EU|欧州委員会、森林バイオマスの持続可能性基準への準拠を実証するための運用ガイダンスに関する規則を公布

HOME > 国・地域, セクター, 注目領域, EU|欧州連合, エネルギー・ガス・水道, 木材・木製品, 再生可能エネルギー, データ・サイバーセキュリティ, デューディリジェンス, > EU|欧州委員会、森林バイオマスの持続可能性基準への準拠を実証するための運用ガイダンスに関する規則を公布

EU|欧州委員会、森林バイオマスの持続可能性基準への準拠を実証するための運用ガイダンスに関する規則を公布

環境保護に対する検証の強化

2022年12月14 日、欧州委員会は、欧州議会及び理事会指令(EU)2018/2001の29条に規定された森林バイオマスの持続可能性基準への準拠を実証するための証拠に関する運用ガイダンスについて、規則 (EU) 2022/2448として公布しました。

背景、経緯

指令(EU)2018/2001では、エネルギーの生産に使用される森林バイオマスが、欧州の目標及び国の貢献に対して計上され、23条及び25条に由来する再生可能エネルギー義務の一部となり、公的支援の対象となるために新しい持続可能性基準を定めています。

さらに、同指令では、加盟国に対し、原料市場の不必要な歪みを避けるため、再生可能エネルギーの支援スキームを開発する際に、バイオマスの利用可能な持続的供給を考慮し、循環経済の原則と欧州議会及び理事会の指令2008/98/ECで定められた廃棄物の階層を十分に考慮するよう求めています。

エネルギーの生産に使用される森林バイオマスは、森林伐採と土地利用、土地利用変化及び林業(LULUCF)からの排出をそれぞれ扱う指令(EU)2018/2001の29条(6)及び(7)に規定される持続可能性基準を満たす場合に持続可能とみなされることになっています。

指令(EU)2018/2001の目的とEUの環境法との一貫性、及び加盟国と事業者による森林バイオマスの新しい持続可能性基準の強固で調和のとれた実施を確保するために、同指令は、これらの基準の遵守を実証するための証拠に関する運用ガイダンスを定める実施法を採択するよう欧州委員会に要求しています。

持続可能な伐採基準に適合しない森林バイオマスを使用するリスクを最小化するために、事業者は、森林バイオマスの原産国で施行されている監視及び執行システムを含む既存の持続可能な森林管理法を基に、リスクベースの評価を実施する必要があるとされています。

そのために、伐採された森林バイオマスは、指令(EU)2018/2001の29条(6)の(a)に規定された伐採基準を満たす国内及び国外の法律及び規制の適用を受ける必要があり、事業者は、監視及び執行システムがあるかどうか、並びに、関連する国又は地域の法律の執行が著しく欠如しているという証拠がないかどうかを評価することになります。

そのために、事業者は、非政府組織や科学的な森林専門家組織が提供する情報を含め、欧州委員会、国際または国内政府組織が作成した法的評価と報告書を利用することになります。

また、リスクベースの評価は、欧州委員会によって開始された、現在進行中の関連する侵害手続き(欧州委員会の一般に利用可能な侵害データベースに反映されている)や、欧州連合司法裁判所の関連する侵害裁定を執行不足の証拠として考慮するとしています。

指令(EU)2018/2001の29条(6)の(a)に規定された1つ以上の伐採基準が国家レベルで遵守されている証拠がない場合、森林バイオマスは高リスクとみなされます。

このような場合、事業者は、調達地レベルの管理システムを通じて、指令(EU)2018/2001の29条(6)の(b)に定める伐採基準が遵守されていることをより詳細に証明することになります。その点で、国や地域の遵守評価の下で求められるものと比較した場合、事業者が森林調達地レベルの管理システムを通じて提供すべき持続可能性の証拠をより詳細に定めることが必要とされています。

これにより、伐採基準、特に森林再生、保護地域の保全、土壌の質と生物多様性への伐採の影響の最小化、森林の長期的生産能力の維持、向上に関する基準を効果的に満たすことができるようになります。

森林バイオマスの伐採に伴う生物起源排出と除去が正しく計上されるためには、森林バイオマスが国レベルでのLULUCF基準を満たすことが必要であり、特に、バイオマスの供給元である国または地域経済統合機構は、パリ協定の締約国であることが望まれます。

さらに、関連する国または地域経済統合機構は、パリ協定の文脈で、土地利用、農業、林業からの排出と除去を網羅した国家決定貢献(NDC)を提出しているはずで、バイオマス収穫に伴う炭素蓄積の変化が、NDCに明記されているように、国または地域経済統合機構の温室効果ガス排出削減・制限の約束に確実に反映されるようにすること、あるいは、伐採地域に適用されること、炭素貯留量と吸収源を保全・強化するための国または地域レベルの法律を有すること、としています。

さらに、報告されたLULUCF部門の排出量が除去量を上回らず、森林の炭素吸収量が関連する基準期間において、維持または強化されていることを示す証拠の提示が必要とされています。

