米国|米国EPAが2023-25年の再生可能燃料基準を提案
バイオ燃料の目標使用量を増やす予定
2022年12月01日、環境保護庁(EPA)は2023-2025年までの再生可能燃料基準を提案しました。提案では今後3年間の米国のエネルギー供給におけるバイオ燃料の使用義務量を示し、これに対する意見を求めています。また、EPAは今回の提案で初めて、電気自動車に使われるエネルギーにおけるバイオ燃料の使用義務量も提案しました。
01月10-11日には公聴会も開催され、再生可能燃料基準に関する規制の強化と拡大を行うこれら一連の変更に関して広く意見を求めています。ここでは、EPAの再生可能燃料基準決定の「背景」「今回のバイオ燃料使用における規制の変更内容」「電気自動車に使われるエネルギーへの新しい規制とその影響」が記事になっています。
背景:
2006年に大気浄化法(Clean Air Act of 1963、CAA)に基づいて、バイデン・ハリス政権下で導入された再生可能燃料基準(Renewable Fuel Standard, RFS)は、エネルギー供給の安全保障、大気汚染の削減、生活者の健康保護を優先事項とし、石油精製事業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料に対してエタノールなどバイオ燃料を一定量産生することを義務づけています。
石油精製業者は、割り当てられた産生量を達成するか、達成が不可能な場合は再生可能識別番号(Renewable identification numbers, RIN)と呼ばれる市場で取引可能なクレジットの購入が必要となります。
前回の2020-2022年の再生可能燃料基準は、新型コロナの感染拡大の影響でエネルギー需要が大きく減少した影響も受け、議論の末に2022年6月に以下のように最終決定されていました:2020年171億3000万ガロン、2021年188億4000万ガロン、2022年206億3000万ガロン(1ガロンは約3.8リットルです。)。
今後、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)の執行管理者であるマイケルS.リーガン氏のコメント「再生可能燃料基準プログラムは、より多くの国内産バイオ燃料を市場に組み込むために重要です。」にある通り、EPAは今後3年の間の米国の消費エネルギー種を多様化し、消費者により多くの選択肢を提供していく方針です。
加えて、エネルギー安全保障を維持および強化するために重要なエネルギーの供給インフラストラクチャーも強化する方針です。EPAは、今回の提案の後で一般からの意見を募集するために、オンライン公聴会を2023年1月10-11日に開催しました。前回は最終決定の際に当初の提案に大きな変更が加えられたことから、今回も集まった意見によっては変更される可能が十分にあります。
今回提案されたバイオ燃料使用における変更内容:
EPAは、コスト、大気質や気候変動、これまでの再生可能燃料基準プログラムの実施状態、エネルギー安全保障、供給インフラストラクチャー、商品価格、水質などの周辺環境の影響など様々なことを考慮に入れて、2023年から2025年の再生可能燃料基準(RFS)を含むバイオ燃料の数値目標を以下のように提案し公表しました。
提案された目標量(ガロン):参考資料からの引用
| 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| セルロース系バイオ燃料 | 7億2000万 | 14億2000万 | 21億3000万 |
| バイオマスディーゼル | 28億2000万 | 28億9000万 | 29億5000万 |
| 先進バイオ燃料 | 58億2000万 | 66億2000万 | 74億3000万 |
| 再生可能燃料 | 208億2000万 | 218億7000万 | 226億8000万 |
| 補足規格 | 2億5000万 | 該当なし | 該当なし |
今回の提案では、2023年から2025年の米国の燃料供給に使用するバイオ燃料に着実な成長が見込まれることが考慮されています。一方で付随された分析によりこの提案が石油や石油製品の価格に与える影響は最小限であることも示し、むしろ2023~2025年の石油輸入量が減少することで国家予算の節約可能であると考えています。
今後EPAは、今回提案したプログラムの再生可能燃料や全体のバイオ燃料の量が燃料の生産者、石油精製業者、これらの施設を運営する組合労働者、および燃料消費者が求めるバイオ燃料量と合致させバランスを合わせるために、関係者からの意見を広く募集します。
特に今回は様々な規則を含むバイオ燃料プログラム全体を多くの角度から見直す機会であるため、この提案規則の内容が
①製油所を含む国内の石油精製資産の継続的な運営と合致することができるのか
②持続可能な航空燃料やクリーン水素などの新規燃料をサポートする規則になっているのか
③およびインフレ抑制法により新しく更新されたインセンティブと合致するのか
についてコメントを募集しています。
電気自動車に使われるエネルギーへの新しい規制とその影響:
EPAは今回、電気自動車(Electric Vehicle、EV)の輸送燃料に使用される再生可能バイオ燃料を管理する新しい規制も提案しています。この提案が実現すると、電気自動車がバイオ燃料由来の電力を使って充電されるかどうかも、EPAが再生可能識別番号を用いて管理することになります。
つまり、この規則が実現すると自動車メーカーが規則で示されたバイオ燃料の使用目標量に達しない場合は、eRINと呼ばれるクレジットの購入が必要となるかもしれません。
一方これにより、自動車メーカーが再生可能燃料基準や再生可能識別番号の市場に参入することにもなり、技術革新などによって使用目標を上回ることで貯めたeRINクレジットを他社に売却できる可能性も広がります。EPAは、この新しい規則を用いて再生可能燃料からの発電を初めてこのプログラムに結び付けると考えており、それに対する意見を特に求めています。
参考:
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