2022.12.14
EU|欧州委員会、EU全域の公共部門における「相互運用可能な欧州法」提案とそれに付随する声明を採択
行政サービスの利便性や効率の向上
2022年11月21日、欧州委員会は、EU全域の公共部門における国境を越えた相互運用性と協力を強化するための「相互運用可能な欧州法」の提案とそれに付随する声明を採択したことを公表しました。同法令では、主権を持ち、相互接続されたデジタル行政のネットワークの構築を支援し、欧州の公共部門のデジタル変革を加速させることを目的としています。
これは、EUとその加盟国が市民と企業により良い公共サービスを提供し、2030年に向けた欧州のデジタル目標を達成し、信頼できるデータの流れをサポートするために不可欠なステップとなります。また、コスト面では、国境を越えた相互運用性により、市民は550~630万ユーロ、行政機関と取引する企業は570~192億ユーロのコスト削減が可能となるとしています。
背景
基本的に、相互運用とは、関係者間の組織的または地理的な距離にも関わらず、共通の目標を共に達成することであり、行政が国境、セクター、組織の境界を越えて協力し、公共サービスを機能させる能力を意味します。行政とのやりとりを改善することで、市民や企業の時間とコストを節約することができます。
例として、Covid-19の対応では、効果的な相互運用性がなされ、EUデジタルCOVID証明書の作成については、パンデミックの期間内でもEUでの国境を越えた旅行を容易にしました。
相互運用可能なデジタル公共サービスは、デジタル単一市場の構築には不可欠です。経済的な利益や効率性の向上とは別に、相互運用性が、政府に対する市民からの信頼を向上させるなど、公共的な価値にプラスの影響を与えることが事例から明らかになっています。
過去数年間、デジタル政府及びデータの専門家は、現行の欧州相互運用性フレームワーク(EIF※1)に基づき、広範な共通の相互運用性協力の実践を進めてきました。しかし、最近の評価では、この完全に自発的な協力アプローチには深刻な限界があることが露呈されました。
EU加盟国は、欧州の相互運用性協力を強化する必要性をますます強調しています。とりわけ、2017年にタリンで、2020年にベルリンで署名された閣僚宣言は、この必要性を証明しています。同様に、「ヨーロッパの未来に関する会議」に参加したEU市民は、相互運用性協力のニーズに対応するために国境を越えて促進することを求めました。本提案は、これらのニーズに対応するものです。
EIF※1:本フレームワークでは、可能な限りデフォルトでデジタル化され、オープンでシームレスなヨーロッパの公共サービスを企業や市民に設計及びび実装する取り組みにおいて、相互運用性を促進する国内規則、戦略、ガイドラインの設計と更新について、行政機関にガイダンスを提供します。
また、欧州公共サービスの提供のために、国境を越えた分野を超えた相互運用性を促進することにより、デジタル単一市場の確立に貢献します。
概要
相互運用可能な欧州法は、EU全域の行政機関のための協力枠組みを導入し、国境を越えた安全なデータ交換を構築し、公開ソースソフトウェア、ガイドライン、チェックリスト、フレームワーク、ITツールなどの共有デジタルソリューションに合意することを支援するものです。
また、同法令の活用により、国境、セクター、組織の境界を越えて、より効果的に協力し、情報を交換し、シームレスな公共サービスの提供を保証することができるようになり、公共部門のイノベーションと官民のGovTech※2プロジェクトを活性化させることになりました。
これは、EU全域の公共部門を支援する貴重な資源を束ね、公共の利益のために既存のソリューション(理想的には公開ソース)をよりよく再利用する道を開くものであり、法的、組織的、意味的、技術的な障害を含む管理上の負担を取り除くことができます。
その結果、企業や市民、事業者、そして公共部門自体のコストと時間の削減に繋がります。
相互運用可能な欧州法には、以下を導入します。
■ 加盟国、地域、都市が共同所有するプロジェクトの枠組みの中で、官民に支えられた行政が協力する構造的なEUの協力体制。
■ 情報技術(IT)システムの変更がEUの国境を越えた相互運用性に与える影響を評価するための義務付け。
■ ソリューションとコミュニティの協力のためのワンストップショップである「相互運用性欧州ポータル」による、公開ソースを中心としたソリューションの共有と再利用。
■ 政策実験のための規制的な仮想環境、再利用のためのソリューションを開発・拡大するGovTechプロジェクト、トレーニング支援など、イノベーションと支援策を提供すること。
GovTech※2:GovernmentとTechnologyからなる造語であり、行政サービスの利便性や効率を向上させるためにデジタル技術を活用する取り組みのことを指します。例として、従来、窓口対応や郵送などによる手続きが多かった行政サービスを、オンラインで完結できる仕組みを導入するなどの取り組みがあります。
今後の取り組み
今後の相互運用協力の枠組みは、欧州相互運用性委員会が主導していく予定です。同委員会は、EU加盟国、欧州委員会、地域委員会、欧州経済社会委員会の代表で構成されます。特に、共通の再利用可能な資源、支援、技術革新の方策、欧州相互運用性フレームワーク(EIF)の更新について合意することが、同委員会の任務です。因みにEIFは、欧州で広く認知されている相互運用性の概念モデルです。
今後の具体的な活動としては、相互運用性ソリューションの共有と再利用のためのコミュニティ・プラットフォームとワンストップショップとしての「相互運用性欧州ポータル」の導入、政策実験、スキル開発、再利用のための相互運用性ソリューションのスケールアップを促進するための、規制のサンドボックスやGovTech協力などのイノベーションと支援策が挙げられます。
同委員会をサポートする相互運用可能な欧州コミュニティでは、例えばGovTech企業、公開ソースコミュニティ、EUの地域や都市など、幅広い関心を持つ実務家や専門家を集め、新しいソリューションの実装を支援していくことになります。
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