EU|オゾン層を破壊する規制物質の量的制限(2023年1月1日から12月31日までの期間)を決定し、欧州委員会決定として交付
モントリオール議定書の年次報告サイクルに基づく段階的廃止
2022年12月20日、欧州委員会は、欧州議会及び理事会規則(EC)No 1005/2009に基づくオゾン層を破壊する規制物質について、2023年1月1日から12月31日までの量的制限、割当量を決定し、委員会決定(EU)2022/2509として公布しました。
背景、経緯
オゾン層破壊物質(ODS)の継続的な排出は、オゾン層に大きな損傷を与えることが立証されています。ODSの大気中負荷が減少している明確な証拠があり、成層圏オゾンの回復の初期兆候が幾つか観察されていますが、1980年以前の濃度レベルまでオゾン層が回復するのは、21世紀半ばと予測されています。
したがって、オゾン層破壊に伴う紫外線(UV-B)の増加は、健康や環境に対する重大な脅威であることに変わりはありません。
一方、これらの物質の多くは地球温暖化係数が高く、地球の温度を上昇させる要因となっています。したがって、このような排出物による悪影響から人々の健康と環境を守り、オゾン層の回復をさらに遅らせるリスクを回避するために、さらなる効率的な対策を講じる必要があるとしています。
環境と貿易に対する責任に鑑み、EUは、理事会決定 88/540/EECに従って、オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締約国となっています。
多くのODSは温室効果ガスですが、気候変動枠組条約及びその京都議定書では、議定書によるODSの段階的な削減を前提に規制されていません。
議定書の進展にも関わらず、ODSの代替物質の多くが高い地球温暖化係数を有することを念頭に置きつつ、EU及び世界的にODSの段階的な廃止を完了することになっています。したがって、技術的に実現可能で、地球温暖化係数の低い代替物質が利用可能であれば、ODSの生産と使用を最小限に抑え、廃止することが必要とされています。
オゾン層保護のための追加措置が議定書締約国により採択され、直近では2007年9月のモントリオール、2008年11月のドーハでの会合で採択されました。
議定書の下での共同体の義務を遵守し、特に、地球温暖化係数の高い代替物の段階的導入のリスクを十分に考慮した上で、ハイドロクロロフルオロカーボンの段階的廃止を加速するために、EUレベルで行動を起こすことが必要とされています。
途上国におけるハイドロクロロフルオロカーボンの生産と消費の加速的な増加に関連する科学評価パネルの2006年報告書に記載された懸念を受けて、議定書の締約国は2007年の第19回会合でハイドロクロロフルオロカーボンの段階的な削減スケジュールを規定する決定XIX/6を採択しました。
この決定を受けて、生産段階終了時期を2025年から前倒しする必要があるとしています。
規則 (EC) No 2037/2000 では、クロロフルオロカーボン、その他の完全ハロゲン化クロロフルオロカーボン、ハロン、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタン、ハイドロボロフルオロカーボン、ブロモクロルメタン、臭化メチル等について製造と市販が段階的に廃止されており、機器の試験、保守、点検等の用途にこれらの物質を使用することを禁止することも段階的に一般化することが適切とされています。
改定の概要
オゾン層を破壊する輸入された規制物質のEU内での自由な流通のための放出は、量的制限の対象となりますが、欧州委員会は、その制限を決定し、事業者に割り当てを行うことが要求されています。
さらに、委員会は、ハイドロクロロフルオロカーボン以外の規制物質のうち、必須の試験、分析用途に使用できる量と、それを使用できる事業者を決定することが要求されています。
必須の試験、分析用途の割当量の決定は、欧州委員会規則(EC)No 1005/2009の10条(6)に規定された量的制限を確実に尊重する必要があり、欧州委員会規則 (EU) No 537/2011が適用されます。
これらの量的制限には、実験室及び分析用途に認可されたハイドロクロロフルオロカーボンの量が含まれているため、これらの用途のためのハイドロクロロフルオロカーボンの生産及び輸入もその割当の対象とされています。
欧州委員会は、2023年にEUとの間でオゾン層を破壊する規制物質の輸出入を行おうとする事業者、及び2023年に実験、分析用途でこれらの物質を製造、輸入しようとする事業者に対して通知を出し、それにより2023年の輸入予定に関する申告を受理してきました。
オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の年次報告サイクルにしたがって、2023年1月1日から12月31日までの量的制限と割当を決定する必要があるとしています。
本決定で定める措置は、規則(EC)No 1005/2009の25条(1)により設置された委員会の意見に基づくものとなります。
量的制限等の規制要件
ODSの量的制限等の規制要件について、規則(EU)2022/2509から抜粋して以下に示します。
1条
自由な流通のための放出の量的制限
規則(EC)No 1005/2009 の規制対象物質で、2023 年に EU 外の供給源から EU 内に自由流通で放出できる量は、以下の通りとする。
| 規制対象物質 | 数量(オゾン層破壊係数 (ODP)キログラム単位) |
| グループI(クロロフルオロカーボン11、12、113、114、115)及びグループII(その他の完全ハロゲン化クロロフルオロカーボン) | 500550.00 |
| グループIII(ハロン) | 26559050.00 |
| グループIV(四塩化炭素) | 385552.20 |
| グループV (1,1,1-トリクロロエタン) | 2500000.00 |
| VI族(臭化メチル) | 588835.20 |
| グループVII(ハイドロブロモフルオロカーボン類) | 4788.16 |
| グループVIII(ハイドロクロロフルオロカーボン類) | 4878559.75 |
| グループIX(ブロモクロロメタン) | 264024.00 |
2条
自由流通のための排出枠の割り当て1. 2023年1月1日から12月31日までの期間におけるフロン類11、12、113、114及び115並びにその他の完全ハロゲン化フロン類の割当量は、附属書Ⅰに示す目的及び事業者に割り当てるものとする。
2. 2023年1月1日から12月31日までの期間におけるハロン類の割当は、附属書IIに示された目的のため、また事業に対して行われるものとする。
3. 四塩化炭素の2023年1月1日から12月31日までの割当は、附属書IIIに示された目的のために、附属書IIIに示された事業に対して行われるものとする。
4. 1,1,1-トリクロロエタンに対する2023年1月1日から12月31日までの割当は、附属書IVに示された目的のため、事業者に割り当てるものとする。
(中略)
3条
実験室用及び分析用の割当量
2023年における実験室及び分析室用途の規制物質の輸入及び製造の割当は、附属書Xに記載された事業者に割り当てるものとする。
これらの事業者に割り当てられた実験室及び分析用途の2023年に製造または輸入することができる最大量は、附属書XIに記載されている。(略)
規則(EU)2022/2509から引用・仮訳
参考情報
- COMMISSION IMPLEMENTING DECISION (EU) 2022/2509 of 15 December 2022 determining quantitative limits and allocating quotas for substances controlled under Regulation (EC) No 1005/2009 of the European Parliament and of the Council on substances that deplete the ozone layer, for the period 1 January to 31 December 2023
- REGULATION (EC) No 1005/2009 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 16 Sept
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