の背景

「玩具(Toys)」は、CPSIA106条(a)により、ASTM Internationalの自主規格であるASTM F963-07「玩具の安全性に関する消費者安全基準(Standard Consumer Safety Specification for Toy Safety)」が強制的な規格となっています。ASTM F963および連邦規則集16巻「商慣習(Commercial Practice)」パート1250(16 CFR part 1250)で定義され対象となっている玩具の中には、ボタン電池またはコイン電池を含むか、または使用するように設計されている玩具が含まれています。

玩具の電池の過熱、液漏れ、爆発、火災、誤った取り込み(誤飲、鼻腔や耳への挿入)などの危険に対処するため、ASTM F963にはボタン電池またはコイン電池を含む玩具に対する特定の要求事項、例えば「玩具の使用・乱用試験」「ラベリング要求事項」「安全要求事項」などが含まれています。

しかし、現在の玩具の電池における要求事項は、ボタン電池またはコイン電池を使用する一般的な消費者製品を規制する「ボタン電池またはコイン電池とそのような電池を含有する消費者製品(Button Cell or Coin Batteries and Consumer Products Containing Such Batteries、16 CFR part 1263)」と比較し、危険性のすべてに対処していない、とCPSAに判断されています。

この規則案の対象製品

一般に、ボタン電池は、直径5mm~32mm(0.2インチ~1.3インチ)、厚さ1mm~6mm(0.04インチ~0.24インチ)の小型の使い捨て単電池とされています。ASTM F963-23では、「ボタン電池」を「全体の高さが直径より小さい、小型の円形の非リチウム電池」と定義し、また「コイン電池」を「全体の高さが直径より小さい、小型の円形のリチウム電池」と定義しています。

16 CFR part 1250の安全規格においては、ボタン電池とコイン電池は、一様に定義されているため、今回の規則案の対象はこれら2種の電池を含む玩具となっています。

この規則案の内容

2024年08月13日、NPRMにより、ボタン電池またはコイン電池を含む玩具の電池収納部に特化したパート1250の要求事項を改正し、パート1263で規制されているボタン電池またはコイン電池を含む一般的な消費者製品に関するCPSAの新規則と整合させることが提案されています。さらに、このNPRMは、ASTM F963の既存の要件を参照して反映させるため、パート1250のタイトルを「玩具に対するASTM F963の義務付け安全基準」から「玩具の安全基準」に修正することを提案しています。

具体的には、「キャプティブファスナー(パネルファスナーとも呼ばれる特殊ねじ)に関する試験要件」、「ねじ付きファスナーに関する最低要件」、「連続使用・乱用試験(ストレス・リリーフ、電池交換、衝撃、クラッシュ、トルク、引張、圧縮、コンプライアンス検証試験)」が追加され、「マーキングおよびラベリング要件」の更新が提案されています。

改正が提案されるパートの目次

連邦規則集16巻「商慣習(Commercial Practice)」パート1250(16 CFR Part 1250)「玩具の安全基準」

  • 1250.1「適用範囲」
  • 1250.3「ボタン電池またはコイン電池を含む玩具の要件」
  • 1250.3「ボタン電池またはコイン電池を含む玩具の要件」内の「表1:ねじに適用するトルク」、「図50:落下した鋼球による衝撃試験例」、「図51:スイングする鋼球による衝撃試験例」、「図52:テストプローブ」、「図53:テストプローブB」

参考情報

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