EU|欧州委員会、麻薬及び向精神薬の不正取引の監視強化に向けた改正規則を公布-2物質を薬物前駆体として追加
重大な脅威をもたらす薬物前駆体の追加指定
2022年09月13日、欧州委員会は、特定の薬物前駆体を規制物質リストに含めることに関して、欧州議会及び理事会規則(EC)No 273/2004、及び同規則(EC)No 111/2005を改正し、欧州委員会規則(EU)2022/1518として公布しました(2022年3月29日制定)。本規則の適用により、EUにおける社会的・公衆衛生的に重大な脅威をもたらす薬物前駆体(EAPA、MAMDPA)を追加指定し、監視強化を図っていくことになります。
背景、経緯
欧州委員会は、欧州連合の機能に関する条約、薬物前駆体に関する2004年02月11日の欧州議会及び理事会規則(EC)No 273/2004、特に同規則第15条、薬物前駆体に関するEUと第三国の間の貿易の監視に関する規則を定めた2004年12月22日の理事会規則(EC)No 111/2005、特にその第30条aに留意し、欧州委員会規則(EU)2022/1518として改正し、公布しました。
欧州連合(EU)における薬物規制には、麻薬や向精神性物質の密造への流用が可能な薬物前駆体の域外の第三国との取引(輸出入及びこれらを仲介する活動)を対象とした理事会規則 111/2005 と、EU域内取引に焦点を合わせた欧州議会及び理事会規則(EC)No 273/2004 の2種類があり、ともに2005 年 8 月 18 日より適用されています。
規則(EU)2022/1518の施行により、アンフェタミン、メタンフェタミン、MDMAの前駆体としてEUにおいて社会的・公衆衛生的に重大な脅威をもたらすEAPAとMAMDPAが追加指定され、最も厳しい管理・監視措置が適用されることになります。規則(EU)2022/1518の附属書Ⅰ、Ⅱでは、下表の通り、CN コードに従ってEAPAとMAMDPAを特定しています。
| 物質名 | CN呼称(異なる場合) | CNコード | CAS番号 |
|---|---|---|---|
| α-フェニルアセト酢酸エチル(EAPA) | ― | Ex 29183000 | 5413-05-8 |
| 3-オキソ-2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)ブタン酸メチル(MAMDPA) | 3-オキソ-2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)ブタン酸メチル | Ex 29329900 | 1369021-80-6 |
改正規則(EU)2022/1518の概要
欧州委員会規則(EU)2022/1518の概要は以下の通りです(規則(EU)2022/1518より一部引用・仮訳)。
(1) 規則(EC)No 273/2004 は EU 内における薬物前駆体の取引を監視するための措置を定め、規則(EC)No 111/2005 は EU と第三国の間の薬物前駆体の取引について規定するものである。規則(EC)No 273/2004の附属書I及び規則(EC)No 111/2005の附属書には、それぞれ規制物質のリストが含まれており、これらの物質にはこれらの規則が規定する多くの調和的管理及び監視措置が適用される。
(2) 各国の所轄官庁は、麻薬の不正製造に関連して、α-フェニル酢酸エチル(EAPA)及び3-オキソ-2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)ブタン酸メチル(MAMDPA)の押収を報告している。
(3) EAPAは、ベンジルメチルケトン(BMK)としても知られる1-フェニル-2-プロパノン(P-2-P)を製造するために使用されている。BMKはアンフェタミンやメタンフェタミンの前駆体である。
(4) MAMDPAは、3,4-メチレンジオキシフェニルプロパン-2-オン(PMK)の製造に使用され、このPMKは、一般に「エクスタシー」として知られる3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)の前駆体となる。
(5) アンフェタミン、メタンフェタミン、MDMAは、連邦で不正に生産される最も一般的な薬物の一つである。これらは人間の健康に深刻な影響を及ぼし、EUの一部の地域で深刻な社会問題や公衆衛生問題を引き起こしている。
(6) したがって、EAPAとMAMDPAは、その管理と監視を強化するために、EUレベルで規制されているべきである。
(7) 規則(EC)No 273/2004の附属書Ⅰ及び規則(EC)No 111/2005の附属書に記載された規制対象物質は、それぞれの物質がもたらす脅威の程度と合法的取引への負担とのバランスをとるために、異なる措置が適用されるカテゴリーに分けられている。最も厳しい管理・監視措置が適用されるのは、カテゴリー1の物質である。
(8) EAPAとMAMDPAは、アンフェタミン、メタンフェタミン、MDMAの前駆体として、EUにおいて社会的・公衆衛生的に重大な脅威をもたらす。これらは、研究目的を除いて、合法的な生産、取引、使用が知られていない。
したがって、規則(EC)No 273/2004附属書Iのカテゴリー1及び規則(EC)No 111/2005の附属書のカテゴリー1に含めることは、麻薬の不正製造における使用を避けるための適切な対応であると同時に、EU内の事業者及び所轄官庁に大きな行政負担を余儀なくさせるものではない。
(9) したがって、規則(EC)No 273/2004 及び(EC)No 111/2005 を適宜修正する必要がある。
(10) 規則(EC)No 273/2004 及び(EC)No 111/2005 は、1988 年 12 月 20 日にウィーンで締結され、理事会決定 90/611/EEC(3)により承認された「麻薬及び向精神薬の不正取引に関する国連条約」の特定の条項を共同で実施するものである。これらの規則に含まれる権限の間の緊密な実質的な関連性を考慮すると、1つの委任行為によって改正を採択することが適切である。
規則(EU)2022/1518より一部引用・仮訳
参考情報
- amending Regulation(EC)No 273/2004 of the European Parliament and of the Council and Council Regulation(EC)No 111/2005 as regards the inclusion of certain drug precursors in the list of scheduled substances
- REGULATION (EC) No 273/2004 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 11 February 2004 on drug precursors
- COUNCIL REGULATION (EC) No 111/2005 of 22 December 2004
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