EU|特定の農産物及び工業製品に関するEUの自主的な関税割当の管理を規定した規則が公布

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EU|特定の農産物及び工業製品に関するEUの自主的な関税割当の管理を規定した規則が公布

ロシア、ベラルーシへの制裁及びEU内の生産能力に基づく関税率の最適化

2022年12月23日、規則(EU)2021/2283を改定し、特定の農産物及び工業製品に関するEUの自主的な関税割当の管理を規定した規則(EU)2022/2563が公布されました。

背景

ウクライナ紛争の経済、社会的影響を踏まえ、EU域内では、生産量が不十分な特定の農産物及び工業製品の十分かつ継続的な供給を確保する必要がありますが、これら製品の市場における混乱を回避するために、EUの関税自主規制割当が理事会規則(EU)2021/2283により緩和されました。

これらの割当の範囲内であれば、製品は減免税率またはゼロ税率でEUに輸入することができます。

特定の工業製品の十分な供給を確保することはEUの利益となるため、同一、同等、または代替製品がEU内で十分な量が生産されていないという事実を考慮し、番号09.2921、09.2922、09.2923(化学物質)、等の製品の適切な量についてゼロ税率等の新しい関税割当枠を設定することが必要となっています。

例えば、注文番号09.2723(高分子化合物)と09.2763(電動モータ)の関税割当の範囲は、EU域内の事業者のニーズを満たすには不十分となったため、これらの割当の対象となる製品の記載を修正するとしています。したがって、これらの製品に適用されるTARICコードの表示も修正されることになります。

TARICコード:TARICとはEU統合関税率(TARIC:Integrated Tariff of the European Union)のことで、貨物を輸出入する際に用いる品目分類番号を示す。

農産物及び工業製品の関税率見直し

以下に、特定の農産物及び工業製品に関する関税率の見直し結果の一部を示します。

特定の不足する工業製品の適切な供給を確保することはEUの利益となるため、注文番号09.2563(化学物質)、等の割当量を増加させる必要があるとしています。

一方、特定の工業製品のEUの生産能力が増加したものについては、注文番号09.2575(化学物質)及び09.2913(結合材、等)の割当量を減少させるべきとしています。

注文番号09.2583(化学物質)、09.2819(化学物質)、等の割当については、割当期間が6カ月間しかなく、割当を維持することが依然としてEUの利益になるため、割当期間を延長し、割当量を1年単位で調整する必要があります。

注文番号 09.2576(無漂白の織物)、等の割当を維持することはもはやEUにとって利益ではないため、これらは2023 年1月1日から停止するべきとしています。

注記)注文番号別の農産物、工業製品の詳細については、(EU)2022/2563の附属書を参照下さい。

ロシア及びベラルーシに対する経済制裁と例外規定

EUとロシアの関係は、特にロシアの国際法の無視とウクライナに対する理不尽で不当な侵略戦争により、過去数年にわたり悪化しています。2022年10月6日、理事会は、ロシアによるウクライナへの侵略戦争の継続と、ロシア軍によるウクライナでの残虐行為の報道をめぐり、ロシアに対する第8次制裁パッケージを採択しました。

ロシアは世界貿易機関(WTO)に加盟していますが、EUは世界貿易機関設立協定(WTO協定)、特に1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)第21条の下で適用される例外、特にロシアからの輸入品に他国からの輸入品に与えられる同様の利益を与える義務(最恵国待遇)に依拠することができます。

EUとロシアの間の関係の悪化に鑑み、EUの対外行動の分野におけるEUの行動と原則との一貫性を確保するため、ロシアを原産地とする製品が、本規則の対象となる製品に関して無税待遇及び最恵国待遇を受けることを認めることは適切ではありません。したがって、これらの製品に対するそれぞれの割当を撤廃することが必要とされています。

第8次制裁パッケージ:制裁パッケージでは、EUはロシアからEU域外国に向けて輸出される石油(原油、石油製品)に関して、EU域内の事業者が海上輸送を提供することや、それに関連した技術支援、仲介、資金援助を提供することを原則として禁止します。

