国際|OECD/G20参加国、2本の柱からなる国際的な税制改革の実施に向けての報告書公表に合意
高収益企業に対する課税制度の是正、改善
2022年10月6日、OECD/G20のBEPS※に関する包括的枠組の第14回総会において、135以上の国や地域からの500人以上の代表者は、「行政及び税務の確実性の側面に関する新しい進捗報告書」を公開協議用に公表することに合意しました。
国際社会は、グローバル化とデジタル化から生じる税務上の課題に対処するための国際的な税制改革に向けた2本の柱の解決策について画期的な合意に達してから1年、その実施に向けて力強い進展を進めています。本報告書には、税務の確実性関連の規定を含む、第1の柱の下での新しい課税権の管理に関する規定が含まれており、今年初めに行われた一連の公開協議とともに、提案されている規則の全体設計と、規則が実際にどのように運用されるかについて明確な概要を示しています。
BEPS※:グローバルビジネスの変化により、各国の国際課税制度のズレを利用することにより、人為的に課税逃れを行っている問題(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に対処するため立ち上げられたプロジェクトで、BEPS行動計画はOECD/G20の要請により策定された15項目の計画を指し、2015年9月に最終報告書がまとめられました。
背景
国際的な税制の更新と抜本的な改革に向けた数年にわたる集中的な交渉を経て、OECD/G20のBEPSに関する包括的枠組の137の加盟国は、2021年10月に発表された「経済のデジタル化から生じる税の課題に取り組む2本柱の解決策に関する声明」に参加しました。声明では、「第1の柱」と「第2の柱」の主要な構成要素に関する政治的合意を示し、「デジタル経済に関するタスクフォース」(TFDE)に権限を委譲しています。
特に、TFDEは、多国間条約(MLC)及びその説明書、国内法に関する、モデル規則及び関連する注釈の作成を任されています。
この歴史的な合意以来、大企業や高収益企業の残余利益の一部(以下、金額A)の技術的ルールの開発において、金額Aの様々な構成要素について行われた公開協議で寄せられた貴重な意見などを通じて、大きな進捗成果が達成されました。
2022年7月、包括的枠組は、金額Aの技術的設計についてステークホルダーからさらなる意見を得る目的で、金額Aの機能を導く運用規定の中核的要素を含む進捗報告書の公表を承認しました。
また、ステークホルダーとの有意義な関与を可能にするには、TFDEにおいてより時間と作業が必要となるため、税務の確実性に関わる規定を含む新しい課税権の管理に関する規則も、公衆審査に向けて順次公表すると言及されました。これらの規則と手続きについては、利害関係者からのさらなる意見を求める目的で、公衆審査(2022年11月6日~11日)にかけられました。
報告書の概要
金額Aの運用規定に加え、MLCは、すべての企業に関して、既存のすべてのデジタルサービス税や関連する同様の措置の撤回を要求し、将来的にそのような措置を取らないことを約束する条項も含んでいます。
このMLC は、国税の課税対象となる企業の大半の最終親会社の居住国、及び国税の結果生じる二重課税を排除する義務を負う追加的な主要国の批准によって初めて発効します。
金額Aに関する作業に加え、金額B(基本的なマーケティングと流通機能を行う流通業者の最低限の売上高利益)を提供することを目的としたに関する作業も順調に進んでおり、年末までに完了させる予定となっています。
このような背景から、包括的枠組は、金額Aに関する作業の完了スケジュールを以下のように修正することに合意しました。
■ 包括的枠組は、2022年10月の会合でのステークホルダーの意見を検討し、規則の安定化を図る。
■ MLCの詳細規定とその説明書に関する作業は、2023年前半にMLCの調印式を行うことができるよう完了する見込みであり、MLCが定義する承認数の管轄国が批准すれば2024年の発効を可能にすることを目的としている。
進捗報告書には、国内モデル規則の形で提示された金額Aの新しい課税権に関連する様々な構成要素が含まれています。この報告書には、課税の確実性に関連する規定を含む、新しい課税権の管理に関する規定は含まれていませんが、これは、10月の包括的枠組会合までに、順次発表される予定です。
第一の柱のA項は、経済のデジタル化によって生じる税制上の課題に対処するための二本柱の解決策の一部として開発されました。これは、以下のような新しい課税権です。
大企業や高収益企業の残余利益の一部(すなわち金額A)を、商品やサービスが供給される地域や消費者がいる地域(以下、「市場管轄地域」)の利益のために適用します。
金額Aは、既存の利益配分規則の上乗せとして運用されるため、それぞれの異なる利益配分制度を調整し、二重課税を防止する仕組みが含まれおり、国税に関連する事項に関して、企業の確実性を高める改善された税率のプロセスが含まれています。
金額Aの機能を導く規則の核となる要素は、報告書の第2章に記載されています。これらのルールは、デジタル経済タスクフォース(TFDE)が、様々な公開協議で受け取った利害関係者の意見を考慮して作成したものです。
これらは国内法の規則として構成されていますが、金額Aが実施される多国間条約(MLC)の交渉の実質的な基礎となり、以下の要素で構成されています。
範囲規定には、金額Aが大規模で高収益のグループにのみ適用されることを確実にするための閾値が含まれており、可能な限り、定量的かつ客観的に適用され、容易に管理でき、納税者が範囲内にあるかどうかが確実になるように起草されています。
例外的に、開示セグメントが単独で金額Aの適用範囲内であっても、グループ全体としては適用範囲外である場合があります。規制金融サービスからの収益や利益は、金額Aの範囲から除外されます。
特別目的の中核ルールは、金額Aを受け取る資格がある市場管轄区域を特定します。
中核ルールには、グループが市場の管轄区域で生み出す利益に基づく定量的な閾値が含まれています。小規模な市場管轄区域には、より低い閾値が適用され、これらの区域も金額Aの恩恵を受けることができるようにします。
この中核ルールは、信頼できる指標や配分方法に基づいて、グループの利益がどこで発生したかを決定するための方法を提供する利益配分ルールによってサポートされています。
課税標準に関する規則は、金額Aの計算に使用されるグループの利益(または損失)を計算するための手順を提供します。部分的な再配分の基礎となるのは、この利益指標です。許容される財務会計基準に基づいて作成されたグループの連結財務諸表は、課税標準の決定の出発点となります。この規則には、限られた数の簿価調整と損失の繰越を認める枠組みが含まれています。
利益配分ルールは、当社グループの売上高の10%を超える利益の25%を適格な市場地域に配分するという公式に基づいています。また、MDSH(Marketing and Distribution Profits Safe Harbor)により調整されます。
参考情報
- Progress Report on Amount A of Pillar One – Two-Pillar Solution to the Tax Challenges of the Digitalisation of the Economy
- Tax challenges of digitalisation: OECD invites public input on the Progress Report on the Administration and Tax Certainty Aspects of Amount A of Pillar One
上記レポ-トはOECDプレスリリースのURLよりアクセス可能です。
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