タイ|エネルギー規制委員会、再生可能エネルギーを利用した電力生産・調達の具体的な規則を制定
ネット・ゼロ(二酸化炭素ガス排出量削減及びグリーンエネルギーへの移行)の実現を支援するため
エネルギー規制委員会(ERC)は国家エネルギー政策委員会(NEPC)の決議により、ネット・ゼロ(二酸化炭素ガス排出量削減及びグリーンエネルギーへの移行)の実現を支援するため、固定価格買取制度(FiT, Feed In Tariff)に基づく再生可能エネルギーを利用した電力生産や調達規則、及び購入方法の決定に関する告示を2022年9月23日に発出、同年9月27日、官報に掲載されました。
この告示は「2022年 エネルギー規制委員会(ERC)規律 2022年-2030年、固定価格買取制度(FiT)に基づく再生可能エネルギーによる電力調達について(燃料コストが発生しないグループ向け)」と題され、官報掲載日の翌日より施行となっています。
告示の背景(タイにおける再生可能エネルギー利用への取り組み)
これまでタイの電力供給は天然ガスが約6割を占めてきましたが、徐々に自国領海内での採掘量が減少し、近い将来には枯渇することが予測されている状況です。
そのためタイ政府は天然ガスへの依存を減らし、バイオガス、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーによる電力調達の増強することなどを目的とし、2018年にPDP2018(電力開発計画2015~2036年、第1回改訂版)を策定しましが、その後、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の影響による世界的なエネルギー価格の高騰、隣国ミャンマーからの天然ガス供給の問題など外的要因から来る危機にも直面しています。
このような状況を踏まえ、今回のこの告示は新たな準備が進んでいるPDP2022(電力開発2022~2037年)への布石とも言えるでしょう。
また、2022年9月19日にターンセータキット新聞が主催した新エネルギーセミナー「持続可能性に向けた国家エネルギー計画」の中でエネルギー政策企画事務局(EPPO)局長は、PDP2022(電力開発計画2022年~2037年)の準備が進んでいること、再生可能エネルギーからの電力生産増強の必要性について言及、9月30日には新たにタイ中央銀行がPDP2022(電力開発計画2022~2037年)の草案を承認した旨が報道されるなど、この告示の発出と同じタイミングで様々な動きも見られています。
告示の目的
下記3回開催された会議での国家エネルギー政策委員会(NEPC, National Energy Policy Council)決議によりネット・ゼロ(二酸化炭素ガス排出量削減及びグリーンエネルギーへの移行)の実現を支援することを目的とし、固定価格買取制度(FiT, Feed In Tariff)に基づく再生可能エネルギーからの電力生産や調達規則、及び購入方法が決定されたものです。
1)2022年5月6日開催の2022年第3回(通算158回)会議
2)2022年4月29日開催の2022年第8回(通算46回目)会議におけるエネルギー政策実行委員会決議
3)2022年8月22日に開催された2022年第12回(通算第50回)会議
この件についてエネルギー省は各燃料に対し、将来的に電力生産技術に見合い、かつ長期的に発電コストの負荷がかからない電力購入価格を決定する立場であるとしています。
また、この告示は仏暦2550年エネルギー事業法令第11条(1)及び(4)、2022年8月31日、2022年9月2日開催 2022年第41回(通算808回)会議のエネルギー規制委員会(NEPC)決議に基づき、エネルギー規制委員会(ERC)が規律を定め、発出されたものとなります。
告示の内容
電力購入目標はPDP2018(PDP/2015~2036年、第一回改訂版)に基づいており、その運転開始予定日と購入予定電力量は下記の通りです。
| 燃料の種類 | 運転開始予定日(SOCD)による販売希望電力量(単位:MW,メガワット) | |||||||
| 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 合計 | |
| 1)バイオガス(廃水、廃棄物) | 75 | 75 | 75 | 70 | 40 | 335 | ||
| 2)風力発電 | 250 | 250 | 250 | 250 | 250 | 250 | 1,500 | |
| 3)バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS) | 100 | 100 | 100 | 100 | 200 | 200 | 200 | 1,000 |
| 4)太陽光発電(地面設置) | 190 | 290 | 258 | 440 | 490 | 310 | 390 | 2,368 |
※2022年 エネルギー規制委員会(ERC)規律 2022年-2030年、固定価格買取制度(FiT)に基づく再生可能エネルギーによる電力調達について(燃料コストが発生しないグループ向け)より引用
※PDP2018(電力開発計画 2015~2036年、第1回改訂版)、クリーンエネルギーによる発電増強計画に基づく各種エネルギー目標を超えない範囲で、エネルギー規制委員会(ERC)はその技術、販売オファーの文言、販売開始予定日、電力システムの可能性などから総合的に判断し、電力購入目標の調整を審議できる
この告示の構成
この告示は全7章から構成されています。
第Ⅰ章:総合情報
第Ⅱ章:電力販売申請について
第Ⅲ章:選定審査について
第Ⅳ章:電力売買契約と入札保証(Proposal Bond)
第Ⅴ章:電力システムの接続、設備点検、それに係る費用について
第Ⅵ章:議論が起きた際の解決法
第Ⅶ章:その他
言及されている内容(抜粋)
■ この告示はエネルギー規制委員会会長が監督し、エネルギー規制委員会(ERC)がこの規律に沿った行動に問題が無いか調査特定する権限を持つこととする。また、エネルギー規則委員会の決定は一番の効力を持つもの、と規定
■ 固定価格買取制度(FiT)の買取価格、電力売買契約期間は2022年5月6日開催の2022年第3回(通算158回)会議のエネルギー規制委員会決議に基づくもの、と規定
■ タイ王国発電公社(EGAT, Electricity Generating Authority of Thailand)の権限について
■ 電力生産申請者に必要な特性について
■ 電力販売を希望する事業は新規に出資、建設された発電所であり、以前に電力販売契約を結んだり、タイ王国発電公社(EGAT)から購入承認を得た実績が無い者でなければならない、と規定
■ 電力生産申請者が備えておくべき技術について
■ 技術的な水準を満たしている電力生産者の選考、審議について
■ 電力販売希望申請の手順について
■ 電力販売者選考について:
技術的な水準が高い者から順に、再生可能エネルギーから生産された電力購入を支える電力システムの可能性と安定性の限度について熟考した上で審議する、等■ タイ王国発電公社(EGAT)が購入の権利を辞退、もしくは電力売買の入札保証を電力販売申請者に返還する場合の事例について
■ 電力生産申請者、電力生産者は電気システムの接続、設備点検の費用に関し責任を持つことなどを規定
2022年 エネルギー規制委員会(ERC)規律 2022年-2030年、固定価格買取制度(FiT)に基づく再生可能エネルギーによる電力調達について(燃料コストが発生しないグループ向け)より抜粋、仮訳
関係事業者はこの告示にご留意ください。
参考
2022年 エネルギー規制委員会(ERC) 規律 2022年-2030年、固定価格買取制度(FiT)に基づく再生可能エネルギーによる電力調達について(燃料コストが発生しないグループ向け)
エネルギー政策企画事務局(EPPO)局長、PDPアクションプランについて講演 2022年9月20日、エネルギー政策企画事務局
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