その上で、EUはロシア産石油に価格上限を設定し、この価格上限以下で売買された石油に関しては、海上輸送や関連サービスの提供を例外的に認めるとしています。

ベラルーシ政権が国際法、基本的権利、人権を軽視しているため、過去数年間、EUとベラルーシの関係は悪化してきました。

ベラルーシは、ロシアのウクライナに対する侵略戦争に対して、その当初から広範な支援を行っていることから、2020年10月以降、継続的な人権侵害、移民の道具化、ロシアのウクライナ侵略戦争へのベラルーシの関与をめぐり、EUはベラルーシに対して制限的措置を段階的に課しています。

ベラルーシはWTOに加盟していないため、EUはWTO協定により、ベラルーシ産の製品に最恵国待遇を与える義務を負っていませんが、貿易協定は、適用される例外条項、特に安全保障上の例外に基づき正当化される特定の行動をとることを認めています。

EUベラルーシの関係の悪化に鑑み、EUの対外行動の分野におけるEUの行動及び原則との一貫性を確保するため、本規則の対象となる製品に関して、ベラルーシ原産の製品が免税待遇及び最恵国待遇を受けることを認めることは適切でないと判断し、同製品に対するそれぞれの割当を撤廃することが必要としています。

しかしながら、適切な供給を確保し、一部のEU市場における深刻な混乱を回避するため、ロシアを原産地とする特定の製品(それぞれTARICコード2712903910,2926100010,等)については、注文番号09.2742(アクリルニトリル)、等の割当枠を維持することが必要とされています。

なぜなら、それらの製品は、2019年から2021年にかけて、他の第三国からの代替供給者がいないか、または限られている状態で、EUへの輸入総額の50%以上を占めているためです。それらの輸入額は、EUの産業事業者がそれらの輸入品に非常に大きく依存しており、割当の撤廃がそれらの事業者に大きな影響を与えるとされています。

規則改定の根拠

上記を踏まえ、ロシアまたはベラルーシを原産地とする特定の製品に対する共通関税(CCT)税の停止を解除することは、GATT 1994の第21条及び理事会規則(EEC)No 2658/87の附属書Iに定められた関税に関する一般規則、特にその第1部、第1節、B、第1項の適用により適切かつ許可されるものと判断されています。

欧州委員会が2011年12月13日付けの関税自主権停止と割当に関するコミュニケーション(以下、コミュニケーション)で示したように、割当の付与はCCT関税の適用に対して例外となります。

したがって、ロシアまたはベラルーシを原産地とする輸入品にかかるCCT税の再導入は通常の状態への復帰を構成するため、ロシアまたはベラルーシを原産地とする特定の製品に対する割当の限定的な撤廃は、制限的または禁止的な措置ではなく、その目的は、これらの国がEUの一方的措置から間接的に利益を得ることを防ぎ、EUの行動全体の一貫性を確保するためとしています。

したがって、規則(EU)2021/2283 はそれに応じて修正され、割当制度の適用における中断を回避し、コミュニケーションで示されたガイドラインに準拠するために、関係する製品の割当に関する規則で規定された変更は、2023年1月1日から適用されるべきとしています。

規則(EU)2022/2563附属書に記載された農産物、工業品の割当期間、割当量、関税率の例を編集、抜粋して以下に示します。

注文 番号 TARICコード 記載 割当期間 割当量 関税率
09.2849 10 キクラゲ種のきのこ(未調理のもの、蒸すか煮るかして調理したもの)、冷凍食品、調理済み食品の製造のためのもの 1.1.-31.12. 700 トン 0%
09.2664 30 チョコレート製品に使用する、直径19.9mm以下、糖度が9重量%以下の、スピリッツを添加したスイートチェリー 1.1.-31.12. 1,000 トン 10%
09.2925 41、49 41、49 乾燥重量ベースで構成される、飼料添加物(68%以上、80%以下のL-リジン硫酸塩)及び32%以下のその他の成分(炭水化物、その他のアミノ酸など) 1.1.-31.12. 100,000 トン 0%
09.2913     91、10 11、21 91、91 10、11 21、91 2402 10 00の小見出しに入る商品の製造のための結合材、または包装材として使用する、正味重量100kgあたり450ユーロ以上の通関価格を有する、通常の大きさにカットされているか否かを問わない天然の未製造タバコ 1.1.-31.12. 3,000 トン 0%

(略)

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