気候関連の財務リスクに向けて幅広いバックグラウンドをもつメンバーを招集
2022年10月3日、米国財務省は、金融安定監視評議会が気候関連金融リスク諮問委員会を設立し、委員会のメンバーを指名したことを発表しました。評議会は、気候関連金融リスクに関する2021年報告書において、気候関連金融リスク諮問委員会の設立の必要性を発表しており、今回はそのメンバー選定が行われました。
この記事では、「気候関連金融リスクとは」、気候関連金融リスク諮問委員会設立を計画した「金融安定監視評議会の2021年報告書の概要」、そして「気候関連金融リスク諮問委員会メンバー」をまとめています。
気候関連金融リスクとは:
気候の変動は、米国の金融安定性を保つために新たに注目する必要がある事象です。米国および全世界において、気温の上昇、海水面の上昇、干ばつ、山火事、暴風雨、その他の気候関連事象の影響により、すでに多大なコストが発生しています。
金融安定監視評議会(Financial Stability Oversight Council)の2021年報告書では特に温室効果ガス(GHG)について「米国はGHG排出量を2050年までに段階的に排出量ゼロの経済を実現することを約束しています。
このため、特に運輸、製造、農業関連業界で、GHG 排出量を削減する必要があります。」と報告し、「これら業界を中心に気候関連金融リスクが生じるだろう」として、そのリスク対策が求められていました。
金融安定監視評議会の2021年報告書の概要:
金融安定監視評議会では、最初に「金融安定化に対する脅威としての気候変動」を定義したのち、「気候変動関連金融リスクに関連した規制とその監督機関の関わり方」「気候変動に伴う金融リスクのデータとその解析手法」「気候関連の情報開示内容と方法」「気候変動の金融安定性への影響」について討議が行われました。
そして、最後に気候関連金融リスクへの「評議会の提言」が盛り込まれた2021年の報告書を作成しました。
「評議会の提言」では、
「1. 気候関連金融リスクに対応する取り組みの拡大」
「2. 気候関連データ及び解析手法を統一する」
「3. 気候変動に関連する情報公開の強化」
「4. 金融システムの安定性を脅かす可能性のある気候関連リスクの正確な評価とその軽減」
が必要であるとして、気候関連金融リスクに対応する取り組みの一部として気候関連金融リスク諮問委員会(Climate-related Financial Risk Advisory Committee、CFRAC)の設立を計画しました。
気候関連金融リスク諮問委員会メンバー:
以上の背景から、金融安定監視評議会を支援し、金融システムに対する気候関連リスクの特定、評価、軽減のための情報収集、分析、提言のために、CFRACが設立されました。金融安定監視評議会の2021年報告書では、CFRACメンバーには、以下の分野に所属する気候科学や気候変動の専門家が選ばれるとされていました。
非政府研究機関、学術界、金融業界、営利企業、消費者団体、消費者団体、金融機関、金融サービス産業、営利企業、消費者、投資家、環境、労働団体、気候変動に精通した政府機関、その他の利害が及ぶ業界
そこで以下の議長、20人のメンバーと1人の政府オブザーバーが委員会のメンバーとして指名・発表されています。
議長:財務長官(Secretary of the Treasury)、ジャネット・L・イエレン(Janet L. Yellen)
■ Viral Acharya博士, 教授 (経済学), 金融学部, ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス
■ Catherine Ansell博士、JPモルガン・チェース、気候リスク担当エグゼクティブディレクター
■ Laura Bakkensen博士、アリゾナ大学政府・公共政策学部准教授
■ Wendy Cromwell、ウェリントン・マネジメントの副会長、持続可能な投資部門の責任者
■ Karen Diver、ミネソタ大学ネイティブ・アメリカン問題担当学長上級顧問
■ Ivan Frishberg、合併銀行上級副社長、持続可能性に関する最高責任者
■ Ilmi Granoff、気候変動法のためのサビンセンターのシニアフェロー、コロンビア大学ロースクールの非常勤研究員
■ Emily Grover-Kopec、Rhodium Groupのエネルギーおよび気候プラクティス担当ディレクター
■ Janine Guillot、国際持続可能性にかんする基準審議会議長の特別顧問
■ Noah Kaufman博士、コロンビア大学国際公共政策大学院グローバルエネルギー政策センター研究員
■ Ed Kearns博士、ファースト・ストリート財団の最高データ責任者、元商務省および米国海洋大気庁の最高データ責任者
■ Tracey Lewis、政策顧問、公共市民気候プログラム
■ Bob Litterman博士、Kepos Capitalの創設パートナー、CFTC気候関連市場リスク小委員会の前委員長
■ Cecilia Martinez博士、ベゾス地球基金レジリエンスとコミュニティ担当主席顧問
■ Michael Panfil、環境防衛基金気候リスク&クリーンパワー担当シニアディレクター、リードカウンセル
■ William Pizer博士、未来のためのリソース担当で、Research and Policy Engagement副社長
■ Julie Renderos、サンコースト・クレジット・ユニオンのエグゼクティブ・副社長、最高財務責任者
■ Arthur Small博士、バージニア大学工学・応用科学部講師
■ James Stock博士、ハーバード大学気候・持続可能性担当副学長
■ Peter Wilcoxen博士、シラキュース大学行政・国際問題学部エネルギー・環境政策教授
■ Allen Fawcett博士、環境保護庁気候経済局長(オブザーバー)
同日に、CFRAC設立に関する法令、設立目標、全体の仕事の内容、オブザーバーを含むメンバー選定方法、議長の選定方法や仕事内容、各委員への仕事の割り当て、会議開催の方法、報告書や提言の方法、サブ委員会の招集方法、事務的な経費の支払い、会議の内容や資料配布方法について詳しく述べた、CFRACの憲章も公表されています。
CFRACの最初の会合は2023年初頭に開催される予定です。
参考:
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