PFASとは?日本の規制対象物質と世界のPFAS規制動向を解説

HOME > Compliance Topics > PFASとは?日本の規制対象物質と世界のPFAS規制動向を解説
Updated:2026年02月27日

PFAS(有機フッ素化合物)は、炭素とフッ素の結合を持つ化学物質群で、撥水・撥油性や熱・化学的安定性などの特性から、表面処理剤、泡消火薬剤、半導体関連など幅広い用途で使われてきました。一方で、環境中に残りやすい性質が課題として注目され、日本でも一部は規制対象となっています。

当記事では、PFASが問題視される背景を整理した上で、日本で規制対象となっているPFASの種類や、国内の規制の現状、各国の規制動向について解説します。

1. PFAS(有機フッ素化合物)とは?

252

PFAS(通称ピーファス)は、炭素とフッ素を含む有機フッ素化合物の総称で、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物を指します。分類方法により数は異なりますが、物質数は1万種類以上とされます。炭素鎖の長さや官能基で性質は変わる一方、強い炭素‐フッ素結合を持ち分解されにくいところが共通点です。

撥水・撥油性や耐熱性を生かし、表面処理剤や泡消火薬剤、半導体関連のほか、溶剤や界面活性剤にも使われるなど、用途は多岐にわたります。

(出典:環境省「よくある質問」/https://www.env.go.jp/water/pfas/faq001.html

1-1. PFASが問題視されている背景

PFASが問題視される主因は、自然界で分解されにくく環境中に残りやすい点にあります。1990年代後半から研究者が難分解性を指摘し始め、2000年に化学メーカー3M社がPFOS・PFOAの製造中止を発表したことで注目が集まりました。その後の調査で世界各地にPFASが広がっていることが判明しました。

米国では、泡消火薬剤や工場排水などに由来するPFASが水道水を汚染し、浄化設備の導入や監視に多額の費用が生じたとして、州や水道事業者が製造企業に費用負担を求める訴訟が相次ぎました。メーカー側が危険性や拡散を把握しながら十分に警告しなかったという主張も争点となり、近年は公的水道向けの和解枠組みも整い、除去コストの補填が進んでいます。

(出典:農林水産省「食品中のPFASに関する情報」/https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/PFAS/index.html

(出典:日本財団ジャーナル「分解されないから、永遠に残る化学物質「PFAS(ピーファス)」は、何が怖い?」/https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/104571/sustainable

2. PFASのうち日本で規制対象となっている3種類

book-1283865_640

日本では2010年から2024年にかけて化審法により、PFOS・PFOA・PFHxSは「第一種特定化学物質」として扱われ、製造・輸入などが原則禁止されています。また、実務では物質そのものの規制に加え、第一種特定化学物質が使用されている製品について、政令で指定された範囲で輸入が禁止される点も重要です。対象となる製品の範囲は物質ごとに定められるため、該当製品を扱う場合は指定内容を確認する必要があります。

ここでは、PFASの中でも国内で規制対象となる3種類を整理します。

2-1. PFOS

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、半導体用反射防止剤・レジスト(電子回路基板の製造で表面に塗る薬剤)、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに使われてきました。

難分解性・高蓄積性・長距離移動性を持つため、予防的な取組の考え方からPFOSは2009年(PFOAは2019年)にPOPs条約の対象物質に追加決定されました。これを受け、日本では2010年に化審法の第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入などが原則禁止となりました。

(出典:環境省「Q2 PFOS、PFOAとは何か」/https://www.env.go.jp/water/pfas/faq002.html

(出典:環境省「Q3 国内ではPFOS等はどのように規制されているのか」/https://www.env.go.jp/water/pfas/faq003.html

2-2. PFOA

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、撥水剤や界面活性剤として、フッ素ポリマー加工助剤や界面活性剤などに使われてきました。難分解性・高蓄積性・長距離移動性を持つため、予防的な取組の考え方から問題視されます。

2019年にPOPs条約の対象物質に追加決定され、日本では2021年に化審法の第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入などが原則禁止となりました。また、PFOAに分解し得るPFOA関連物質も規制対象です。PFOA関連物質にはPFOIや8:2FTOHなどが含まれます。

(出典:環境省「Q2 PFOS、PFOAとは何か」/https://www.env.go.jp/water/pfas/faq002.html

(出典:環境省「Q3 国内ではPFOS等はどのように規制されているのか」/https://www.env.go.jp/water/pfas/faq003.html

2-3. PFHxS

PFHxSは、泡消火薬剤や金属めっき、織物・革製品の処理、研磨剤・洗浄剤、コーティング、電子機器・半導体製造などに使われ、PFOS・PFOAの代替として用いられてきました。自然環境中で極めて分解されにくく蓄積性が高い点が課題で、動物投与では血液学的影響、甲状腺・肝臓への影響、神経伝達系への影響が観察された報告があります。

2022年にPOPs条約の対象物質に追加決定され、日本では2024年に製造・輸入が原則禁止となりました。(出典:環境省「ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)について」/https://www.env.go.jp/council/49wat-doj/y4911-19b/mat03.pdf

