水質汚染物質リストの追加について
2025年09月24日、欧州委員会は、水質汚染物質リストの改訂に関して欧州議会・欧州理事会間の暫定的な合意の成立を歓迎することを公表しました。今回の改訂は最新の科学的知見に基づき、有害物質の監視・管理を強化するものであり、EUの水資源レジリエンス向上と「ゼロ汚染」目標の実現に向けた重要な一歩となります。
背景
■ 欧州委員会は2022年10月26日に、表層水および地下水における汚染物質リストの見直しを提案しました。この提案は、「欧州グリーンディール」および「ゼロ汚染行動計画」の一環であり、水資源の保護と持続的な管理を目指す「水枠組み指令(WFD)」を中心に、関連する「環境質基準指令(EQSD)」および「地下水指令(GWD)」の改正を伴うものです。
■ 「水枠組み指令(WFD)」は、加盟国に対し、流域管理計画や対策プログラムを通じて水域の良好な化学的・生態学的状態を維持・回復することを求めています。また、優先物質リストの6年ごとの見直しを義務付けており、今回の改訂はその最新の更新にあたります。これにより、EU全体での水質管理体制が最新の科学的根拠に基づいて再構築されることになります。
概要
■ 今回の政治合意では、環境および人の健康に悪影響を及ぼすことが確認された新たな物質が水質汚染物質リストに追加されます。具体的には、
- トリフルオロ酢酸(TFA)を含む25種類のPFAS(いわゆる「永遠の化学物質」)の合計値に対して、EU全域で適用される厳格な表層水質基準
- 地下水においては、最も有害な4種類のPFASの合計に対して同様の厳格な基準を導入。さらに、多くの加盟国で飲料水の主な供給源となっている地下水については、「飲料水指令(Drinking Water Directive)」に沿って、20種類のPFAS
- 農薬および農薬の分解生成物の一部
- 可塑剤であり、プラスチック包装の構成成分でもあるビスフェノールA(Bisphenol A)
- 内分泌かく乱物質の影響に関する強制的な試験
- 鎮痛薬や抗炎症薬として使用される医薬品の一部、ならびに一部の抗生物質
が導入されます。
■ 制度面では、加盟国が一定の条件下で簡略化手続きを適用できるよう、水質・水量の「悪化禁止原則」に一時的な例外が導入されます。これにより、汚染を増加させない範囲で柔軟な対応が可能になります。また、報告要件の簡素化や、監視データをデジタルツールで共有できる仕組みが整備され、加盟国と欧州委員会間のデータ連携が効率化されます。さらに、国境を越える水域においては、事故発生時に下流域への警報を義務化するなど、越境協力が強化されます。
■ 2027年12月22日までに改正内容を国内法へ転換し、水枠組み指令、環境質基準指令、地下水指令の3法令に反映させる義務を負います。これにより、各加盟国は新たな基準に沿った監視・報告体制の整備が求められるほか、PFASや農薬などの化学物質に対してより厳格な管理措置を講じる必要があります。
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など