環境犯罪抑止のための刑罰強化について
2024年04月30日、EU理事会は環境犯罪抑止を目的とした加盟国の刑法改正に関する指令(EU)2024/1203を公布しました。環境犯罪の定義や刑罰のレベル等に関して規定されています。
背景
近年における環境犯罪の増加はEUにおける環境法の有効性を損なっており、懸念事項とされています。特に国境を越えた犯罪行為に対して、国境を越えた協力体制が必要であると考えられています。
しかし、刑法環境保護指令(EC)2008/99および環境関連の罰則に関する現行規則は、環境保護に関する連合法を十分に遵守できていません。環境破壊に関する犯罪の重大性に対応するため、刑事罰を強化し、刑法と行政法の相補性を構築する必要性が指摘されています。
そのため、刑法環境保護指令(EC)2008/99の環境犯罪のリストを改定する必要があり、抑止効果を高めるためにも罰則を強化し、環境犯罪の摘発、捜査、訴追、裁定の効果改善を図るべきであるとされています。
概要
加盟国は、環境に重大な被害を与える行為に対して国内法において刑事罰を科す必要があります。法人に対する罰則も含まれ、場合によっては法人の活動停止や解散などが科されるケースも考えられます。また、環境を適切に保護するために、犯罪という語は幅広い意味合いを持つべきであり、必要に応じて動植物、 生息地、自然資源およびエコシステムへの重大な損害も含まれます。
法人が環境犯罪行為を犯した場合のため、加盟国は抑止力のある、その犯罪規模に比例した刑事罰の確保が義務付けられます。なお、刑事罰は行為の重大さや法人の財務状況等を考慮して決定されます。罰金の最大レベルは、法人の総世界売上高の割合または固定額どちらかを加盟国は選択できます。
熱、熱源、光のようなエネルギーの導入は、空気、水、土壌への重大な損害や動物または植物への重大な損害、人の死亡または重傷を引き起こす可能性があるため、環境への違法なエネルギー導入は犯罪として取り扱われます。
公的部門の汚職、マネーロンダリング、サイバー犯罪、文書詐欺なども環境に関連する場合は犯罪となります。
目次
第1条 主題
第2条 定義
第3条 犯罪
第4条 教唆、幇助、未遂
第5条 自然人に対する罰則
第6条 法人の責任
第7条 法人に対する罰則
第8条 加重事由
第9条 軽減事由
第10条 凍結および没収
第11条 制限期間
第12条 管轄
第13条 調査手段
第14条 環境犯罪の通報者または捜査協力者の保護
第15条 公益のための情報公開および関係者の司法へのアクセス
第16条 予防
第17条 資源
第18条 トレーニング
第19条 加盟国内の管轄当局間の調整および協力
第20条 加盟国と欧州委員会および欧州連合の機関、事務所または機関との間の協力
第21条 国家戦略
第22条 統計データ
第23条 実施権限
第24条 委員会の手続き
第25条 評価、報告、審査
第26条 指令(EC)2008/99の置き換え
第27条 指令(EC)2009/123の置き換え
第28条 置き換え
第29条 発効
第30条 宛先
参考情報
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