2025.10.12
EU|欧州委員会、技術移転や競争に関する法等の改正草案に関する意見募集を公表
技術移転契約や競争法について
2025年09月11日、欧州委員会は「技術移転に関するグループ適用免除規則(TTBER)」および「技術移転契約に関する第101条の適用指針(Guidelines)」の改正草案を公表し、全ての関係者に対して意見募集の呼びかけを公表しました。これらの文書は、技術移転契約に関する競争法上の取扱いを定めるもので、現行規則(2014年適用開始)の評価結果を踏まえて改訂されるものです。改正案は、技術市場の変化や裁判所の判例を反映しつつ、企業にとっての法的確実性を一層高めることを目的としています。
背景
■ 「欧州連合機能条約(TFEU)」第101条第1項は、企業間の競争を制限する協定を禁止しています。しかし、第3項においては、一定の条件を満たす場合に限り、競争に資する協定を適法と認めています。
■ これを具体化したのが「技術移転に関するグループ適用免除規則(TTBER)」であり、研究開発や技術の普及を促進するため、一定の条件を満たす技術移転契約を包括的に免除する仕組みです。「技術移転に関するグループ適用免除規則(TTBER)」に基づいて契約を構築すれば、企業は自らの合意が「欧州連合機能条約(TFEU)」第101条に違反しないという安心を得られます。そして、指針はさらに、「技術移転に関するグループ適用免除規則(TTBER)」の適用外にある契約をどのように評価すべきかを解説するもので、実務上の判断基準を提供します。
■ 現行の「技術移転に関するグループ適用免除規則(TTBER)」および「技術移転契約に関する第101条の適用指針(Guidelines)」は2014年に施行されましたが、欧州委員会は2024年11月に評価文書を公表し、これらが依然として有用である一方、法的確実性や市場変化への対応の面で改善の余地があると指摘しました。その結果、委員会は2025年01月に追加の証拠収集と影響評価を実施し、専門家による報告書も作成しました。今回の草案は、こうした検討の成果を反映したものです。
概要
■ 改正案の主な変更点は、企業が技術移転契約を設計・運用する際の基準を明確化し、新たな分野に対応することです。第一に、市場シェアの閾値の適用方法がより明確になり、特に技術市場での算定基準を整理しました。また、当事者の市場シェアがTTBERの閾値を超えても、包括免除が継続される猶予期間を従来の2年から3年に延長しました。これにより、契約中の市場変動に対して企業がより柔軟に対応できるようになります。
■ 第二に技術プールに関する「ソフト・セーフハーバー(安全地帯)」の条件を改訂し、透明性と法的確実性を強化しました。複数の技術所有者が自らの権利をまとめて提供する仕組みである技術プールは、標準必須特許(SEP)ライセンスにおいて特に重要です。改正案では、プール内の権利内容や必須性に関する情報開示を求め、競争法違反のリスクを低減します。
■ 第三に、ライセンス交渉グループ(LNGs)について新たな指針が導入されました。これは技術の実施者がライセンス条件を共同で交渉する枠組みで、正当な協調行動と反競争的な「買い手カルテル」を区別するための基準を提示しています。さらに、特定の条件を満たすLNGsに対しては「ソフト・セーフハーバー」が設けられ、合法的な共同交渉の範囲が明確になります。
■ 第四に、データライセンシングに関する新たなガイダンスが加えられました。デジタル経済の発展に伴い、著作権やデータベース保護の対象となるデータの利用が増加しており、今回の改訂では、こうしたデータのライセンスにもTTBERおよび指針の原則を適用することを明示しています。
■ これらの変更により、企業や研究機関は自らの技術契約が競争法上どのように評価されるかをより明確に把握できるようになります。一方で、技術プールや共同交渉を行う事業者は、透明性や市場シェアの確認、情報開示など、一定の遵守行動を求められることになります。
■ 関係者は2025年10月23日までに意見を提出でき、委員会はこれを踏まえて改訂版を最終化し、現行規則の失効日である2026年04月30日までに新しい枠組みを施行する予定です。
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