知的財産(IP)の促進と価値向上のためのプラットフォームを提供
2023年05月26日、欧州特許庁(EPO)のアントニオ・カンピノス長官と欧州科学技術移転専門家協会(ASTP)のクリストフ・ハウノルド会長は、覚書(MoU)を締結しました。本協定の目的は、両組織間の協力活動の指針となる一般的な枠組みを提供することです。
この協定は、欧州全体および世界のイノベーションを強化する上で、知識・技術移転および知的財産(IP)の商業化が果たす重要な役割に対するEPOとASTPの共通の関心を反映しています。
ASTPは、45カ国、650団体、1,300名の会員を擁する汎ヨーロッパ協会として、国際的な知識移転コミュニティへのゲートウェイとしての役割を担っています。ASTPの使命は、知識移転の推進と専門化を通じて、科学技術研究の経済的・社会的インパクトを増大させることです。
ASTPは、大学や産業界における知識移転に力を入れており、欧州特許庁(EPO)の特許情報センターであるPATLIBネットワークが指導を行う重要な分野となっています。この分野は、EPOが最近のケーススタディや特別報告書を発表している分野でもあります。
ASTPとEPOの協定に基づき、両組織は技術移転に関する経験を交換し、アウトリーチ活動を共同で推進することになります。また、技術移転の専門家とEPOのPATLBネットワークのスタッフ双方のスキルを向上させるため、共通の教育・研修活動が実施されます。
この覚書は当初3年間有効であり、知的財産(IP)の促進と価値向上のためのプラットフォームを提供する予定です。ASTPは、EPOが昨年夏にオブザーバー組織として参加した欧州技術移転機関(ETTO)サークル内でも良好な関係を築いており、今回の合意は確立された相乗効果をもたらすものとなっています。
2023年05月25日、EPOの代表団がASTP年次総会でPATLIBネットワークを紹介し、EPOとの連携分野を強調しました。EPOのプレゼンターは,、また、知識移転の専門家からなる国際的な聴衆に、06月01日から統一特許制度が実現し、最大25のEU加盟国で特許保護のための新たな選択肢が生まれることを伝えました。
EU初の統一特許制度が公開へ
EU加盟国17カ国における統一特許制度の発効は、50年程前の1973年10月5日に欧州特許条約が締結されて以来、欧州特許史において唯一最も重要な進展となりました。統一特許制度は、コスト削減、手続きの合理化、透明性の向上、法的確実性の強化など、あらゆる分野のユーザーにとって期待される多くの実質的な改善を提供するものです。
また、2023年06月01日に運用が開始された統一特許裁判所(UPC)は、欧州における特許の集中訴訟制度を現実のものとし、ユーザーは欧州レベルで訴訟を提起することができます。
欧州特許登録簿には、2023年06月01日の欧州単一特許制度の運用開始後、欧州単一効果を要求した欧州特許のデータが初めて掲載されました。このような要請を受けた600件の特許のデータが記載されており、次号の会報に付与されたものとして掲載される予定です。EPOは、5月末までに800件の欧州単一効果を求める要請を受け、また、6月から7月初旬にかけて欧州単一効果を求めることができるようになる欧州特許の付与の公表を延期する要請を4,500件受けています。
特許情報センター(PATLIB)とは
特許情報センターの略語PATLIB)はPATent LIBraryの略で、「PATLIBセンター」と呼ばれることが多くなっており、PATLIBセンターは、EPO加盟国の各地域に300以上あります。
PATLIBセンターは、各地域の特許情報や関連事項へのアクセスを提供します。PATLIBセンターは、その地域の産業、経済、ビジネス事情に精通しており、起業家、中小企業、個人発明家、学生に対して価値あるサービスを提供しています。
PATLIBセンターの職員の多くは、経験豊富な特許調査の専門家です。また、以下のような特許情報サービスも提供しています。
‐ 技術および競合他社の調査
‐ 特許統計
‐ 特許評価/監査
‐ 特許戦略に関するアドバイス
‐ 商業化/技術移転に関するガイダンス
PATLIBセンターは、その他の知的財産権に関する実務的な支援も提供しています。
参考文献
資料1 EPOとASTPが覚書に調印
資料2 特許情報センター(PATLIB)
資料3 特許知識における統一特許情報
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