日本|「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律

2021年07月30日、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行期日を定める政令」および「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」等の関係法令が公布され、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」が同年08月02日に施行されました。

産業競争力強化法は広範な事業に係わる法令ですが、本ウェブサイトで取り扱う分野に係わる改正内容があります。一つは「グリーン社会」への転換、もう一つは「デジタル化」への対応です。まず、「産業競争力強化法」とは何だったかを確認し、それぞれの改正内容の概要を把握します。

産業競争力強化法とは?

2013年12月11日に公布された「産業競争力強化法」は次の目的を掲げています。

第一条 この法律は、我が国経済を再興すべく、我が国の産業を中長期にわたる低迷の状態から脱却させ、持続的発展の軌道に乗せるためには、経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化することが重要であることに鑑み、産業競争力の強化に関し、基本理念、国及び事業者の責務を定めるとともに、規制の特例措置の整備等及びこれを通じた規制改革を推進し、併せて、産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置、株式会社産業革新投資機構に特定事業活動の支援等に関する業務を行わせるための措置及び中小企業の活力の再生を円滑化するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

法律の目次は次の通りです。注)2020年法律第五十八号による改正まで反映したもの
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 新事業活動に関する規制の特例措置の整備等及び規制改革の推進(第六条―第十四条)
第三章 産業活動における新陳代謝の活性化
第一節 特定新事業開拓投資事業及び特定研究成果活用支援事業の促進(第十五条―第二十一条)
第二節 事業再編の円滑化(第二十二条―第四十八条)
第三節 事業再生の円滑化(第四十九条―第六十五条)
第四節 事業活動における知的財産権の活用(第六十六条)
第五節 技術等情報漏えい防止措置の実施の促進(第六十七条―第七十九条)
第四章 株式会社産業革新投資機構による特定事業活動の支援等
第一節 総則(第八十条―第八十五条)
第二節 設立(第八十六条―第九十一条)
第三節 管理(第九十二条―第百条)
第四節 業務(第百一条―第百十四条)
第五節 国の援助等(第百十五条)
第六節 財務及び会計(第百十六条―第百二十条)
第七節 監督(第百二十一条―第百二十三条)
第八節 解散等(第百二十四条・第百二十五条)
第五章 中小企業の活力の再生
第一節 創業等の支援(第百二十六条―第百三十二条)
第二節 中小企業再生支援体制の整備(第百三十三条―第百四十条)
第六章 雑則(第百四十一条―第百五十条)
第七章 罰則(第百五十一条―第百六十二条)
附則

改正内容|基本事項

2021年06月16日に公布された産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律では、事業再構築やデジタルトランスフォーメーション、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を「事業適応」として定義し、これに積極的に取り組む事業者に対して、必要な支援措置を講じ、産業競争力の強化を図る仕組みが導入されています。産業競争力強化法の計画認定制度を利用して、税額控除等の支援を行う内容です。

12 この法律において「事業適応」とは、事業者が、産業構造又は国際的な競争条件の変化その他の生産性を相当程度向上させること又はその生産し、若しくは販売する商品若しくは提供する役務に係る新たな需要を相当程度開拓することを目指して行うその事業の全部又は一部の変更(取締役会その他これに準ずる機関による経営の方針に係る決議又は決定を伴うものに限る。)であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 予見し難い経済社会情勢の変化によりその事業の遂行に重大な影響を受けた事業者がその事の経済社会情勢の変化に対応して、その事業業の成長発展を図るために行うもの
二 情報技術の進展による事業環境の変化に対応して行うもの
三 エネルギーの消費量の削減、非化石エネルギー源の活用その他のエネルギーの利用による環境への負荷の低減に関する国際的な競争条件の変化に対応して行うもの

改正内容|「グリーン社会」への転換

政策:最大10%の税額控除又は50%の特別償却を新たに措置
対象1:大きな脱炭素効果を持つ製品の生産設備「需要開拓商品生産設備」の導入

14 この法律において「需要開拓商品生産設備」とは、エネルギーの利用による環境への負荷の低減に特に資する商品その他の事業適応(第十二項第三号に該当するものに限る。 )を行う事業者による新たな需要の開拓が見込まれる商品として主務省令で定める商品の生産に専ら使用される設備をいう。

⇒ エネルギー利用環境負荷低減事業適応を行う事業者による新たな需要の開拓が見込まれる商品に関する省令(2021年07月30日公布・08月02日施行)で「主務省令で定める商品」を特定。

1.  電力の制御若しくは電気信号の整流を行う化合物半導体素子又は当該素子の製造に用いられる化合物半導体基板
2.  電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車を構成するリチウムイオン蓄電池
3.  定置用リチウムイオン蓄電池(七、三〇〇回の充放電後に定格容量の六〇パーセント以上の放電容量を有するものに限る。)
4.  燃料電池(定格運転時における低位発熱量基準の発電効率が五〇パーセント以上であるもの若しくは総合エネルギー効率が九七パーセント以上であるもの又は 水素のみを燃料とするものに限る。)
5.  洋上風力発電設備(一基あたりの定格出力が九メガワット以上であるものに限る。)を構成する商品のうち、次に掲げるもの
イナセル  ロ発電機  ハ増速機  ニ軸受  ホタワー  ヘ基礎

