EU|欧州委員会、特定キャピラリーレオメーター用溶融圧力変換器の水銀を適用除外にするRoHS指令改定案を公表し、意見募集を開始
代替品の入手可能性と社会経済的影響の考慮
2022年12月12 日、欧州委員会は、科学技術の進歩に適応する目的で、特定の条件下におけるキャピラリーレオメーター用の溶融圧力変換器における水銀の適用除外に関する欧州議会及び理事会指令2011/65/EUの附属書IIIの改定案を公表し、意見募集を開始しました。意見募集は、2022年12月12日~2023年1月9日の期間となっています。
背景
本指令案は、技術的及び科学的進歩に適応する目的で、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令2011/65/EUの附属書IV(以下「RoHS指令」)を修正するものになります。
同指令では、キャピラリーレオメーター用溶融圧力計に含まれる水銀が、一定の条件下で免除されることが規定されています。
RoHS指令の4条では、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限しています。
現在、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)、フタル酸ビス(2エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)の10物質(物質群)が制限されています。
指令の附属書III及びIVには、特定の用途の電気・電子機器の材料と部品がリストアップされています。4条(1)の物質制限から免除される特定用途の電気・電子機器の材料と部品をリストアップしています。5条では、附属書III及びIVを科学技術の進歩に適合させることを規定しています(適用除外の許可、更新、取り消しについて)。
5条(1)(a) に基づき、規則(EC) No 1907/2006 (REACH) によって与えられる、環境及び健康の保護を弱めることが無い場合、及び以下の条件のいずれかを満たす場合にのみ、適用除外が附属書III及びIVに含まれることになります。
・ 設計変更、または附属書 II に記載されている材料や物質を必要としない材料や部品の使用による物質の排除または代替が、科学的または技術的に不可能である場合。
・ 代替品の信頼性が確保されていない場合。
・ 代替品による環境、健康、消費者安全への悪影響の合計が、環境、健康、消費者安全の利益の合計を上回ると思われる場合。
適用除外の決定とその期間は、代替品の入手可能性と代替品の社会経済的影響、技術革新への潜在的な影響を考慮し、関連する場合には、適用除外の全体的な影響に関するライフサイクル思考を適用する必要があるとしています。
5条(1)は、20条に基づく個々の委任行為によって、欧州委員会が特定の用途の電気・電子機器の材料と部品を附属書III及びIVのリストに含めることを規定しています。5条(3)及び附属書Vは、適用除外申請の提出手続きを定めています。
指令案の採択に先立つ協議
欧州委員会は、RoHS指令の5条(3)及び附属書Vに基づく免除の許可または更新について、事業者から多数の要請を受けています。
2021年4月26日、欧州委員会は、附属書IVの新規項目に関する申請を受理しました。申請された適用除外は、温度300℃超、圧力1000bar超のキャピラリーレオメーター用溶融圧力変換器における水銀の使用に関するものです。
2021年10月、欧州委員会は必要な技術的・科学的評価を実施するために一般関係者協議を含む評価を開始し、10 週間を掛けて2022 年 8 月に終了しました。2022 年 10 月 26 日、欧州委員会は、加盟国専門家グループに対し RoHS 指令に基づく委任行為について諮問しました。
キャピラリーレオメーターについて
水銀は、キャピラリーレオメーターの圧力変換器の充填物として使用され、プローブの圧力を高温高圧領域外のセンサーに伝達するために使用されます。キャピラリーレオメーターは、例えば溶融ポリマーの粘度を分析するために、押出工程などでの高分子材料やその複合材料などを溶融状態の流動挙動を予測することができます。
使用される圧力変換器は電気部品で構成されているため、RoHS指令の適用範囲にある電気計測器となります。問題のキャピラリーレオメーターは、指令の2条(4)(d)が適用される大規模な技術ではありません。低圧領域では、水銀で代用することができますが、300℃以上、1000bar以上の動作範囲では、科学的・技術的に代替は不可能です。
指令案の主旨
本指令案は、温度300℃超、圧力1000bar超のキャピラリーレオメーター用溶融圧力変換器の水銀について、指令2011/65/EUの附属書IVに記載される物質規制の適用除外を認めるものです。キャピラリーレオメーターは、附属書 I に従って EEE カテゴリー9「監視及び制御機器」に割り当てることができます。
この評価では、指令 2011/65/EU の 5 条に従って、許可される免除が REACH 規則によって与えられる環境及び健康の保護を弱めることはないことが示されています。5条(1)(a)に規定された関連基準のうち、少なくとも1つを満たしています。
特定の条件下でキャピラリーレオメーター用の溶融圧力変換器中の水銀を排除または代替することは科学的及び技術的に不可能であるため、免除を認め、有効期限を設定することになります。