指令(EU)2018/2001の29条(7)の(a)に規定されたLULUCF基準への準拠が実証できない場合、事業者は、森林炭素蓄積量と吸収量の両方のレベルが長期的に維持または強化されることを確実にするために、調達地レベルでの管理システムの存在に関する追加の証拠を提供することが必要とされています。

このようなシステムには、少なくとも、将来を見据えた計画や、森林の炭素蓄積量と吸収量の推移の定期的なモニタリングからの情報が含まれることになります。

森林バイオマスの新しい持続可能性基準の確実な検証を行うため、事業者が提供する情報は、透明性、正確性、信頼性が高く、不正から保護されるべきであり、事業者は信頼できる認証規則に適合させることが必要とされています。

それらの規則では、指令(EU)2018/2001の30条(4)に従い、欧州委員会が認めた国内または国際的な任意の認証制度の役割を考慮することが要求されています。

行政負担を最小化するために、加盟国は、計画及び監視の目的で、空間データ及びインベントリを含むデータを利用可能にすることにより、事業者の業務を容易にすることが期待できます。

本規則に規定される措置は、バイオ燃料、バイオリキッド及びバイオマス燃料の持続可能性に関する委員会の意見に基づくものになります。

運用ガイダンスの概要

規則 (EU) 2022/2448の附属書に記載された運用ガイダンスの概要は、以下の通りです(附属書の主要部分の抜粋)。

■ 国または地方レベルでの伐採基準遵守の評価

1. 加盟国は、事業者に対し、国または地域レベルでの伐採基準の遵守を立証する監査済み情報の提供を求めること。そのために、事業者は、以下のすべての要素の正確な、最新の、検証可能な証拠を提供するリスクに基づく評価を実施すること。

(a) 伐採国、及び該当する場合は森林バイオマスが伐採された国別地域。

(b) 伐採地に適用される国または地域の法律が以下を保証すること。

(i) 伐採作業の合法性は、欧州議会及び理事会規則(EU) No 995/2010 (6)の 2 条 (h)に規定される、伐採国の適用法の遵守の証拠を提出することで証明すること。

(ii) 森林再生は、関連する国内法に従って適切な期間内に同じ地域に新しい森林を設立することを目的とした、自然再生もしくは人工再生、またはその両方の組合せを適用法が要求しているという証拠を提出することで証明すること。

(iii) 湿地や泥炭地を含む自然保護目的で、国際法もしくは国内法、または関連する管轄当局によって指定された地域の効果的な保護を行うこと。

(iv) 森林伐採が土壌の質と生物多様性への負の影響を最小化する方法で実施されていること。これは、適用法、または関連する森林管理規則の証拠を提出することで証明される。

ー(1) 原生林と1(b)(iii)で保護された地域が劣化して植林地とならないこと、また再生された森林地域が、その地域で適切かつ十分な量の植物と樹木の提供を受け、保護されること(これに限定されるものではない)。

ー(2) 土壌の保護、国際法や国内法で保護されている種や生息地の保護を提供すること。事業者の作業を容易にするため、加盟国はサイト固有の環境特性に関するデータを提供するよう努めること。

ー(3) 適切な場合には、切り株、根及び枯れ木の除去を最小限にすること。

(v) 森林の長期的な生産能力を維持または増加させること。これは、記録された森林病害虫、嵐、その他の自然攪乱により一時的に正当化される場合を除き、国または地方レベルの適用法が、年平均データに基づき、伐採が関連国内法に従って適切な期間の純増加を超えないことを保証する証拠を提供することにより証明することができる。そのことは、以下を用いて証明することができる。

ー(1) 国の森林インベントリ報告書
ー(2) 5条(ii)で言及された証拠を提出すること、または
ー(3) 国レベルの類似のインベントリ報告書
(中略)

2. 1項の(d)で要求される証拠に関して、事業者は、1項の(b)で言及された国内法又は国内法の執行の欠如を詳述した国内又は国際政府機関によって作成された法的評価及び報告書を考慮すること。欧州委員会が加盟国に対して関連するEU法に基づき提起した、現在進行中の関連する侵害手続きも考慮すること。

規則(EU) No 995/2010のような関連するEUの法律に違反した加盟国に対する司法裁判所の判決の存在は、そのような法執行の欠如の証拠とみなされること。

3. 事業者の行政負担を最小化するために、加盟国は、本条に言及する要素に関する最新の情報を有する公的データベースを構築することができ、事業者が公的空間データ及び公的インベントリを含む情報へのアクセスを容易にすること。加盟国は、この目的のために、関連する研修を提供することができる。

(中略)

森林調達地レベルでの伐採基準遵守の評価
国または地域レベルでの一つまたは複数の伐採基準遵守の証拠が入手できない場合、加盟国は事業者に対し、調達地域レベルで実施されている管理システムを通じて、これらの基準が遵守されているという監査済みの情報を提供するよう求めること。そのために、事業者は、以下の要素について、正確で、最新の、検証可能な証拠を提供すること。