対象2:生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備「生産工程効率化等設備」の導入

13この法律において「生産工程効率化等設備」とは、生産工程の効率化によりエネルギーの利用による環境への負荷の低減に特に資する設備その他の事業適応(前項第三号に該当するものに限る。)に資する設備として主務省令で定めるものをいう

⇒ 生産工程効率化等設備に関する命令(2021年07月30日公布・08月02日施行)で特定。

1産業競争力強化法(以下「法」という。)第二条第十三項に規定する生産工程効率化等設備は、事業者の実施するエネルギー利用環境負荷低減事業適応(法第二十一条の十三第二項第三号に規定するエネルギー利用環境負荷低減事業適応をいう。以下同じ。)に資する設備(機械若しくは装置、器具若しくは備品、建物附属設備若しくは構築物又はこれらを組み合わせたものをいう。以下同じ。)のうち、当該設備が導入される事業所における付加価値の創出に伴って生じる環境への負荷の程度を低減させるものであり、次項で定める方法により算出される指標(以下「炭素生産性」という。)を向上させるために必要不可欠な設備(発電の用に供する設備(当該設備と併せて設置される架台、蓄電装置、制御装置その他の当該設備に附属する装置を含む。以下「発電設備等」という。)であって、エネルギー利用環境負荷低減事業適応の実施時期のうち当該発電設備等により発電される電気の販売を行うことが見込まれる期間において、当該発電設備等により発電されることが見込まれる電気の量のうちに販売を行うことが見込まれる電気の量の占める割合が二分の一を超えるものを除く。)であって、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる式により算出された数値が一〇一以上となるものとする。(詳細は略)

なお、「需要開拓商品生産設備」や「生産工程効率化等設備」の定義に記載のある「エネルギー利用環境負荷低減事業適応」については、改正法で新たに導入された法第二十一条の十三の第2項に記載があります。

(実施指針)
第二十一条の十三 経済産業大臣及び財務大臣(財務大臣にあっては、次項第一号ハ、第二号ハ及び第三号ハに掲げる事項に限る。以下この条において同じ。 ) は、 事業適応の実施に関する指針(以下この節において「実施指針」という。)を定めるものとする。
2 ・・・(中略)
三 エネルギー利用環境負荷低減事業適応(第二条第十二項第三号に該当する事業適応をいう。以下この号及び第二十一条の十七第一項第二号において同じ。 ) にあっては、次に掲げる事項

イ エネルギー利用環境負荷低減事業適応の促進の意義及び目標その他のエネルギー利用環境負荷低減事業適応に関する基本的事項
ロ エネルギー利用環境負荷低減事業適応の実施に必要な生産工程効率化等設備及び需要開拓商品生産設備の導入その他のエネルギー利用環境負荷低減事業適応の内容に関する事項
ハ エネルギー利用環境負荷低減事業適応のための措置を行うのに必要な資金の調達の円滑化に関して公庫及び指定金融機関が果たすべき役割に関する事項
ニ その他エネルギー利用環境負荷低減事業適応に関する重要事項

改正内容|「デジタル化」への対応

政策:税額控除(5%/3%)又は特別償却30%
対象:認定事業適応計画に従って実施される情報技術事業適応を行う認定事業適応事業者

(課税の特例)
第二十一条の二十八 (中略)
2 認定事業適応計画に従って実施される情報技術事業適応(生産性の向上又は需要の開拓に特に資するものとして主務大臣が定める基準に適合することについて主務大臣の確認を受けたものに限る。)を行う認定事業適応事業者が、当該情報技術事業適応の用に供するために取得し、又は製作した機械及び装置、器具及び備品並びにソフトウェア並びに当該情報技術事業適応を実施するために利用したソフトウェアについては、租税特別措置法で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。

⇒ 産業競争力強化法第二十一条の二八第二項に基づく生産性の向上又は需要の開拓に特に資するものとして主務大臣が定める基準」「産業競争力の強化に著しく資するものとして経済産業大臣が定める基準(2021年07月30日公布・08月02日施行)で特定。

詳細は割愛するが、経済産業省の概説資料1に基づいて、「DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制」認定要件は次の通り。

デジタル(D)要件

  • データ連係(他の法人等が有するデータ又は事業者がセンサー等を利用して新たに取得するデータと内部データとを合わせて連携すること)
  • クラウド技術の活用
  • 情報処理推進機構が審査する「DX認定」の取得(レガシー回避・サイバーセキュリティ等の確保)

企業変革(X)要件

  • 生産性向上又は売上上昇が見込まれる
    • ROAが2014-2018年平均から1.5%ポイント向上
    • 売上高伸び率≧過去5年度の業種売上高伸び率+5%ポイント
  • 計画期間内で、商品の製造原価が8.8%以上削減されること等
  • 全社の意思決定に基づくもの(取締役会等の決議文書添付等)

対象設備

  • ソフトウェア
  • 繰延資産 クラウドシステムへの移行に係る初期費用をいう
  • 器具備品 ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る
  • 機械装置 グループ外の他法人ともデータ連携する場合

事業適応計画の認定制度や申請方法、関連資料については経済産業省が専用ページを設けています。

  1. 経済産業省「産業競争力強化法における事業適応計画について

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