3. 日本におけるPFASの規制の現状

日本におけるPFAS規制は、化審法によりPFOS・PFOA・PFHxSの製造や輸出入が原則禁止されています。また、水道水や公共用水域については暫定目標値・指針値が示されているものの、現時点(2026年1月)では法的拘束力を持たない要請にとどまっているのが実情です。ここでは、日本におけるPFASの規制の現状を詳しく紹介します。

3-1. 水道法|飲料水に関する規制

水道法ではPFOS・PFOAを2020年から水質管理目標設定項目に位置付け、暫定目標値を両者合算で50ng/L以下として運用してきました。2024年6月の食品安全委員会評価と、令和7年5月8日の答申を踏まえ、2026年4月1日から水質基準項目へ追加予定です。

基準値も目標値と同じくPFOS+PFOAで合計50ng/L(0.00005mg/L)とされ、検査はおおむね3か月に1回以上が基本です。あわせて改正内容に関する通知も発出され、水道事業者は測定・管理の実務を更新します。

(出典:環境省「「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について」/https://www.env.go.jp/press/press_00075.html

(出典:環境省「水質基準項目と基準値(51項目)」/https://www.env.go.jp/water/water_supply/kijun/kijunchi.html

3-2. 化審法|輸出入および使用に関する規制

化審法では、PFOS・PFOA・PFHxSが第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入などは原則禁止とされています(用途の例外は別途定め)。この区分では、使用の制限や、当該物質が使われた製品の輸入禁止、取扱い時に技術上の基準に従うべき製品の指定なども規定されます。

さらに環境省は2024年7月、「PFOAの分枝異性体またはその塩」と「PFOA関連物質」を追加指定する方針を公表し、段階的な施行を経て2025年1月に全面施行しました。対象範囲が広がった点に留意が必要です。

また化審法では、PFASに限らず、クロルピリホスや中鎖塩素化パラフィン、長鎖PFCAとその塩、長鎖PFCA関連物質などについても、第一種特定化学物質への指定を含む措置が検討され、意見募集結果が公表されています。規制対象や範囲は追加や見直しがあり得るため、最新の公表資料を確認しましょう。

(出典:環境省「PFAS の概況と今後の対応」/https://www.env.go.jp/content/000107492.pdf#page=2

(出典:環境省「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定について」/https://www.env.go.jp/press/press_03409.html

(出典:e-Govパブリック・コメント「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律におけるクロルピリホス、中鎖塩素化パラフィン並びに長鎖ペルフルオロカルボン酸(長鎖PFCA)とその塩及び長鎖PFCA関連物質に係る措置(案)に関する意見募集の結果について」/https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000304186

3-3. 水質汚濁防止法|公共用水域における水質規制

水質汚濁防止法の観点では、PFOS・PFOAは2020年に水質汚濁に係る環境基準の「人の健康の保護に関する要監視項目」として位置付けられ、合計50ng/L以下の指針値が示されました。その後の審議を踏まえ、2023年2月に同法の指定物質へ追加され、事故で公共用水域へ排出・地下浸透したおそれがある場合は、直ちに応急措置を行い、状況と措置内容を都道府県知事などへ届出する義務が生じます。

さらに、PFOS・PFOAを含む泡消火薬剤は、事故ではない使用による流出も情報提供が要請されています。

(出典:環境省「「水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令」 の閣議決定について」/https://www.env.go.jp/press/press_00964.html

(出典:厚生労働省「ミネラルウォーター類におけるPFAS(PFΟS及びPFΟA)の成分規格の設定に関する食品、添加物等の規格基準の一部改正に伴う対応について

」/https://www.mhlw.go.jp/content/11135200/001511369.pdf#page=17

4. 世界におけるPFAS規制の動向

オゾン640w

国外ではPFASに対し、飲料水基準や製造・使用の制限、汚染浄化の義務化など規制が進んでいます。日本との違いを把握するため、ここではアメリカ、カナダ、オーストラリア、EUの動向を紹介します。

4-1. アメリカ

米国では州と連邦の両面でPFAS規制が進んでいます。コロラド州は2024年に「有機フッ素化合物の規制に関する法律」を成立させ、清掃用品、デンタルフロス、調理器具などの販売を2026年から段階的に禁止する枠組みを整備しました。

米国のPFAS規制は州ごとの差が大きく、州法や州議会の法案が多数存在します。たとえば、株式会社先読が実施した世界各国のPFAS規制調査では、米国の各州で100以上の法律や法案を確認しています(2025年5月時点)。連邦ではEPAが2024年4月に飲料水でPFOS/PFOAに各4ng/Lの規制値を設定しています。

(出典:環境省「PFOS 及び PFOA に関する国内外の動向について」/https://www.env.go.jp/content/000238677.pdf

4-2. カナダ

カナダではECCC(環境気候変動庁)と保健省が、PFASをクラスとして評価し、2023年5月に現状報告書案とリスク管理範囲文書を公表しました。PFASがCEPA第64条の基準に当たる可能性を示し、CEPAの有害物質リストへの追加を提案しています。