(a) 遵守を証明する必要があり、(b)で言及された管理システムが適用される、地理的座標または区画によるものを含む、調達地域の空間的境界線。

(b) 調達区域に適用される管理システムで、以下を確保するもの。

(i) 伐採作業の合法性。これは、規則(EU) No 995/2010 の6条に定義されたデューディリジェンスシステムに伐採が準拠している証拠を提供することで証明されるものとすること。

(ii) 森林再生が、少なくとも伐採された森林地域の質と量を維持する方法で行われていること。これは、伐採後最大 10 年以内に同じ地域に新しい森林が確立された証拠を提出することで証明される場合がある。それは、森林管理計画、業務プロトコル、環境影響評価、関連するコンプライアンス監査や検査の結果を用いて証明することができる。

(iii) 森林バイオマスは、原料の伐採が指定地域の保護目的を妨げないという証拠がない限り、湿地や泥炭地を含む自然保護のために国際法や国内法、関連する管轄当局によって指定された地域から産出されたものでないこと。それは、国際的・国内的データベース、公図、森林管理計画、作業手順、伐採手順、衛星画像、環境影響評価、関連する自然保護目的に抵触しないことを保証する条件や制限を含む公式伐採許可、及び関連する遵守監査や検査の結果を用いて証明することができる。

(iv) 森林伐採が、少なくとも土壌の質と生物多様性への負の影響を防ぐことを目的とした方法で実施されていること。これは、エネルギー生産のための森林バイオマス伐採に関連するリスクが事前に特定され、以下のような適切な緩和措置が実施されているという証拠を提出することで証明できる。

(1) 原生林と(b)(iii)で保護された地域が劣化し、人工林に置き換わったりしていないこと。

(2) 切り株や根の伐採を最小限にすること。

(3) 脆弱な土壌での伐採を行わないこと。

(4) 伐採は土壌圧縮を含む土壌の質への影響を最小限に抑える伐採システムで行われること。

(5) 国際法または国内法で保護されている動植物を含む生物多様性の特徴や生息地に対する影響を最小化する方法で伐採が行われること。

(6) 現地で適切な量と種類の枯れ木を森林に残すこと。

(7) 大規模な皆伐は、記録された森林病害虫、暴風雨、その他の自然攪乱に よって一時的に正当化される場合を除き、最小限に留めること。
これらの緩和措置は、国際的・国内的なデータベース、公 的な地図や衛星画像、森林管理計画、作業手順、伐採手順、関連 するコンプライアンス監査や検査の結果などを用いて証明される。

(v) その伐採が森林の長期的な生産能力を維持または向上させていること。これは、伐採介入前の10年間の平均で、年間伐採量が関連する調達地域の年間純増分を超えないという証拠を提出する ことで証明できる。ただし、森林の将来の生産能力を高めるために、これと異なる量が正当化される場合、あるいは森林の害虫、嵐、その他の自然撹乱が記録されている場合は、この限りでない。このことは、公的あるいは私的な森林インベントリデータを使用することで証明できる。

(中略)

国レベルでのLULUCF基準への準拠の評価

加盟国は、事業者に対し、国レベルでの土地利用、土地利用変化及び林業(LULUCF)に関する基準への準拠を確認する監査済み情報の提供を要求すること。そのために、事業者は、森林バイオマスの原産地である国または地域経済統合機関が、パリ協定の締約国であり、以下の2つの条件のいずれかを満たしているという正確、最新、かつ検証可能な証拠を提供すること。

(i) 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議後の2015年気候変動パリ協定に基づき、以下の要件を満たす国内決定貢献(NDC)を提出していること。

(a) NDCは、農林業・土地利用部門を、農林業及びその他の土地利用(AFOLU)部門として1つにまとめるか、農業及びLULUCF部門として別々にまとめるかを含めること。

(b) NDCにおいて農林業・土地利用部門がどのように考慮されたかを説明すること。

(c) NDCが、森林バイオマスの伐採に伴う排出を含め、農林業・土地利用部門からの排出と除去をその国全体の排出削減目標に算入していること、 または

(ii) 伐採地域に適用される、森林の炭素蓄積量と吸収量を保全、強化するための国または地方自治体の法律があること。これは、報告されたLULUCFセクターの排出量が、森林バイオマスの伐採に先立つ10年間の平均で除去量を上回っていないこと、及び森林バイオマスの伐採に先立つ過去2回の連続した10年間の間に炭素貯蔵量と吸収源が保全または強化されていることの証拠を提供することで証明することができる。

(略)

参考情報

注目情報一覧

新着商品情報一覧

調査相談はこちら

概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。

(調査例)
  • ●●の詳細調査/定期報告調査
  • ●●の他国(複数)における規制状況調査
  • 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
  • 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など
無料相談フォーム

    会社名・団体名

    必須

    ※個人の方は「個人」とご入力ください。

    所属・部署

    任意

    お名前

    必須

    メールアドレス

    必須

    電話番号

    任意

    お問い合わせ内容

    任意

    Page Top