RoHS指令の5条(2)に従い、7年間の免除が要求されました。水銀に関する水俣条約の4回締約国会議において、欧州連合は特定の水銀添加製品の段階的廃止日を提案し、この提案に基づき締約国会議は条約の附属書AのI部を改定することを決定しました。
これに伴い、溶融圧力変換器、溶融圧力トランスミッタ、溶融圧力センサーなどの電気・電子計測器は、大型機器に搭載されるものや高精度な計測に用いられるもので、水銀を含まない適切な代替品が無いものを除き、2025年末までに段階的に廃止(市販の制限を含む)しなければならなくなりました。
高精度測定の正式な定義はありませんが、キャピラリーレオメーター用溶融圧力計の300℃超、1000気圧超での水銀使用は、大型機器にも高精度測定にも該当しないものと考えられています。
水銀に関する水俣条約に基づく規制は、規則(EU)2017/8529に移行される予定であるため、適用除外の有効期間を限定する必要があり、2024 年 12 月 31 日を有効期限とすることが提案されています。
附属書IVに関連するアプリケーションの新しい項目49を追加することが提案されているため、免除要求に記載されているキャピラリーレオメーターは、附属書Iのカテゴリー9「監視及び制御機器」に該当するため、免除の範囲はこれらに限定されるべきとしています。
委任指令の目的は、人間の健康と環境を保護し、電気・電子機器分野における単一市場の機能のための規定を調和させることであり、RoHS指令と、同指令の附属書III及びIVを科学と技術の進歩に適合させるためにそこで確立された手続きに従い、特定の用途のために他の方法では禁止される物質の使用を可能にすることになります。
この委任指令は、EUの予算には影響しません。
指令案に基づくプロセス
指令案に基づくプロセスを以下に示します。
EUの機能に関する条約に留意し、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日の欧州議会及び理事会指令2011/65/EU、特にその5条(1)、(a)に留意して、以下を行うこととします。
指令 2011/65/EU は、市販される電気・電子機器に、当該指令の附属書IIに記載された有害物質が含まれないことを保証するよう加盟国に求めており、その制限は、当該指令の附属書 IV に記載されている特定の免除される用途には適用されません。指令 2011/65/EU が適用される電気・電子機器のカテゴリーは、当該指令の附属書Iに記載されています。
水銀は、指令 2011/65/EU の附属書 II に記載されている制限物質です。2021年4月23日、欧州委員会は、指令2011/65/EUの5条に従い、キャピラリーレオメーター用の溶融圧力変換器における水銀(300℃を超える温度及び 1000 bar を超える圧力におけるキャピラリーレオメーター用の水銀溶融圧力変換器)について、同指令の附属書IVに記載する免除の申請を受理しました。
使用される圧力変換器は、キャピラリーレオメーターに組み込まれ、電気部品で構成され、指令 2011/65/EU の範囲にある電気測定装置です。
要求された免除に記載されているキャピラリーレオメーターは、指令の附属書 I のカテゴリー 9「監視及び制御機器」に該当します。
技術的・科学的評価研究を含む免除申請の評価では、300℃を超える温度と 1000 bar を超える圧力のキャピラリーレオメーターの水銀の代替は、現在科学的・技術的に不可能であるとの結論が出されました。
この評価には、指令2011/65/EUの5条で義務付けられている利害関係者との協議が含まれています。これは、指令の5条 (1)項(a) に規定される関連条件の1つを満たすこと、すなわち、撤廃及び代替が科学的又は技術的に不可能であることになります。
したがって、要求された免除を許可することは、カテゴリー9の電気電子機器に関して、その対象となる用途を指令2011/65/EUの附属書IVに、その対象となるアプリケーションを含めることにより、要求された免除を許可することが適切です。
規制(EU)2017/852に基づく将来の水銀添加製品の規制に適合させるため、免除の有効期間を2024年12月31日までとする必要があります。この期間は、指令2011/2(2)の5条(1)に従って設定され、指令 2011/65/EU はそれに応じて修正されることになります。
参考情報
- Electrical equipment – mercury in melt pressure transducers for specific capillary rheometers (RoHS exemption)
- COMMISSION DELEGATED DIRECTIVE (EU) …/… of XXX amending, for the purposes of adapting to scientific and technical progress, Annex III to Directive 2011/65/EU of the European Parliament and of the Council as regards an exemption for mercury in melt pressure transducers for capillary rheometers under certain conditions(PDF)
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