LC-PFCAやその塩、関連化合物も廃絶対象へ
2023年10月、難分解性有機汚染物質を管理するための国際条約であるPOPs条約(ストックホルム条約)のもと、第19回の検討委員会(POPRC)の会合結果が条約の事務局より公表されました。
概要
■ 今回の会合では、クロルピリフォスのリスク管理評価を作成するため、附属書F情報を提出するよう要請された。
■ 「長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)、その塩及び関連化合物」については、附属書Aの廃絶の対象に収載するよう勧告がなされている。(半導体、電子機器、医療機器、自動車、撥水撥油のための繊維製品など、さまざまな特定の免除を含む)
■ 「炭素鎖長がC14~17の範囲で塩素化度が45wt%以上の塩素化パラフィン」(中鎖塩素化パラフィン)も、いくつかの具体的な除外を除き、附属書Aへの掲載が推奨されたが、化学的同一性についての議論が続いており、次回のPOPRC-20会合でも継続して審議される見込み。
POPs条約とは?
POPs条約とは、難分解性有機汚染物質(残留性有機汚染物質、persistent organic pollutants)を国際的に管理・規制するための枠組みです。2001年にストックホルムで行われた会合で採択されたため、「ストックホルム条約」としても知られています。2004年05月に発効し、180ヵ国以上の締約国を有しています。
難分解性有機汚染物質(POPs)とは?
条約の中に「難分解性有機化合物」の定義はありませんが、前文において、分解しにくく、ヒトの体内または環境中に蓄積しやすく、それゆえに長距離を移動でき、且つ、毒性が高い物質であるとされています。
附属書AおよびBに物質リストが収載されており、一般にこれらがPOPsとして認識されています。代表的なものとしては、ポリ塩化ビフェニル(PCB)やDDT、デカBDEなど、農薬や難燃剤、絶縁材料のための添加剤などが挙げられます。
附属書A:廃絶(Elimination)-製造・使用、輸出入の原則禁止
附属書B:制限(Restriction)-製造・使用、輸出入の制限
附属書C:非意図的生産(Unintetional Production)
規制内容は?
主な規制内容としては、製造や使用、輸出入の禁止や制限(第3条)、非意図的生産からの放出削減・廃絶(第5条)、ストックパイルや廃棄物からの放出削減・廃絶(第6条) などが挙げられます。
条約と締約国
条約の締約国は、各国の国内法令に条約の内容を反映させる形で履行する形になります。日本の場合は化審法や農取法などに反映され、EUではPOPs規則などに反映されます。
企業コンプライアンス上、関心が高いのは、規制対象になる物質は何か、新しく何が追加されるのか、という点だと思われますが、附属書への新たな物質の追加は、まずPOPsの検討委員会(POPRC)と呼ばれる専門の組織で検討され、締約国会議での検討を通じて決定されます。
決定(Decision)という形で公表され、条約の改訂がなされれば、それまでの決定が条約に反映されます。最新改訂版以降の決定については、個別に決定を確認しなければなりません。
また、禁止や制限の免除用途について、各締約国が意見を提出することができ、それが決定されると、条約において特定の物質の特定の用途の免除が認められることとなります(第4条)。その結果、各締約国が国内で反映させる法令にもそのような免除を反映できるようになります。
参考
■ POPRC-19/UN
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