また、水性被膜形成性泡消火薬剤を重点に、2024年はフッ素重合体を別扱いにしつつ段階的な禁止案も提示。2024年7月にはPFASに関する通知規則を公表し、312種類のPFASを対象に、輸入や製品の使用に関する情報に関する報告を2025年1月29日までに提出するよう義務付けました。

(出典:経済産業省「令和6年度化学物質規制対策(規制化学物質に関する国際的な動向調査)」/https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2024FY/1000009.pdf#page=68

4-3. オーストラリア

オーストラリアでは、豪州・NZの環境保護当局トップで構成する「HEPA」がPFAS国家環境管理計画「NEMP 3.0」を2025年3月4日に公表し、連邦・州・準州で共通の基準と実務指針を示しています。

対象は、汚染土地の調査・リスク評価や浄化に加え、再資源化製品(バイオソリッドなど)、埋立地、下水処理などの管理まで幅広く、基準値超過は直ちに健康・環境リスクの確定を意味せず、追加調査の契機と位置付けています。

(出典:Australia Government「PFAS National Environmental Management Plan 3.0

」/https://www.dcceew.gov.au/environment/protection/publications/pfas-nemp-3

4-4. 欧州(EU)

EUではPFASの包括的な制限案が2023年1月に公表され、5,600件の意見募集を経て、欧州化学品庁のリスク評価委員会(RAC)と社会経済分析委員会(SEAC)が用途別に審議しています。更新版では検討対象セクターが拡大し、適用除外の分類は29件から87件へ増加。

中古品やスペアパーツ、再生材の扱いに関する論点や、排出最小化を条件に使用継続を認める選択肢も一部で検討されています。SEACの意見書案については60日間の意見募集が予定されており、その後、専門委員会は2026年末までに正式な意見書を取りまとめ、欧州委員会に提出し、EUの立法手続に進む見込みです。

まとめ

PFASは分解されにくい有機フッ素化合物で、環境汚染が問題視されています。日本では化審法によりPFOS・PFOA・PFHxSの製造・輸入が原則禁止され、水道水の基準値も設定されます。米国では州と連邦の両面で規制が進み、EUでも包括的な制限案が審議中です。カナダやオーストラリアでも管理計画や報告義務が導入されるなど、世界的に規制の更新が続いています。

特に米国は州ごとの差が大きく、州法や州議会の法案が多数存在します。株式会社先読が実施した世界各国のPFAS規制調査では、米国の各州で100以上の法律や法案を確認しています。このように規制の動きが広範かつ頻繁であるため、最新動向の把握と、自社の製品や用途への当てはめが重要です。

株式会社先読では、PFAS関連の法令調査およびモニタリング、対応支援、適用解釈などでサポートが可能です。お困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

こんな相談はありませんか?

● この法令の詳細が知りたい
● 原文URLや法体系、関連法も知りたい
● 事業者に関する網羅的な要件と関連定義を知りたい
● 対応するためのスケジュールが知りたい
● 他の国・地域の類似の法令とともに詳しく情報が欲しい
● 関係する解釈について行政当局への問い合わせも含めて第三者の見解がほしい
● 同じような規制の情報を定期的に取得したい
● 政策や法令案も含めて定期的に情報を取得し、早期対応体制を整えたい

調査相談はこちら

概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。

(調査例)
  • ●●の詳細調査/定期報告調査
  • ●●の他国(複数)における規制状況調査
  • 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
  • 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム

    会社名・団体名

    必須

    ※個人の方は「個人」とご入力ください。

    所属・部署

    任意

    お名前

    必須

    メールアドレス

    必須

    電話番号

    任意

    お問い合わせ内容

    任意

    無料メールマガジンの申込み|
    希望の情報分野を選択可能

    登録はこちらからメールアドレスを入力してお申込みください。

    「登録」クリック後、購読したいメールマガジンの種類を選択いただけます。

    ★配信頻度|各メルマガについて月に1~2回
    (不定期)

    メルマガ|全般(全分野)

    幅広い産業セクターに関係する注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。

    メルマガ|化学物質

    化学物質分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。一般・工業用化学品や軍事用途の化学品、食品添加物や農薬、医薬品などが対象です。

    メルマガ|環境

    環境分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。大気・水・土壌汚染のほか、地球温暖化やオゾン層破壊、騒音・振動・悪臭などに対する規制が対象です。

    メルマガ|注目領域

    注目領域分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。製品認証、人工知能(AI)、自動運転・エコカー、PFAS・POPs・ナノマテリアル、DX・IoT・ICT、デューディリジェンスなどをいいます。

    メルマガ|医薬品・食品・飲料

    医薬品分野、食品・飲料分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。医薬品分野には医療機器関連の規制動向も含まれます。

    メルマガ|新領域

    新領域分野の注目規制動向の情報にご関心がある方はこちら。当社でいう新領域分野とは、宇宙、海底・深海底、大深度地下などをいいます。

    Page Top
    「目次」 「目次」