2024.01.14
EU|欧州データ法が公布
IoT製品が生成する産業データへのアクセスと活用のための規則を規定することが目的
2023年12月22日、欧州官報にてEUデータ法と呼ばれる欧州委員会規則 (EU) 2023/2854 が公布されました。
データ法は、現状では製品の製造事業者やサービスプロバイダーに独占的に収集されてきた産業データについて、イノーベーション創出を目標に掲げ、EUのすべての経済セクターにわたって産業データの幅広い活用促進する枠組みを構築するため、誰がどの目的でどのデータを使用およびアクセスできるかについてのルールを確立することを目的としています。
新しい規則は、データの十分な活用につながる法的、経済的、技術的問題に対処することで、2028年までにEU加盟国に2,700億ユーロの追加GDPを生み出すことが期待されています。
データ法は2024年01月11日に発効し、2025年09月12日に適用となります。
背景
欧州委員会は、2019年から2024年までの優先課題の1つに「デジタル時代にふさわしい欧州(A Europe fit for the Digital Age)」を掲げており、これに沿って2020年02月19日に新データ戦略:欧州のデジタル未来の形成(Shaping Europe’s Digital Future)を公表しました。
特に、2021年から2030年までを「デジタルの10年」と呼び、デジタル社会を実現させるための具体的指針を示す「デジタルコンパス」を2021年3月に公表しています。
EUデジタル戦略は、世界での競争力を高め、他国に依存しないデジタル主権を確立するため、データの単一市場である「欧州データ空間」構築を目標とし、企業や個人が自身の生成するデータを管理・共有できる枠組みを構築することで産業データ活用を促進を目指すものです。
EUデジタル戦略を支えるのが、既に成立している「データガバナンス法(DGA:Data Governance Act)」、「デジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)」、「デジタルサービス法(DSA:Digital Services Act)」そして、今回成立した「データ法(DA:Data Act)」の4つの法規制です。
データ法は、誰がどのような条件下でデータから価値を生み出すことができるのかを明確にすることで、データガバナンス法を補完しています。
概要
データ法は、EU内で生成されたデータをあらゆる経済セクターにわたって誰がアクセスして使用できるかについての新しい規則です。
その目的は次の通りです。
- デジタル環境における関係者間でのデータの価値の配分における公平性を確保する。
- 競争の激しいデータ市場を刺激する。
- データ駆動型イノベーションの機会を開く。
- すべての人がデータにアクセスできるようにする。
データ法には具体的に、次の内容が含まれます。
- コネクテッド機器のユーザーが、機器および機器に関連するサービスによって生成されたデータにアクセスできるようにする措置:データがスマート オブジェクト、マシン、デバイスを通じて生成される様々なサービス間で簡単にデータをコピーまたは転送できるようになります。 また、消費者と企業に、コネクテッド機器によって生成されたデータを使って何ができるかについての発言権を与えます。
- 一方的に課される不当な契約条件から保護するための措置:EU企業を不当な協定から守り、公正な交渉を促進し、中小企業がより自信を持ってデジタル市場に参加できるようにしています。
- 公共部門機関が民間部門が保有するデータにアクセスして使用するためのメカニズム:洪水や山火事などの公的緊急事態が発生した場合、または必要なデータが他の手段では容易に入手できない法的義務を履行する場合のメカニズム。
- ユーザーが様々なクラウド データ処理サービスプロバイダーを自由に切り替えることができる新しいルール:ベンダーのロックインを防ぎながら、市場での競争と選択を促進することを目的としています。 データ法には、クラウドサービスプロバイダーによる不法なデータ転送に対する保護措置が含まれ、より信頼性が高く安全なデータ処理環境が保証されます。
- EU標準化戦略に沿った、データ共有とデータ処理のための相互運用性標準の開発を促進するための措置
目次
第1章 一般条項
第1条 主題および適用範囲
第2条 定義
第2章 企業から消費者および企業間のデータ共有
第3条 製品データおよび関連サービスデータにユーザーがアクセスできるようにする義務
第4条 製品データおよび関連サービスデータへのアクセス、使用、および利用可能にすることに関するユーザーおよびデータ所有者の権利と義務
第5条 ユーザーが第三者とデータを共有する権利
第6条 ユーザーの要請によりデータを受け取る第三者の義務
第7条 BtoCおよびBtoBのデータ共有義務の範囲
第3章 EU法に従ってデータを利用可能にする義務のあるデータ保有者の義務
第8条 データ保有者がデータ受領者にデータを提供する条件
第9条 データを利用可能にするための補償
第10条 紛争解決
第11条 データの不正使用または開示に関する技術的保護措置
第12条 データを利用可能ことをEU法によって義務付けられているデータ所有者の義務の範囲
第4章 データへのアクセスと企業間使用に関連する不公正な契約条項
第13条 他の企業に一方的に押し付けられた不当な契約条件
第5章 例外的な必要性に基づく公的機関、欧州委員会、欧州中央銀行、EU機関へのデータ提供
第14条 例外的な必要性に基づくデータ提供義務
第15条 データ活用の例外的な必要性
第16条 公的機関、欧州委員会、欧州中央銀行、EU機関がデータを利用できるようにするその他の義務との関係
第17条 データ提供の要請
第18条 データ要請への遵守
第19条 公的機関、欧州委員会、欧州中央銀行、EU機関の義務
第20条 例外的に必要な場合の補償
第21条 例外的な必要性の状況において取得されたデータの研究機関または統計機関との共有
第22条 相互援助と国境を越えた協力
第6章 情報処理サービス間の切り替え
第23条 効果的な切り替えへの障害除去
第24条 技術的義務の範囲
第25条 切り替えに関する契約条件
第26条 データ処理サービスプロバイダーの情報義務
第27条 誠実の義務
第28条 国際的なアクセスと転送に関する契約上の透明性義務
第29条 切り替え料金の段階的引き下げ
第30条 切り替えの技術的側面
第31条 特定のデータ処理サービス用の特有の制度
第7章 非個人データの違法な国際的政府アクセス及び移転
第32条 国際的政府のアクセスおよび移転
第8章 相互運用性
第33条 データ、データ共有メカニズムとサービス、およびヨーロッパの共通データ空間の相互運用性に関する必須要件
第34条 データ処理サービスの並行使用を目的とした相互運用性
第35条 データ処理サービスの相互運用性
第36条 データ共有契約を締結するためのスマートコントラクトに関する必須要件
第9章 実施および執行
第37条 管轄当局とデータコーディネーター
第38条 苦情を申し立てる権利
第39条 効果的な司法的救済を受ける権利
第40条 罰則
第41条 モデル契約条項および標準契約条項
第42条 欧州データイノベーション会(EDIB)の役割
第10章 指令96/9/ECに基づくデータベース特別な権利(sui generis権利)
第43条 特定のデータを含むデータベース
第11章 最終条項
第44条 データのアクセスと使用に関する権利と義務を規定するその他欧州連合法
第45条 委任の行使
第46条 委員会手続き
第47条 規則(EU) No 2017/2394の改正
第48条 指令(EU) 2020/1828の改正
第49条 評価および見直し
第50条 発効および適用
参考情報
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