NGO団体が連名でUNEP FIを通じて銀行NZBA加盟団体に”Race to Zero”基準を高めることを要請
2022年09月、日本の350.orgやShareAction、BankTrack、Reclaim Finance、Sierra Club(シエラクラブ)などを含むNGOは連名でUNEP(国際連合環境計画)の金融イニシアティブ(UNEP-FI)に書簡(14日公表)を送りました。UNEP-FIの主催の下で、NZBA(Net Zero Banking alliance、ネット・ゼロ・銀行アライアンス)が”Race to Zero(ゼロへのレース)”基準を高めるように要請しています。
NGO団体は、NZBAに対して、気候変動対策における役割と責任を求め、UNEP-FIに対する要請内容と質問を書簡にまとめました。
この記事では、「背景」「書簡に記載された要請内容」「書簡に記載された質問」「連名で署名したNGO団体」をまとめてあります。
背景:
Race to Zero(ゼロへのレース)とは、企業や自治体、投資家、大学などの非政府団体に、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを約束し、その達成に向けた行動を起こすことを呼びかける国際的なキャンペーンです。
国連が支援し、世界の銀行資産の約40%を占める115行が加盟するNZBAは、今年6月に更新された”Race to Zero”基準を反映したガイドラインを2023年6月までに更新することになっています。
しかし、NGO団体は、Sierra Clubシエラクラブが記事で示したように(参考1)、Capital Monitorの8月17日の記事などを参照し、地球温暖化を1.5℃内に留める必要があるにも関わらず、NZBAの特にGFANZ(ネット・ゼロのためのグラスゴー金融アライアンス)が、多くの点で”Race to Zero“基準と矛盾したガイドライン(参考2)を持っていることに、強い懸念を抱いています。
書簡に記載された要請内容:
NGO団体からの書簡では、以下の”Race to Zero“の「スタートライン」基準を以下の6項目で説明しています。
- 「使用燃料を世界的で公正に移行するために、現在使用されている化石燃料を段階的に削減する」ことを誓約すること。
- CO2排気が、気候変動計画やその目標以上に、銀行からの融資が原因で促進されることがないようにすること。
- 2030年までに世界全体で50%のCO2削減を達成するために中間目標を設定すること。発展途上国が産出するCO2も含まれるため、先進国のNZBA会員は50%以上を目標に設定すること。
- 気候変動を1.5℃以下に抑えるためには森林破壊を止めることが求められています。そのため、すべてのNZBA会員は遅くとも2025年までの目標として「スタートライン」基準の「森林破壊」の項目を達成する必要があること。
- 新しい基準である“Persuade(説得する)”の一部として、NZBA会員のロビー活動やNGO活動が整合性を持つこと。
- 今後12か月以内、2から3年以内、2030年までに取るべき行動を示した計画を公表すること
さらには、NGO団体は、UNEP FIに要請し、NZBA会員が以下の「リーダーシップの実践」を実施することを強く奨励することをUNEP FIに要請しました。
■ 計画、行動、開示の際に「自然保全」を考え行動すること
■ 新興国や発展途上国が”Race to Zero”計画を実行する力をつけるために、これらの国々への投資を拡大すること
■ メタンやその他の温室効果ガスの短期的な削減のための具体的な目標を設定する。
■ 地球温暖化を1.5℃に留めることがすべての関係者にとって共通目標となるために適切な規制と促進策を提唱すること
■ 気候と気候変動の両方の影響を受けるコミュニティをどのように支援し、不公正に対処し、より公平な未来に向けて構築していくかを説明すること
を奨励するように要請しました。
以上の「リーダーシップの実践」は新規メンバーには加入直後に採用することが求められ、既存のメンバーも遅くとも2023年6月15日までに基準を満たす必要があるため、NZBAの全メンバーがこれらの目標に向けて直ちに行動を開始することを求めています。
そして最後に、NGO団体は書簡で、短いスケジュールと緊急性を考慮し、NZBAが”Race to Zero”認定を維持するためにガイドラインを更新するプロセスの概要と、会員がその義務を認識し遵守することを保証する方法について、以下の4つの質問を示し、10月11日までの回答を求めました。
- NZBAがガイドラインを更新し、”Race to Zero”のスタートラインの基準を取り入れるまでのスケジュールはどうなっているのか
- その間、NZBAはどのようにして新規会員にスタートライン基準を遵守するように要請するのか?
- 既存会員が2023年6月15日までにスタートライン基準を実施するのかをNZBAはどのように確認するのか?
- 新規または既存のNZBA会員が基準を遵守しなかった場合、どのような結果になるのか?
連名で署名したNGO団体:
()内は所属する国名です。
AbibiNsroma Foundation (ガーナ)
AnsvarligFremtid(デンマーク)
Bank on our Future(英国、米国)
BankTrack(オランダ)
Climate Safe Lending Network(米国)
Environmental Defence(カナダ)
Fair Finance International
Global Witness(英国)
Make My Money Matter(英国)
Reclaim Finance(フランス)
ReCommon(イタリア)
ShareAction(英国)
Sierra Club(米国)
Stand.earth(カナダ、米国)
Talanoa Institute(ブラジル)
350.org(日本)
参考:
参考2:GFANZの進捗報告書
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