FDA、たばこ製品の製造者などに最大ニコチン量を下回るたばこ製品の製造、流通、販売を要求する規則案を公表し、意見を募集する
2025年01月16日、保健福祉省(HHS)の食品医薬品局(FDA)は、紙巻きたばこおよびその他の特定の燃焼式たばこ製品に最大ニコチンレベルを設定する規則案を発表しました。規則案において、FDAは、ニコチン依存症の人がより容易に禁煙できるように、ニコチン量を規制する「たばこ製品基準(Tobacco Product Standards)」を提案しています。また、FDAは規則案に対する意見を、2025年09月15日まで募集しています。たばこもしくはそれに関連する製品を取り扱う事業者は注意が必要です。
FDAが施行するたばこ製品に関する法について
家族喫煙防止およびたばこ規制法(Family Smoking Prevention and Tobacco Control Act、たばこ規制法)により、食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は、以下の方法などで、たばこ製品の製造、流通、マーケティングを規制しています。
- メンソールなどを除いた特徴的なフレーバーのたばこを禁止し、青少年に対するたばこの広告と販売を制限する。
- 無煙たばこ製品の警告ラベルを義務付け、また表示等が科学的証拠によって裏付けられていることを確認する。
- たばこ製品に含まれる成分の開示を義務付ける。
- たばこ製造会社の所有者および運営者の登録と製造または加工施設の2年ごとの検査を義務付ける。
- ニコチンや成分レベルを規制するたばこ製品基準を実施する。
- 米国で販売される特定のたばこ製品の製造者に対して、その米国市場シェアに応じた使用料を課し、FDAのたばこ製品規制の資金を賄う。
ただし、たばこ規制法の下で、FDAは以下のことができない制約が設けられています:
- たばこ製品の購入に処方箋を要求する。
- ニコチン収量をゼロにすることを義務付ける。
- 特定の小売業者における対面販売を禁止する。
- 特定の種類のたばこ製品を禁止する。
規則案の背景
米国では、毎年48万人が喫煙に関連する疾病に罹患しています。喫煙の健康への悪影響のほとんどは、燃焼式たばこ製品に含まれるニコチン中毒の結果と考えられています。しかし、現在まで米国では、たばこ製品中のニコチン量を規制するたばこ製品基準はありません。このため、FDAは、2018年03月16日、たばこのニコチン規制に対する包括的なアプローチを実施するためのたばこ製品基準に関する規則案策定前通知(Advance notice of proposed rule making、ANPMR)をNicotine ANPRMとして発行しました。そして、このNicotine ANPRMに寄せられた意見を検討し、関連科学文献の分析などを行っていました。
規則案の目的と内容
2025年01月16日、FDAは、規則案として以下の項目内容を提案し、その提案内容に関する意見、情報、調査内容を募集しました。
- 提案する対象範囲(Proposed scope):
FDAは、喫煙者がニコチン量を維持するために類似のたばこ製品に変更する可能性が高いと考えています。そのため、この基準案では幅広い燃焼たばこ製品を対象とすることを提案しています。具体的には以下を含みます:たばこ(加熱式たばこ製品(Heated tobacco product、HTP)、たばこの定義を満たす非燃焼式たばこを除く)、紙巻きたばこ、巻きたばこ(Roll-your-own、RYO)、葉巻(リトルシガー、シガリロ、ラージシガーを含むが、プレミアムシガーを除く)、パイプたばこ(水パイプたばこ除く)。
今回の規則案の「範囲」、「非燃焼式たばこの除外」、「水パイプたばこの除外」「電子ニコチンデリバリーシステム(Electronic nicotine delivery systems、ENDS、電子たばこを含む)や無煙たばこ製品の除外」「非発火非たばこ製品の除外」に関する意見を募集しています。
- ニコチン量に関する製品基準案:
FDAは、紙巻きたばこおよびその他の特定の燃焼式たばこ製品のニコチン量を制限することを提案しています。具体的には、ニコチン含有量の最大レベルをたばこ総量1グラム当たり0.70ミリグラム(mg)に設定する提案を行っています。ちなみに、2017年のたばこ上位100ブランドの平均ニコチン含有量は、たばこ総量1グラム当たり17.2 mgでした。ここで、FDAは「ニコチン収量」つまり「煙に含まれるニコチンの量」ではなく、「ニコチン含有量」つまり「たばこ煙に含まれる摂取可能なニコチンの絶対量」を上限に設けていることがポイントです。FDAは、連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)セクション907「たばこ製品基準(Tobacco Product Standards)」の下で、いかなるたばこ製品においてもニコチン量をゼロに義務付けることはできません。FDAは、最大ニコチン量の基準案に関する意見を募集しています。
- ニコチン量を即時に削減する規則案の過程:
FDAは、ニコチン量に関して、段階的削減ではなく、即時削減を提案しています。FDAは、この即時削減という方法を取る提案に関する意見を募集しています。
- 分析試験法:
FDAは、たばこ製品の製造者に検証された分析試験法を用いて、ニコチン濃度の分析を義務付ける提案を行っています。また、輸入などを取り扱う輸入業者などに米国内で商業的に流通する前に製品試験を要求する提案を行っています。
- たばこ製品のサンプリング計画:
FDAは、たばこ製品の製造者に、完成したたばこ製品の各バッチを試験するサンプリング計画の実施を提案しています。製造者は、サンプリング計画において、FDAが提案した製品規格要件への適合を実証するための手順を示す必要があります。
- 不適合たばこ製品:
FDAは、たばこ製品の製造者に、要件に適合しないたばこ製品を管理し、処分するための手順の確立を提案しています。
- 製造者コードの使用要件:
現在、たばこ製品の製造者に製造者コードの使用は義務付けられていません。今回FDAは、たばこ製品製造慣行(Tobacco Product Manufacturing Practice、TPMP)の要件として、製造者コードの使用を提案しています。
- 記録保持の要件:
FDAは、各バッチで実施された試験結果などに関する記録を作成し、保持することを要求する提案を行っています。また、製造者に対し、サンプリング計画およびサンプリング手順の記録、製造管理に関する記録、分析試験法に関するすべての記録を保持することを要求しています。さらに、完成品の製造バッチを特定できるようにすることも要求しています。
- 発効日:
FDAは、この規則案に基づいて発行される最終規則が、最終規則の公表日から2年後に発効することを提案しています。発効日以降、連邦規則集21巻(21 CFR) パート1160に基づいて、準拠していないたばこ製品を米国内で流通、販売することは禁止されます。新規のたばこ製品はFDAの市販前審査を受ける必要があることから、FDAは申請が殺到することも想定しています。FDAは、この発効日に関する意見を募集しています。
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