地球観測のデータ交換による互恵性の実現
2023年1月17日、ティモ・ペソネン事務局長が欧州委員会を代表し、日本の経済産業省との間でコペルニクス計画の協力に関する協定に署名しました。この署名は、ブリュッセルで開催された「日本-EU間の宇宙対話」の席上で行われました。
この新しい協定の目的は、日本とEUの間で地球観測データの相互共有を促進することであり、宇宙を利用したデータを用いて共通の地球規模の課題に共に取り組むという契機になると期待されています。
コペルニクス計画の概要
コペルニクス計画は、EUとESA(欧州宇宙機関)による地球観測計画のことで、地球観測衛星が取得した画像をもとに農業や漁業、環境政策の他、安全保障政策への活用を行っています。同計画は、グローバルアクターとしてのEUの役割を支援し、共通のグローバルな課題の解決に国際協力として貢献しています。
同計画のデータポリシーは、地球観測に関する政府間会合(GEO)の国際的なデータ共有の原則に沿って、コペルニクスのデータと情報への完全でオープンかつ無償のアクセスを提供しています。
コペルニクスはEuroGEOSS※1をサポートし、GEOの全球地球観測システム(GEOSS)※2に対して貢献しています。コペルニクスのデータポリシーに照らし合わせると、計画が運用段階に移行して以来、コペルニクスのデータと情報へのアクセスは、多くの国際的パートナーからの関心が高まっており、EUはコペルニクス計画の利益のために、データ交換における互恵性を求めています。
コペルニクスによる国際協力の主な目的は、地球規模の課題に取り組み、ヨーロッパの地球観測コミュニティに雇用と成長の機会を提供することを支援するものであり、完全で自由かつオープンなデータ政策によって運用されています。その内容は以下の通りです。
■ コペルニクスをグローバルなベストプラクティスとして、また国際的に受け入れられる標準として確立すること。
■ EUの政策やその他の取り組みに対して、第三国からの支持を集めること。
■ 地球規模の課題解決に向けた社会的価値を最大化するために、コペルニクスのデータの利用を世界的に促進すること。
■ 適切な場合には第三国をコペルニクスに参加させ、国際的なパートナーとの協調を考慮してEUの地球観測への投資の効率を最大化すること。
■ 相互主義に基づき、国際パートナーが取得したデータと情報を欧州の地球観測データ管理システムに統合するための条件を整備すること。
■ コペルニクスのデータやサービスに基づく高付加価値で知識集約的な製品やサービスを輸出できるようにすることで、ヨーロッパの地球観測関連企業の国際市場(EU圏外)へのアクセスを促進すること。
コペルニクス計画の下での国際的な活動には、以下のようなものがあります。
■ 多国間イニシアティブへのコペルニクスの貢献
■ データ交換に関する国際協力
■ 地球観測企業の国際化
EuroGEOSS※1:コペルニクス計画により環境監視と安全保障を含む幅広いテーマで複数システムからなる欧州の全球地球観測システムで、数年前から地球観測データの相互運用性に関する新しいコンセプトを開発し、生物多様性や森林など一部の分野に適用されている。
全球地球観測システム(GEOSS)※2:人工衛星観測及び現場観測(地上観測)を統合した複数の観測システムからなる包括的な地球観測のシステムを指す。
協定の概要
本協定により、日本のエンドユーザーがテラスデータハブを通じてコペルニクスセンティネルデータを取り込み、コペルニクスデータアクセスシステム(DAS)とのリンクを確立し、より簡単かつ簡便にコペルニクスデータにアクセスできるようになります。
欧州のコペルニクスエコシステムは、日本の非商用地球観測衛星からのデータへのアクセスを得ることができます。日本からの現場データへのアクセスは、すべてのユーザーの利益のためにコペルニクスのサービスの品質と精度を高めることになります。
EUと日本は、宇宙分野において長年の協力関係にあり、共通の戦略的利益を共有しています。双方は、天然資源の長期管理、海洋・沿岸地域の監視、汚染と生物多様性、気候変動への適応と温室効果ガスの監視、災害リスクの軽減、食糧安全保障など、多くの共通の関心分野での協力のために衛星データの利用を加速させることにコミットしています。
本協定の技術的な実施は、日本の経済産業省及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)、欧州側の欧州宇宙機関(ESA)、欧州気象衛星利用機関(EUMETSAT)及び欧州委員会を含む「日-EUコペルニクス協力グループ」が指揮を執る予定です。
本協定は、最終的にコペルニクスのデータとサービスの世界的な普及を後押しし、コペルニクスが世界的なベストプラクティスとして、国際的に受け入れられる標準となるよう促進するのに役立つと考えられています。
本協定は、日本とEU間での宇宙協力における待望の一歩であり、協調して衛星データを相互的、自由かつオープンな方法で提供することになります。
このデータは、地球の状態に関する正確で信頼できる情報を提供し、気候変動の影響を理解し緩和するために、また、市民と国際社会の利益のために緊急事態や自然災害に対処する能力を支援するために、大いに必要とされるとしています。
データ交換分野における国際協力
国際的なパートナー国の宇宙インフラやデータは、データ処理に関する協力、第三者のデータ(原位置データを含む)のコペルニクスデータシステムへの統合、コペルニクスサービスのモデルや製品へのデータ同化など、様々な分野でコペルニクス計画に有益なものとなり得ます。
データ交換の分野における第三国との協力は、通常、政策協力の協定を通じて行われます。これは、データ交換の効率性と補完性を確保するために作られた拘束力のないパートナーシップの手段です。
この協定は、コペルニクス計画の利益を確保するための相互主義の原則に基づくものです。コペルニクスの国際関係における優先事項は、EUと相手国に相互的に付加価値を提供できる協力取り決め(例:校正/検証支援のための衛星データ、現場データの提供)を締結することです。
現在までに、米国、オーストラリア、ブラジル、コロンビア、チリ、インド、ウクライナ、セルビア、アフリカ連合、日本と協定が結ばれています。その他の国もコペルニクス計画とのデータ交換に関心を示しており、将来的にはさらなる取り決めが結ばれる可能性があります。
米国及びカナダとの協定の例は以下の通りです。
■ 米国
米国は、欧州にとって地球観測の分野で重要なパートナーであり、2015年10月に米国当局と協力協定に署名しています。米国機関は複数の地球観測衛星を軌道上に有しており、これらは既に欧州のユーザーやコペルニクス計画にとって有益なものとなっています。
ESAとEUMETSATは、様々な目的(気象データの運用交換など)のための衛星とデータ共有について、米国のカウンターパートと長年の関係を築いています。コペルニクスの枠組みにおける国際協力は、こうしたパートナーシップを基盤として、効率性と補完性を確保する必要があるとしています。
■ カナダ
欧州委員会とカナダ宇宙庁(CSA)は、2022年5月16日に「コペルニクス協定」に調印しました。
本協定の目的は、互恵主義に基づき、互いの衛星地球観測データを共有するとしています。カナダのエンドユーザーは、カナダ宇宙庁が設置するローカルデータハブを通じて、コペルニクスのデータへのアクセスが容易かつ簡素化されます。
コペルニクスはカナダの原位置データにアクセスすることができ、そのデータと情報はより良く、より正確になります。原位置データへのアクセスは、新しいEUの北極政策をサポートするために特に重要となるとされています。
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