EU|欧州委員会、ガス吸収式ヒートポンプにおける防食剤としての六価クロムへの適用除外に関する欧州議会及び理事会指令を公布

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EU|欧州委員会、ガス吸収式ヒートポンプにおける防食剤としての六価クロムへの適用除外に関する欧州議会及び理事会指令を公布

環境、健康、消費者安全に関するリスク・ベネフィットを考慮した改定

2023年1月26日、欧州委員会は、科学技術の進歩に適応する目的で、ガス吸収式ヒートポンプにおける防食剤としての六価クロムへの適用除外に関する欧州議会及び理事会指令2011/65/EUの附属書IIIを改定し、指令(EU)2023/171として公布しました。

指令2011/65/EUの概要

指令2011/65/EU(RoHS指令)は、特定有害物質を電気・電子機器から排除することを目的としています。

欧州委員会は、この電気・電子機器における有害物質をより制限するため、最終的に埋立や焼却処分される段階ではなく、生産段階において電気・電子機器に有害物質を含有させないように制限し、人や環境に影響を与えないことを目的に同指令を制定しました。

同指令の要求事項は、最終製品を構成する「すべての部品及び組立品に対して、最大許容値以上の規制物質を含んでいないこと。」であり、欧州経済地域(EEA)の市場における新しい電気・電子機器に対して、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、フタル酸エステルフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、等の10物質が最大許容値以上含まれることを規制しています。

但し、同指令の附属書Ⅲ及びⅣで技術的、科学的に代替ができない用途については、期限付きで認められるものがあります。

六価クロムについては、冷却液中の重量比で0.75重量%までの吸収式冷凍機における炭素鋼冷却システムの防食剤としては制限の適用除外となっています。しかしながら、技術的に代替が可能になった場合には、適用除外見直しが行われることになっています。当該条件の六価クロムについては、2026年12月31日に適用除外が失効する予定となっています。

改定の経緯

指令 2011/65/EUでは、市販される電気・電子機器が附属書 II に記載された危険物質を含まないことを保証するように加盟国に要求していますが、その制限は附属書 III に記載されている特定の適用除外された用途には適用されていません。

同指令が適用される電気・電子機器のカテゴリは、附属書Iに記載され、六価クロムについては、附属書IIに記載された制限物質として指定されています。

2020年12月23日、欧州委員会は、ガス吸収ヒートポンプの炭素鋼密閉回路の作動流体における防食剤としての六価クロムの使用に関して、当該指令の附属書IIIに記載される適用除外に関する指令2011/65/EU第5条に従って行われた申請(要求された免除)を受理しました。

ガス吸収式ヒートポンプは、作動流体の輸送などの補助機能に電力を必要としますが、要求された適用除外に記載されているガス吸収式ヒートポンプは、指令 2011/65/EU の附属書 I のカテゴリ 1の「大型家電製品」に該当しています。

技術的、科学的評価研究を含む除外申請の評価では、冷媒溶液中の六価クロムの代替は現時点では科学的、技術的に不可能であり、クロム酸ナトリウムの形で六価クロムの使用を排除した他の加熱技術では同等の機能、性能は得られないと結論づけています。

しかしながら、ガス吸収式ヒートポンプは凝縮ボイラー技術よりも高いエネルギー効率を提供し、それらのシステムの置き換えに役立ち、CO2 排出量の削減に繋がる可能性があります。

その結果、その評価は、指令2011/65/EUの第5条(1)項(a)に規定された関連条件の少なくとも1つが満たされており、除外申請の対象となる用途における六価クロムの代替による環境、健康、消費者安全について、リスクとベネフィットを総合的に評価した場合にベネフィットが上回るとの結論が得られました。

この評価には、指令2011/65/EUの第5条で要求される利害関係者との協議が含まれています。これらの協議で寄せられたコメントは、専用のウェブサイトで一般に公開されています。

最終的に、六価クロムについては、リスク・ベネフィット評価及び協議結果等に基づき、「冷媒溶液中の最大濃度 0.7 重量%の六価クロムは、要求された適用除外に十分であるとみなされる。」と規定されることになりました。

改定方針

欧州議会及び理事会規則 (EC) No 1907/2006 の附属書 XIVに記載された物質の用途のための市販と使用については、同規則に基づく許認可の要求の対象となります。

同附属書には、クロム酸ナトリウムを含む多くの六価クロム化合物がリストアップされていますが、規則 (EC) No 1907/2006と指令2011/65/EUは、互いに影響し合うことなく適用されることになります。

規則 (EC) No 1907/2006の附属書XIVに記載された六価クロム化合物の使用とその用途での市販は、同規則に基づく認可の対象となります。

最終的に、指令 2011/65/EU に基づく免除の許可は、規則 (EC) No 1907/2006 に基づくその許認可要件に影響せず、また規則 (EC) No 1907/2006 に基づく許認可についても、指令 2011/65/EU に基づく免除を得る必要性に影響しないと判断されています。

指令 2011/65/EUについては、規則(EC)No 1907/2006 によって与えられる環境及び健康の保護が弱められるという理由は無いため、同指令の附属書において「冷媒溶液中の最大濃度 0.7 重量%の六価クロムは、要求された免除に十分である。」との要件は適切と判断され、追記されることになりました。

但し、六価クロムの含有量を減らす可能性、及び/または六価クロムの使用を代替または廃止する可能性を見出すための研究努力は、予見可能な限り5年以上を要すると判断され、免除期限については、 2026 年12月31日まで認めることとなりました。

指令の改定箇所

以下に、指令の改定箇所を示します。

1条
指令 2011/65/EU の附属書 III は、本指令の附属書に記載されているように修正される。

2 条

1. 加盟国は、遅くとも2023年8月31日までに、本指令を遵守するために必要な法律、規則及び行政規定を採択し、公表すること。加盟国は、それらの規定のテキストを直ちに欧州委員会に伝達すること。加盟国は、2023年9月1日からそれらの規定を適用すること。加盟国がそれらの規定を採択する場合、それらの規定は、本指令への言及を含むか、またはそれらの公式発表の機会にその言及を伴うこと。加盟国は、当該言及をどのように行うかを決定すること。

2. 加盟国は、本指令の対象となる分野で採択した国内法の主要規定のテキストを欧州委員会に伝達すること。

3条
この指令は、欧州連合の官報に公示された日の翌日から20日目に発効する。

附属書
指令2011/65/EUの附属書IIIにおいて、以下の項目9(a)-IIIが挿入される。

‘9(a)-III ガス暖房及び給湯用ガス吸収ヒートポンプのカーボンスチール密閉回路の作動流体中の防食剤として使用される0.7重量%までの六価クロム カテゴリ1に適用され、2026年12月31日に失効する’。

 

                                     委任指令(EU)2023/171より引用・仮訳

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