EU宇宙監視追跡サービスの貢献を通じて能力を強化し、宇宙交通管理に対するEUのアプローチを前進させることを提案
2023年05月23日、欧州理事会は「宇宙の公正かつ持続可能な利用」に関する結論を採択しました。この結論には、軌道が宇宙物体でますます混雑する現在、宇宙交通管理に関する欧州のアプローチを前進する必要性が含まれています。
EU加盟国の代表は、宇宙技術が社会と経済に複数の利益をもたらす一方で、地球を周回する軌道の一部には衛星やデブリ(宇宙ゴミ)が密集しており、将来の宇宙活動の発展をより危険で複雑なものにしていると認識しています。また、光害や電磁波障害により、天体観測や研究が妨げられています。
これらの課題に取り組むため、理事会の結論は、既存のスペースデブリ(宇宙ゴミ)を監視・管理する緩和策と、将来の軌道上での活動で廃棄物の量を減らす方法を見つけることを求めています。
これらの目標を達成するために、さらに理事会は、例えば、EU宇宙計画庁と協力して、EU宇宙監視追跡サービスの貢献を通じて能力を強化し、宇宙交通管理に対するEUのアプローチを前進させることを提案しています。
理事会は、宇宙はすべての国家が自由に探査・利用できるようにすべき世界共通のものであると認識の上で、欧州委員会と加盟国に対し、宇宙に関する国際連合条約および条約の下で、救助協定、責任条約、登録条約を受け入れることを検討するよう求めています。
また、理事会は、加盟国と欧州委員会に対し、国連が採択した「宇宙活動の長期的持続可能性のための21の自主的ガイドライン」の実施を継続するよう要請しました。
国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)のこれまでの動き
COPUOSは、1959年の国連総会決議(1472)「宇宙空間の平和利用に関する国際協力」により設立された国連総会直属の常設委員会です。オーストリア・ウィーンにおいて開催され,本委員会(毎年6月頃に開催)のもとに,科学技術小委員会(毎年2月頃に開催)及び法律小委員会(毎年4月頃に開催)がおかれ,宇宙活動に関する諸問題に対し,それぞれ技術的側面及び法的側面からの検討等を行っています。
COPUOSでは,2010年から「宇宙活動の長期持続可能性」(LTS)という議題の下,宇宙活動を長期的に持続可能な利用のために自主的に遵守すべき「ガイドライン」の制定を目指し,ワーキンググループが設置されました。
ワーキンググループは、21のガイドラインについて一致しましたが、7のガイドラインについては一致せず、2018年06月に、ワーキンググループが終了しました。 ワーキンググループ終了後、日本が主導する形で有志国と連携して21のLTSガイドライン実施をCOPUOS加盟国に働きかけてきました。
2019年のCOPUOS本委員会初日の06月12日には、米国、日本、カナダ、フランスの4か国が21のLTSガイドライン実施に関するワーキンググループを科学技術小委員会の下に設置するとの共同提案を行いました。 同委員会会期中に加盟国間の議論を経て,6月21日,COPUOS本委員会として21のLTSガイドラインを正式に採択すると共に,科学技術小委員会の下にこれらガイドラインの実施及び新たなガイドラインの可能性等を議論するワーキンググループが設置されることが決定されました。
欧州委員会の最近の動き
2021年11月04日のSTMに関するEU議長報告書は、理事会が承認したロードマップのマイルストーンとして、EUのSTMアプローチを開発する必要性を強調し、加盟国の権限と、EU機能条約に沿って宇宙交通管理(STM)規則の開発、監督、施行を引き続き担当する意思を尊重したものです。
2022年02月15日、欧州委員会とEEASは「宇宙交通管理のためのEUアプローチ-グローバルな課題に取り組むEUの貢献」と呼ばれる情報伝達を発表し、宇宙交通管理(STM)という概念の定義が提案されました。理事会は2022年6月22日にこのアイデアを議論し、この定義をEUレベルでの作業の基礎として使用することを提案しました。
「宇宙活動の長期的持続可能性のための21の自主的ガイドライン」とは
批准された、21 の宇宙活動の長期持続可能性(LTS)ガイドラインの概要は次に示すとおりです。
A. 宇宙活動に関する方針及び規制体系
A.1 宇宙活動に関する国内規制体系の必要に応じた採択,改正及び修正
A.2 宇宙活動に関する国内規制体系に関し,必要に応じた策定,改正または修正を行う 際の複数要素の考慮
A.3 国内宇宙活動の監督
A.4 無線周波数スペクトルの衡平,合理的かつ効率的な使用及び衛星によって利用され る様々な軌道領域の確保
A.5 宇宙物体登録の実行強化
B. 宇宙運用の安全性
B.1 更新された連絡先の提供及び宇宙物体と軌道上事象に関する情報の共有
B.2 宇宙物体の軌道データの精度向上並びに軌道情報の共有の実行及び実用性の強化
B.3 スペース・デブリ監視情報の収集,共有及び普及の促進
B.4 制御飛行中の全軌道フェーズにおける接近解析の実行
B.5 打ち上げ前接近解析に向けた実用的な取組みの確立
B.6 有効な宇宙天気に関するデータ及び予報の共有
B.7 宇宙天気モデル及びツールの開発並びに宇宙天気による影響の低減のための確立し た実行の収集
B.8 物理的及び運用面の特徴に関わらない宇宙物体の設計及び運用
B.9 宇宙物体の非制御再突入に伴うリスクを取り扱う対策
B.10 宇宙空間を通過するレーザービーム源を使用する際の予防策の遵守
C. 国際協力,能力構築及び認知
C.1 宇宙活動の長期持続可能性を支える国際協力の促進
C.2 宇宙活動の長期持続可能性に関する経験の共有及び情報交換のための適切な新たな 手続きの作成
C.3 能力構築の促進及び支援
C.4 宇宙活動の認知向上
D. 科学的・技術的な研究開発
D.1 宇宙空間の持続可能な探査及び利用を支える方法の研究および開発の促進及び支援
D.2 長期的なスペース・デブリの数を管理するための新たな手法の探査及び検討
参考文献
資料1 2023年5月22日~23日の「宇宙の公正かつ持続可能な利用」に関する産業競争力会議(域内市場、産業、研究、宇宙) 理事会結論書案
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